AIによるエンドポイント保護のSentinelOneがシリーズFで2億6700万ドルを調達

 スタートアップの資金調達における投資ラウンドを指すシリーズは、企業の成長フェーズを表す指標になっています。アメリカ・カリフォルニア州に拠点を置くサイバーセキュリティのスタートアップ、SentinelOneがシリーズFで2億6700万ドル(約281億2000万円)の資金調達を発表して話題に。クラウドネイティブに対する自立型サイバーセキュリティプラットフォームへの世界的な需要を背景に、同社の評価額は30億ドルを超えているようです。

評価額は3倍の30億ドル超に

 SentinelOneは今年2月に、エンドポイント保護(EPP)、エンドポイントの検出とレスポンス(EDR)、Iotセキュリティ、クラウドワークロード保護(CWPP)のデータ、アクセス、制御などをシームレスに融合して一元化した業界初となるプラットフォームを発表しました。このXDRプラットフォームの需要にけん引されて今年2月のシリーズEの資金調達以降、同社の評価額は3倍にのぼり30億ドルを超えたということです。

 SentinelOneが提供する自律型XDRプラットフォームとは、エンドポイント、コンテナー、クラウドワークロード、IoTデバイスのすべてにおいて、同社が特許を取得している行動AIモデルを活用した予防、検出、応答、駆除を実行する唯一のサイバーセキュリティ。ネットワークで発生するあらゆることを透過し、すべての段階で攻撃を防御するクラウド提供のソリューションです。

 イスラエルメディアによると、SentinelOneは2013年にイスラエル出身のTomerWeingartenとAlmogCohenによって設立されました。WeingartenはSentinelOneを設立する前は市場調査会社を起業し、その後、メディア会社を設立。AlmogCohenは、データ保護業界で13年の経験があり、うち7年間はチェック・ポイントの上級管理職を務めていたということです。SentinelOneはシリコンバレーのUpWestLabsの初期投資プログラムによってスタートアップし、ネットワークの異常な動作を特定するための人工知能技術を開発、従来のウィルス対策ソフトに代わるサイバーセキュリティのソリューションを確立しました。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により在宅勤務が普及し、その結果、エンドポイントに対するセキュリティの需要が拡大したことも同社にとっては有利な材料となりました。SentinelOneのソリューションは、会社のオフィス、従業員の自宅にかかわらず組織のエンドポイントを保護することができるからです。今年2月、SentinelOneは11億ドルの評価で2億ドルを調達しましたが、8カ月後の評価額は30億ドルを突破する勢いを見せています。

ヨーロッパ最大の鉄道貨物会社も移行

 最近では、ヨーロッパ最大の鉄道貨物および物流企業のLineasがSymantecからSentinelOneに移行したことを明らかにしています。モバイル端末を携行して終日屋外で現場仕事を担うスタッフとオフィスで日常的にコンピューターを扱っているスタッフの間にあるセキュリティに対する認識の差を埋めて、すべてのエンドポイントを保護するセキュリティを求めていた同社にとってSentinelOneが提供するソリューションは納得できるものだったようです。エンドポイントを含むネットワーク全体を適切に監視し、攻撃を分析するためのより多くのオプションを望んでいた同社では行動分析にもとづいて機能するプラットフォームを求めていたということです。

 SentinelOne のシリーズFでの2億6700万ドルの調達は、セコイア・キャピタル・グローバル・エクイティなどの既存の投資家とともにタイガー・グローバル・マネジメントによって行われました。SentinelOneの共同創設者でCEOのTomerWeingartenは「データを保護するには、エンタープライズネットワーク全体の監視と、ネットワークに接続されているすべての資産に対するリアルタイムの自律型セキュリティレイヤーが必要です。クラウドを介して提供される当社のプラットフォームソリューションは、データが存在するすべての場所で保護および運用ができるように設計されています。私たちが提供するセキュリティは、AIによるサイバーセキュリティのスタンダードです」と話しています。

【出典】

https://www.sentinelone.com/press/sentinelone-announces-267m-series-f/

https://www.calcalistech.com/ctech/articles/0,7340,L-3863756,00.html

https://www.intelligentcio.com/eu/2020/11/05/lineas-switches-to-sentinelone-endpoint-protection/

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