中国企業「ITG」が支援するサイバー攻撃グループの手口を解説、国際アドバイザリーに日本も共同署名

中国政府と関連がある中国企業「永信至誠科技集団(Integrity Technology Group、ITG)」が活動を可能にしているサイバー攻撃グループについて、米国が作成した国際アドバイザリーが公表された。内閣官房国家サイバー統括室(NCO)と警察庁は2026年10月9日、このアドバイザリーへの共同署名を公表した。署名国は米国、英国、オーストラリア、カナダ、スペイン、ニュージーランド、日本の7カ国。

事案の詳細

アドバイザリーの正式名称は「Chinese Government-linked Cyber Threat Actors Combine Automated and Hands-on Hacking Tools to Steal Sensitive Data」。中国政府と関連したサイバー攻撃グループが、自動化ツールと手動の攻撃手法を組み合わせて機密データを窃取する活動について、ITGおよび関連グループの手段、侵害の指標、脅威の探知方法、緩和策を解説している。

主な緩和策として、脆弱性に対するパッチを迅速に適用すること、使用していないサービスやポートを無効化することが挙げられている。さらに、Webアプリケーションへのユーザー入力をサニタイズしてクロスサイトスクリプティング(XSS)を防止すること、可能な限り全てのサービスに多要素認証(MFA)を導入することも推奨されている。

攻撃者が管理ツールや標準コマンドを不審な権限や想定外の用途で実行していないか監視することも求められている。コマンドライン引数やファイアウォールログの監視など、正規のツールや機能を悪用するLiving off the Land(LOTL)攻撃への対策にも言及している。個々の侵害事例や被害組織の詳細は、現時点で不明。

影響と背景

日本を含む7カ国が共同署名したことは、ITGが関係する攻撃活動を国際的なサイバー脅威として共有し、各国が防御・検知情報を連携して周知していることを示す。攻撃は自動化ツールだけでなく、手動操作や正規の管理ツール・標準コマンドを組み合わせるため、単純な境界防御だけでは検知が難しい場合がある。

インターネットに公開された機器やサービス、既知の脆弱性、認証が弱いサービスが侵入や活動の足掛かりになり得る。未使用サービスやポートの停止、迅速なパッチ適用に加え、MFA、入力値の検証・無害化、ログ監視を組み合わせた多層的な防御が必要となる。

対策・今後の展望

アドバイザリーで示された緩和策は、インターネットに面した機器や公開サービスを運用する組織が優先して実施できる基本対策である。

  • 不使用サービス・ポートの無効化:業務に不要な通信入口を閉じ、外部から探索・悪用される範囲を減らす。
  • 脆弱性パッチの迅速な適用:OS、アプリケーション、ネットワーク機器などの更新状況を把握し、既知の脆弱性を放置しない。
  • 多要素認証の導入:可能な限り全てのサービスでMFAを有効化し、認証情報が悪用された場合の不正アクセスリスクを下げる。
  • Webアプリケーションの入力検証:ユーザー入力を適切にサニタイズし、XSSなどの攻撃を防止する。
  • LOTLの監視:管理ツールや標準コマンドの実行権限、用途、コマンドライン引数を確認し、ファイアウォールログなどと突き合わせて不審な活動を検知する。
  • 設定と資産の棚卸し:外部公開されている機器・サービス、例外設定、一時的に開放したポートを一覧化し、不要な公開を解消する。

CSRIからの現場アドバイス

【現場で何が起きているか】CSRIが中小企業のMDR運用や診断で見る限り、インターネット公開機器の棚卸しが不十分で、不要なポートが開いたままのケースが少なくない。アラートでも、外部から管理画面やサービスへの探索的アクセスが継続して観測され、更新停止の機器が狙われやすい。

【平易な解説】例えるなら、会社の建物で「使っていない裏口の鍵が開いたまま」になっている状態が、不使用ポートの放置だ。つまり、業務に不要な入口を閉じ、壊れた鍵(脆弱性)は修理(パッチ適用)し、重要な入口には追加の本人確認(多要素認証)を設けるほど、侵入される確率を下げられる。

【今週中にできること】まず、外部公開している機器やサービスを一覧化し、使っていないサービスやポートが残っていないか確認する。次に、OSや機器の更新状況を点検し、未適用の更新があれば適用計画を立て担当者に共有する。そのうえで、可能なサービスから多要素認証を有効化し、Webアプリケーションの入力検証設定を確認する。最後に、管理ツールや標準コマンドの不審な実行、コマンドライン引数、ファイアウォールログを確認し、例外設定や一時的に開けた入口が残っていないか見直して閉じる。

参照: 中国を拠点とする企業「ITG」が支援するサイバー攻撃グループの手口を解説、国際アドバイザリーに日本も共同署名 不使用ポート無効化、脆弱性パッチなど緩和策の徹底を

中国企業「ITG」が支援するサイバー攻撃グループの手口を解説、国際アドバイザリーに日本も共同署名
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