【2026年6月最新】SCS評価制度とは?サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度をわかりやすく解説

SCS評価制度は、サプライチェーンを構成する企業のセキュリティ対策状況を、共通の基準で確認しやすくするための任意制度です。★3・★4については、2027年3月頃の運用開始が予定されています。

現時点では、公開されている要求事項や評価基準をもとに、自社の規程、運用、証跡を点検し、準備を進める段階です。

SCS対応というと、「新しいセキュリティ製品を導入しなければならないのではないか」と考える方もいるかもしれません。しかし、特定の製品を導入すること自体が目的ではありません。既存のツールや社内運用で対応できる項目もあります。

一方で、すべてをExcelやメール、担当者の手作業だけで管理しようとすると、確認、催促、記録、報告にかなりの負担がかかります。SCSの準備では、要求事項を満たすことだけでなく、その運用を無理なく続けられるかまで考えておく必要があります。

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SCS評価制度とは

SCS評価制度の正式名称は、「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度」です。経済産業省と内閣官房国家サイバー統括室の監督のもと、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が制度を運営します。

現在、企業間取引では、発注元ごとに異なるセキュリティチェックシートへの回答を求められることがあります。受注企業にとっては、似た質問に何度も回答する負担があり、発注企業にとっても、取引先の対策状況を同じ基準で比較しにくいという問題があります。

SCS評価制度は、必要なセキュリティ対策の水準を「★」で示し、発注者と受注者が共通の基準で対策状況を確認できるようにする仕組みです。

企業を単純に順位付けすることが目的ではありません。取引先や委託先を含めたサプライチェーン全体で、セキュリティ対策を底上げすることが制度の狙いです。

SCS評価制度はいつ始まるのか

IPAの公表情報では、★3・★4は2027年3月頃の運用開始が予定されています。要求事項と評価基準はすでに公開されていますが、申請方法や取得ガイド、制度上の専門家、評価機関など、今後公表される情報も残っています。

そのため、現時点では正式な申請を始める段階ではありません。ただし、規程、台帳、アカウント管理、パッチ管理、バックアップ、教育記録などは、短期間で一気に整えられるものではありません。

制度の詳細がすべて決まるまで待つよりも、公開済みの基準を使って、自社の不足事項を整理しておく方が現実的です。特に、複数部署にまたがるルールや運用は、社内調整だけでも時間がかかります。

制度開始前の準備について
SCS評価制度の具体的な実施内容は、現在も詳細化が進められています。今後公表される制度規程、申請方法、取得ガイドなどにより、準備内容が変わる可能性があります。

SCS評価制度は義務なのか

SCS評価制度は任意制度です。取得していないことだけを理由に、すべての商取引が一律に禁止される制度ではありません。

ただし、発注企業が、取り扱う情報や業務の重要性に応じて、取引先に一定のセキュリティ水準を求めることは考えられます。

そのため、「法律上の義務ではないから対応しなくてよい」と判断するのではなく、主要取引先からどのような確認を受けているか、自社がどのような情報やシステムを預かっているかを踏まえて考える必要があります。

また、特定のEDR、資産管理、バックアップ、教育サービスなどを導入しなければ、SCSに対応できないという制度でもありません。

既存のツールや手作業の運用で対応できる場合もあります。まずは、現在の環境でどこまで対応できているかを確認することが先です。

製品導入が必須ではないのに、なぜ運用自動化を考える必要があるのか

SCS対応では、ツールを導入しているかどうかだけでなく、対策が継続的に実施され、その記録が残っているかが重要になります。

たとえば、アカウント管理では、入社時の発行だけでなく、異動時の権限変更、退職時の停止、定期的な棚卸しが必要です。パッチ管理では、更新プログラムを配布するだけでなく、未適用端末の確認や例外管理も必要になります。

これらをすべて手作業で行うことも不可能ではありません。しかし、対象端末や従業員が増えるほど、次のような作業が積み上がります。

  • 担当者への確認依頼
  • 期限前のリマインド
  • 未対応者への再連絡
  • 実施結果の回収
  • 台帳への転記
  • 証跡ファイルの保存
  • 月次・四半期レポートの作成
  • 経営層への報告資料の作成

整備した直後は手作業で回せても、数か月後には担当者の負担が増え、更新が止まってしまうケースがあります。特に、少人数の情報システム部門では、SCS対応だけに専任者を置くことは難しいでしょう。

そのため、規程や台帳を作る段階で、どの業務を手作業で行い、どの業務をツールやワークフローで自動化するかを決めておくことが大切です。

すべてを自動化する必要はありません。人の判断が必要な作業と、機械的に処理できる作業を分けることがポイントです。

人が判断した方がよい業務自動化しやすい業務
対象範囲やリスクの判断定期タスクの発行
例外対応の承認期限前のリマインド
規程や方針の最終承認未完了タスクの集計
重大な脆弱性への対応判断パッチ適用結果の収集
インシデント発生時の経営判断教育受講状況の集計

自動化は、単なる省力化ではありません。担当者が変わっても同じ流れで運用できるようになり、対応漏れや記録漏れも減らせます。

SCS対応を長く続けることを考えると、整備時点で運用コストまで見積もり、必要な部分だけツールや外部サービスを組み込む方が、結果的に負担を抑えやすくなります。

どのような企業が準備を検討すべきか

SCSは、特定の業種や大企業だけを対象とする制度ではありません。特に、次のような企業は早めに現在地を確認しておく価値があります。

  • 大手企業やグループ会社からセキュリティチェックを求められている
  • 取引先の機密情報、個人情報、システム情報を取り扱っている
  • 製造、物流、IT受託、保守、BPOなど、他社の業務継続に関係するサービスを提供している
  • 複数の取引先から、異なる質問票への回答を求められている
  • 規程はあるが、実際の運用や記録が追いついていない
  • セキュリティ運用が一部の担当者に集中している

企業規模だけで判断するのではなく、取引先との接続、預かっている情報、業務停止時の影響をもとに検討する必要があります。

★3と★4は何が違うのか

現時点で要求事項と評価基準が公開されているのは★3と★4です。両者は、単純な点数の違いではありません。求められる対策水準と評価方法が異なります。

比較項目★3★4
想定水準一般的なサイバー脅威に対処するための基礎的な水準被害拡大防止や取引先のデータ・システム保護まで重視する水準
評価方法セキュリティ専門家の確認を伴う自己評価評価機関による第三者評価と技術検証
準備の考え方規程、基本運用、証跡の整備を中心に進めるより詳細な技術対策や検証への準備が必要

★4の取得に★3の取得が必須という関係ではありません。ただし、多くの企業にとっては、まず★3の要求事項を使って基礎的な管理状況を整理し、その後、取引上の必要性や自社のリスクに応じて★4を検討する方が進めやすいでしょう。

SCS対応では何を準備するのか

SCS対応では、規程、実際の運用、証跡の3つを切り離さずに確認します。

規程・ルール

情報セキュリティ基本方針、資産管理、アカウント管理、パッチ管理、バックアップ、インシデント対応などについて、責任者、実施内容、頻度を定めます。

既存のISMS規程や社内規則を利用できる場合もありますが、現在の組織やシステム環境と合っているかを確認する必要があります。

実際の運用

規程に書かれていても、実行されていなければ意味がありません。退職者アカウントの削除、権限棚卸し、パッチ適用、復旧テスト、教育などを、誰がどの頻度で行うか具体化します。

証跡・記録

対策を実施していても、後から確認できる記録がなければ説明できません。資産台帳、権限棚卸し記録、パッチ適用結果、バックアップ結果、教育受講履歴、インシデント記録などを残します。

継続するための仕組み

規程、運用、証跡を用意した後、それをどのように続けるかも決めます。担当者の記憶だけに頼らず、年間カレンダー、タスク管理、リマインド、証跡保存、レポート作成まで含めた流れを作ります。

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SCS★3に向けて、何から始めるべきか

  1. 対象範囲を決める
    どの法人、部署、拠点、システム、クラウドサービスを対象とするか整理します。
  2. 現在の対策を確認する
    規程、運用、ツール、担当体制を要求事項と照合し、対応済み、一部対応、未対応、不明に分けます。
  3. 既存資料と証跡を確認する
    規程があるかだけでなく、実際の作業記録が残っているかを確認します。
  4. 不足事項に優先順位を付ける
    MFA、アカウント管理、パッチ、バックアップ、インシデント対応など、影響の大きい課題から着手します。
  5. 規程、運用、技術対策を整備する
    現在の仕組みを活用できるか確認し、必要に応じてツールや外部サービスを利用します。
  6. 運用負担を見積もる
    誰が、毎月何時間かけて、どの作業を行うのかを整理します。
  7. 自動化する業務を決める
    リマインド、集計、証跡収集、レポート作成など、定型業務の自動化を検討します。
  8. 定期運用を開始する
    月次、四半期、年次のタスクを決め、継続的に見直します。

最初から高額な製品をそろえる必要はありません。小規模なうちは手作業で十分な業務もあります。

ただし、将来の対象拡大を考えずに手作業だけで設計すると、従業員数や端末数が増えたときに運用が破綻します。まずは人が回せる仕組みを作り、負担が大きい部分から段階的に自動化する方法が現実的です。

SCS対応で起こりやすい失敗

製品を導入すれば対応が終わると思ってしまう

EDR、MFA、資産管理、バックアップなどは有効ですが、導入しただけでは運用は完成しません。担当者、確認頻度、例外処理、証跡の保存方法まで決める必要があります。

手作業で運用できるかを検討しない

チェックリストを作っただけでは、毎月の確認、催促、集計、報告が発生します。初期費用だけでなく、年間の運用時間や担当者の負担も見積もるべきです。

すべてを自動化しようとする

逆に、最初からすべてを自動化しようとすると、設計や構築が複雑になります。判断や承認は人が行い、繰り返し作業だけを自動化する方が進めやすくなります。

規程のひな形を配布して終わる

ひな形は便利ですが、会社の体制や実際の業務に合っていなければ使われません。責任者、承認者、期限、実施方法を自社用に調整する必要があります。

一度の診断で完了したと考える

従業員の入退社、クラウドサービスの追加、新しい脆弱性、組織変更などにより、環境は変わり続けます。取得準備だけでなく、継続運用を前提に設計する必要があります。

今から準備するメリット

制度開始前に準備する目的は、早く評価を取得することだけではありません。

要求事項を共通の基準として利用すれば、取引先からの質問票対応、社内予算の説明、規程の見直し、ツールの重複整理、インシデント対応体制の改善にもつなげられます。

また、運用を整える段階で自動化まで検討しておけば、SCS対応だけでなく、日常の情報システム業務にも効果があります。

  • 入退社時のアカウント処理を早くする
  • 未適用パッチを自動で把握する
  • 教育の未受講者へ自動通知する
  • バックアップエラーを担当者へ通知する
  • 月次レポート作成の手間を減らす
  • 監査や取引先確認時に証跡を探しやすくする

SCSをきっかけに、これまで人に依存していたセキュリティ業務を整理し、継続しやすい形へ変えていくことができます。

SCS評価制度に関するよくある質問

SCSを取得しないと取引できなくなりますか?

SCSは任意制度です。取得していないことだけを理由に、すべての取引が一律に禁止される制度ではありません。ただし、個別の取引条件として一定の対策水準を求められる可能性はあります。

特定のセキュリティ製品は必須ですか?

特定製品の導入は一律の必須条件ではありません。既存ツール、手動運用、外部委託、新規製品などを組み合わせて対応します。

ただし、対象端末や従業員が多い場合、手作業だけでは負担が大きくなります。継続性や人件費まで考えると、資産管理、パッチ管理、アカウント管理、教育、バックアップ、証跡管理などは、必要に応じて自動化を検討した方がよいでしょう。

ISMSを取得していればSCS対応は不要ですか?

ISMSで整備した規程や管理の仕組みを活用できる可能性はあります。ただし、SCSの要求事項や評価基準と照合し、実施状況と証跡を確認する必要があります。

無料診断だけで取得可否が分かりますか?

無料診断は、自己申告に基づいて現在の準備状況を確認するものです。正式な判断には、対象範囲、既存規程、設定内容、運用記録などの確認が必要です。

★4の準備も相談できますか?

★4は、第三者評価や技術検証が想定されており、★3とは準備範囲が異なります。対象範囲や技術環境を確認したうえで、個別に支援内容を検討します。

まとめ

SCS評価制度への対応では、新しい製品を導入すること自体が目的ではありません。まず、自社の規程、運用、証跡を確認し、既存の仕組みで対応できる部分と、不足している部分を分ける必要があります。

その一方で、「ツールが必須ではない」という理由だけで、すべてを手作業にするのも現実的ではありません。毎月の確認、リマインド、記録、集計、報告には継続的なコストがかかります。

準備段階で運用負担まで見積もり、繰り返し作業を自動化し、人は判断や改善に集中できるよう設計することが大切です。

SCS対応を一度きりの書類作成で終わらせず、普段のセキュリティ運用を見直す機会として活用することが、最も実務的な進め方です。

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参考情報


本記事について
本記事は2026年6月時点で公表されているIPAおよび経済産業省の情報をもとに作成しています。制度の詳細は今後変更・追加される可能性があります。最新情報はIPAの公式サイトをご確認ください。

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