警察庁は8月10日、匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の指示役や中核的人物が使うスマートフォンなどの通信内容を遠隔で把握する新たな捜査手法の導入の是非を議論する有識者検討会の初会合を開いた。特殊詐欺や強盗などの被害を未然に防ぐことが狙いで、検討会の提言を踏まえて必要な法改正を進めたい考えだ。
事案の詳細
警察庁が検討しているのは、捜査や情報分析を通じてあらかじめ特定した上位メンバーのスマートフォンなどを対象に、端末が手元になくても遠隔操作で通信内容やデータを把握する手法である。逮捕した実行役の押収端末を解析する従来のやり方では、上位の指示役が次に狙う対象や計画を把握しにくいことから、新たな手法の導入が検討されている。
初会合には、弁護士や憲法・刑法に詳しい学者らの委員が出席した。対象とする犯罪の範囲、取得する情報の内容、捜査の適正性をどのように担保するかなどが主な論点となる。離れた場所にいる人物の通信端末の内容を把握することは、憲法が保障する「通信の秘密」に抵触するおそれがあるため、法的・制度的な課題も大きい。
影響と背景
トクリュウは、秘匿性の高い通信アプリを用いて仲間内で連絡や指示を行う点に特徴があり、末端の実行役を摘発しても上位の指示役や組織像の把握が難しいとされてきた。警察庁は、上位者の通信内容を事前に把握できれば、次の犯行計画や被害者を割り出して、パトロールや保護につなげ、被害の未然防止や組織解明、検挙に生かせるとみている。
政府は7月の犯罪対策閣僚会議で特殊詐欺などへの緊急対策を示しており、新たな捜査手法の検討を加速する方針を打ち出していた。今回の検討会は、その具体化に向けた議論の出発点となる。
対策・今後の展望
警察庁は、検討会での議論を通じて、どのような犯罪を対象にするか、どのような手続きや条件を設けるか、通信の秘密とのバランスをどう取るかを整理し、早期の提言取りまとめを目指す。今後は、必要な法整備の内容と実施の枠組みが焦点となる。
CSRIからの現場アドバイス
【現場で何が起きているか】CSRIが支援する中小企業のMDR運用や診断では、スマホが業務連絡の中心なのに、端末の管理台帳がなく退職者の端末が未回収のまま、という例が目立つ。アラートでも、個人端末から業務アカウントにログインが続く“見えない接点”がよく問題になる。
【平易な解説】例えるなら、会社の重要書類が入った引き出し(スマホ)を、本人が気付かない場所から開けられて中身を見られるようなものです。つまり、端末の中の連絡先や履歴などが扱われれば、誰と何をしているかが分かり得る、ということです。
【今週中にできること】まず、業務で使うスマホとアカウントの一覧を作り、誰が何を使うかを総務で把握してください。次に、退職者や異動者のアカウントが残っていないかを確認し、不要なものは停止します。最後に、端末の画面ロックと更新(アップデート)を徹底する方針を担当者へ共有します。