サイバー犯罪をはじめさまざまな犯罪の温床になった世界最大のダークネット市場、Hydra(ヒドラ)の創設者とみられる人物にロシアの裁判所が終身刑を言い渡したということです。
麻薬から偽造文書、盗難クレカ、マネロン‥
Hydraは2015年に登場したダークネット上のロシア語のマーケットプレイス(市場)です。麻薬、偽造文書、偽造身分証明書、盗難されたクレジットカード、ハッキングツール、マネーロンダリングサービスなどなど犯罪にかかる様々なモノやサービスが売買され、その規模はダークネット市場の暗号資産取引全体の約80%を占めると言われ、世界最大のダークネット市場と言われました。販売アカウントは1万9000にのぼり、顧客アカウントも1700万にのぼるとされ、それらはTorの暗号化ネットワークによって秘匿されていました。
サイバー犯罪者たちはダークネット市場で必要なモノやサービスを揃えて犯罪を実行し、犯罪で窃取したデータをダークネット市場で売りさばき、違法収益はマネーロンダリングサービスで洗浄することで犯罪を循環させ肥大化させてきた実態があります。Hydraはそうした市場の中でもっとも規模が大きな市場として知られていました。しかし、2022年4月、ドイツ当局がHydraのサーバーと暗号通貨ウォレットを押収することに成功、世界最大のダークネット市場は幕を閉じました。米司法省は、Hydraの閉鎖と合わせて、当時30歳のロシア在住の男をHydraのサーバーを管理していたとして起訴しましたが、この男とみられる人物はロシア当局が麻薬の製造や販売等の罪で逮捕したことが報じられています。
ロシアとベラルーシで活動していた
そして昨年12月、この男とは別にHydraの創設者とみられる男にモスクワの裁判所が終身刑を言い渡したとロシアのメディアが報じました。タス通信のネット記事によると、モスクワの裁判所はHydraの創設者、スタニスラフ・モイセーエフ被告に終身刑を言い渡すとともに共犯として15人に懲役8~23年を言い渡したということです。罪状は麻薬や向精神薬の違法な製造や販売で、2015年から2018年10月までロシアとベラルーシで活動し禁止薬物を販売していたということです。モスクワの裁判所は違法薬物の製造、販売グループに対して罪状を言い渡したということのようであり、必ずしもHydraとの関係が裁判の中心になっていたわけではないようですが、ロシアメディアはHydraの創設者として報じています。
また、インタファクス通信によるとロシア内務省は2016年以降Hydraに関係する犯罪コミュニティに対して捜査を行っているということです。つまるところ世界最大のダークネット市場の「胴元」とは、ロシアからベラルーシ一帯で活動していた麻薬や向精神薬を違法に製造、販売していた犯罪グループだったということのようです。Hydraはそれら麻薬や向精神薬を販売する目的でつくられたが、肥大化してサイバー犯罪を含むさまざまな犯罪の温床になっていったということなのかもしれません。創設者がどのような人物なのかについての報道はなく詳細は不明です。
■出典
https://news.bitcoin.com/alleged-hydra-administrator-dmitry-pavlov-reportedly-arrested-in-russia/