日本政府も資金提供しているインターポールのThink Twiceキャンペーンとは何か?

 インターポール(国際刑事警察機構)がThink Twiceというキャンペーンを行っています。Think Twiceとは熟考する、よく考えるという意味があり、デジタル世界に対する警鐘の意味が込められているようです。このキャンペーンには日本政府も資金を提供しているということです。

デジタル上の行為にはより慎重さが必要

 インターポールのThink Twiceキャンペーンは、サイバー犯罪や金融犯罪の脅威の高まりに対して意識を高めることが目的で、ランサムウェア攻撃、マルウェア攻撃、フィッシング、生成AI、ロマンスベイティングという増加している5つのオンライン上の脅威に焦点を当てているということです。ロマンスベイティングとは日本ではロマンス詐欺などと呼ばれているSNSなどを悪用した詐欺行為です。インターポールによるとこれらのオンラインを悪用した犯罪が大幅に増加しており、マルウェア攻撃は過去1年で30%以上増加、従業員の約20%が知らないうちにマルウェアを実行している実態があるということです。また、フィッシング攻撃が進化しており、生成AIを使用してリアルな人間のアバターが作成されて世界中の人々が騙されているということです。

 Think Twiceキャンペーンは、疑わしいリンクや情報に遭遇した時は対面による確認を行い、デジタル上のやりとりは慎重によく考えてから行うように個人を啓発することが主な狙いのようです。このキャンペーンではAFJOC、ASPJOCを通じてイギリス外務省、イギリス連邦、イギリス開発省、またプロジェクトRescueを通じて日本政府から資金提供を受けているということです。AFJOCはAfrican Joint Operation against Cybercrimeの略で、ASPJOCはAsia and South Pacific Joint Operation on Cybercrimeの略です。それぞれアフリカのサイバーセキュリティ強化とアジアおよび南太平洋地域の法執行機関のサイバー犯罪対策能力の強化を目的としたインターポールのプロジェクトです。

トクリュウ、闇バイト‥‥深刻化するアジアの犯罪が背景に

 また、プロジェクトRescueとはインターポールによるとサイバー詐欺に対する南アジアおよび東南アジア全域の法執行能力強化を目的としたプロジェクトだということです。このプロジェクトを通じて日本政府はThink Twiceキャンペーンに資金提供をしているということです。

 Google Cloud Securityの2025年のサイバーセキュリティ予測「Cybersecurity Forecast2025」では「東南アジアのサイバー犯罪者は革新を続ける」との項目を立てて以下のように記しています。

アジアの犯罪組織は現在、マルウェア、ジェネレーションAI、ディープフェイクなどのテクノロジーを取り入れて、マネーロンダリングのニーズに応える新しいビジネスモデルを確立しています。この地域の組織的なサイバー犯罪は急速に進化しており、この傾向はJAPAC地域での活動の拡大につながる可能性があります。政府と企業が定期的な情報共有を行い、サイバー犯罪の戦術、技術、手順を理解し、違法な資金の流れを追跡できるようにすることが重要です

 日本においてトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)や闇バイトとしてメディアで報道され警察庁が重点を置いて捜査している数々の事件もアジアのサイバー脅威の高まりの一端にあります。金融機関を騙って日常的にパソコンやスマホに送られてくるフィッシングメールやスミッシングの向こう側には世界的なサイバー脅威の高まりがあるということをまずは認識することが重要だと思います。

■出典

https://www.interpol.int/en/News-and-Events/News/2024/INTERPOL-campaign-warns-against-cyber-and-financial-crimes

https://cloud.google.com/blog/topics/threat-intelligence/cybersecurity-forecast-2025?hl=en

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