8baseランサムウェア「.8base」は中小企業を中心に、感染を拡大しているランサムウェアです。
8baseランサムウェアに感染すると、データの暗号化だけでなく、機密情報や個人情報を盗まれ、情報を人質に多額の身代金の支払いを求められる場合があります。
本稿では、8baseランサムウェアの特徴と、感染時の対策について詳しく解説します。
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8baseランサムウェアの特徴
2022年3月に出現した8baseランサムウェアは、感染したシステム上のファイルを暗号化し、拡張子「.8base」を付加します。
8baseランサムウェアの最大の特徴は「二重恐喝」と呼ばれる手口です。一般的なランサムウェア感染の症状のデータの暗号化だけでなく、感染先のシステムから機密情報を窃取し、身代金の支払いがなされない場合には、個人情報などを攻撃者のリークサイト上で不特定多数に向けて公開すると脅迫します。
8baseランサムウェアの被害企業
8baseランサムウェアは、アメリカを中心に、オランダやイギリスなどのヨーロッパ、ベトナムなど東南アジアでも感染被害が報告されており、国内企業においても感染事例があります。被害に遭った企業の業種はTrendMicroの調べによると製造業、IT、教育の分野が上位となります。
出典:TrendMicro
8baseランサムウェアの感染経路
8baseランサムウェアの主要な感染経路は以下の通りです。
- フィッシングメール
- RDPの脆弱性
フィッシングメール
8Baseランサムウェアの主要な感染経路の1つは、フィッシングメールを利用した攻撃です。攻撃者は、正規の企業や組織からの連絡を装ったフィッシングメールを標的となる個人や組織に送信します。
メール内には、マルウェアを含む添付ファイルやリンクが埋め込まれており、受信者がこれらを開くとランサムウェア感染が始まります。
8Baseランサムウェアは、SmokeLoaderと呼ばれるマルウェアの亜種を利用して攻撃を行うことが知られています。このマルウェアは、標的のシステムに侵入した後、追加のマルウェアをダウンロードし、8Baseランサムウェアの本体を展開する特徴があります。
出典:Check Point
RDPの脆弱性
8baseランサムウェアの感染経路の1つに、リモートデスクトッププロトコル(RDP)の脆弱性を悪用する方法があります。攻撃者はツールを使用して、脆弱なRDPポートを特定します。これらのポートは、適切に保護されていない場合や設定ミスがある場合に攻撃の標的となります。
攻撃者は発見した脆弱なRDPポートに対し、大量のパスワードを試行し、正しい認証情報を見つけ出そうとします。一度アクセスに成功すると、攻撃者は被害者のシステムに侵入し、ネットワーク内部での横方向の移動や特権昇格を試みます。
8baseランサムウェアに感染した場合の対処法
8baseランサムウェアに感染した場合、以下の手順で対処しましょう。
- ネットワークから切断する
- ログなどの証拠を収集する
- 警察に相談する
- 取得済みバックアップからデータ復旧を行う
- ランサムウェア感染調査会社に相談する
ネットワークから切断する
感染が確認された端末は、直ちにネットワークから切断する必要があります。LANケーブルを抜くか、Wi-Fiをオフにして、物理的に接続を遮断します。これにより、ランサムウェアの拡散を防ぎ、他の端末やシステムへの感染を阻止できます。
また、攻撃者によるデータの窃取や追加のマルウェアのダウンロードを防ぐことができます。ネットワークから切断することで、被害の拡大を最小限に抑え、対応のための時間を確保することができます
ログなどの証拠を収集する
感染端末のログやシステム情報を収集することは、攻撃の経路や範囲を特定する上で重要です。システムログ、ネットワークログ、セキュリティソフトのログなどを保存します。
また、暗号化されたファイルの拡張子や、表示されたランサムノートの内容も記録します。これらの情報は、ランサムウェアの種類を特定し、適切な対応策を講じる上で重要な手がかりとなります。さらに、法的対応や保険請求の際の証拠としても活用できます。
警察に相談する
サイバー犯罪対策課など、警察のサイバーセキュリティ部門に速やかに相談することが重要です。警察は最新の脅威情報や対処法に関する知見を持っており、適切なアドバイスを提供できる可能性があります。
また、被害届を提出することで、犯罪統計に反映され、将来的な対策強化につながります。さらに、国際的な捜査協力により、攻撃者の特定や資金の追跡に貢献する可能性もあります。
取得済みバックアップからデータ復旧を行う
定期的に取得していたバックアップがある場合、それを使用してデータを復旧します。バックアップを使用する前に、そのバックアップが感染前のものであることを確認することが重要です。
復旧作業は、完全にクリーンな環境で行い、感染源を完全に排除した後に実施します。バックアップからの復旧は、身代金を支払わずにデータを取り戻す最も効果的な方法です。
ランサムウェア感染調査会社に相談する。
8baseランサムウェアに感染してしまった場合、情報漏洩が発生した可能性が極めて高く、法人の場合、個人情報などが漏洩した場合、感染経路や情報漏洩の範囲、被害の範囲を調査する必要があります。これは2022年4月に施行された「改正個人情報保護法」で義務化されています。
法律での「事業者の守るべき責務」は次の通りになっています。
- 漏えい等が発生した場合、個人情報保護委員会への報告、および本人への通知が義務化される(従来は努力義務)
- ペナルティ(罰金)の強化
- 不正アクセスによる漏えいは件数を問わず、たとえ1件であっても本人への通知が義務化
法人が措置命令違反で課せられる罰金刑は上限50万円から1億円に引き上げられました。被害企業にセキュリティ体制の不備や過失が認められる場合、取引先から損害賠償請求を受ける可能性もあります。
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調査対象 | PC、スマートフォン、サーバ、外付けHDD、USBメモリ、SDカード、タブレット など |
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8baseランサムウェア感染を予防する方法
8baseランサムウェアに感染しないためには、社内セキュリティを強化することが重要です。主なセキュリティ対策の方法は以下の通りです。
- ランサムウェア対策ソフトを導入する
- データのバックアップを定期的に取得しておく
- ユーザー認証情報を強力なものに再設定する
- ネットワーク セグメンテーションを実施する
- 従業員にセキュリティ トレーニングを実施する
ランサムウェア対策ソフトを導入する
8baseランサムウェアの対策にはランサムウェア対策ソフトの導入が効果的です。高度な振る舞い解析やWebフィルタリング、ウイルスの検知・駆除などの機能によって、未知のランサムウェアにも対応できる能力を持っています。
8baseランサムウェアに関しては、フィッシングメールを通じて初期侵入を行うことから、メールにフィルタリング機能を付けることも感染の予防につながります。
データのバックアップを定期的に取得しておく
ランサムウェア感染に備えて、データのバックアップを定期的に取得しておきましょう。ランサムウェア感染に伴うデータの喪失を最小限に抑えられます。数カ月から1年分のバックアップを、クラウド上や外付けHDDなどに保存しておき、感染リスクを低減させましょう。
ユーザー認証情報を強力なものに再設定する
ユーザー認証情報を強化するには二要素認証(2FA)やトークンベースの認証を導入し、複雑で長いパスワードに設定しておきましょう。これにより、フィッシング攻撃や資格情報の侵害によるアクセスを防ぎます。
定期的なパスワード変更やアカウントの監視を実施し、不正アクセスの兆候を早期に発見することが重要です。最小権限の原則に基づくゼロトラストセキュリティを実装することで、マルウェアが検知されずに必要なアクセス権を取得する可能性を低減できます。
ネットワーク セグメンテーションを実施する
ネットワークセグメンテーションとは重要なデータや機密情報を含むシステムを分離し、アクセス制御を厳格化することです。これにより端末がランサムウェアに感染しても、感染範囲を制限できます。
また、端末の異常な通信パターンや不審なアクセスを検出しやすくなり、早期の対応が可能になります。さらに、セグメント間の通信を監視し、必要最小限のアクセスのみを許可することで、ランサムウェアの拡散リスクを大幅に低減できます。
従業員にセキュリティ トレーニングを実施する
8baseランサムウェアは主にフィッシングメールを通じて初期侵入を行うため、従業員教育が極めて重要です。不審なメールの見分け方、安全なウェブ閲覧習慣、適切なパスワード管理などについて定期的なトレーニングを実施します。
また、ソーシャルエンジニアリング攻撃への対処方法や、セキュリティインシデントの報告手順についても教育が必要です。従業員の意識向上により、人的要因による感染リスクを大幅に軽減できます。
まとめ
近年国内でも感染が報告されている8baseランサムウェアに感染したら、システムの認証情報や個人情報が漏洩する恐れがあります。身代金の支払いの有無に関係なく不特定多数に情報が公開される可能性があるため、すぐにランサムウェア感染の専門家に相談し、感染経路や情報漏えい調査を行い、被害の全容の把握に努めましょう。