Cl0pランサムウェアの特徴と感染時の対応について解説

Cl0p(Clop)ランサムウェアは2021年に攻撃グループのメンバーが逮捕されましたが、グループの壊滅には至っておらず、2024年も攻撃が続いています。

Cl0p(Clop)ランサムウェアに身代金を支払っても、支払いの遅さや身代金を支払い不可能な金額までつりあげられ、リークサイトに情報を公開されることがあります。加えて、身代金を犯罪グループに支払ったとして企業の責任問題に発展する可能性もあるため、身代金は絶対に支払わないようにしましょう

本記事ではCl0pランサムウェアの特徴と感染した場合の対処法について詳しく解説しています。

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Cl0pランサムウェアの特徴

Cl0pランサムウェアは、感染するとファイルを暗号化して拡張子を「.clop」、「.CIIp」、「.Cllp」、「.C_L_O_P」などに変更します。

その後「ClopReadMe.txt」、「README_README.txt」、「!!!_READ_!!!.RTF」などの題名の文書が届き、身代金を支払わなければ、盗んだ情報を公開するといった脅迫文が表示されます。

このような手口は「二重恐喝」と呼ばれ、実際に身代金を支払っても暗号の復号や情報の公開を取りやめる確証はありません。

出典:Fortinet

Cl0pランサムウェアの歴史

Cl0pランサムウェアは2019年に発見され、CryptoMixの亜種として知られるランサムウェアです。2020年以降以降、ファイル転送プラットフォームの脆弱性を利用したゼロデイ攻撃を行うことが特徴的です。

2021年にはCl0pランサムウェアの攻撃メンバー六人が警察に逮捕されましたが、以降もCl0pランサムウェアの感染被害は続き、2021年にSolarWindsのServ-U FTPが標的となりました。

2023年には大規模攻撃が相次ぎ、Fortra社のGoAnywhere MFTプラットフォームの脆弱性を悪用した攻撃や、MOVEit Transferと呼ばれるファイル転送ソフトの脆弱性が悪用され、2,772の組織から情報が流出したことが報告されています。

出典:BLEEPING COMPUTER

Cl0pランサムウェアの感染経路

Cl0pランサムウェアの感染経路にはソフトの脆弱性が活用されます。

2023年にアメリカで大規模な感染被害をもたらしたCl0pランサムウェアは、ファイル転送ソフトであるMOVEit Transferの脆弱性「CVE-2023-34362」を狙って攻撃しました。

この脆弱性は、認証されていない人物でもデータベースにアクセスできる性質があります。

また、2024年12月には感染経路に、Cleo製ファイル転送ソフト脆弱性「CVE-2024-50623」と「CVE-2024-55956」が使われます。

以上の脆弱性はそれぞれ「遠隔で無制限にファイルのダウンロードとアップロードができる」「未認証のユーザーがホストシステム上で任意のbash、PowerShellコマンドを実行できる」というものです。

Cleo Harmony®、Cleo VLTrader®、Cleo LexiCom®を使用している場合は、すぐにセキュリティパッチ バージョン5.8.0.24以降のセキュリティパッチを適用しましょう。

出典:BLEEPING COMPUTER

Cl0pランサムウェアに感染した場合の対処法

Cl0pランサムウェアの特徴と感染時の対処法について徹底解説ランサムウェアに感染した場合、以下の手順で対処しましょう。

  • ネットワークから切断する
  • ログなどの証拠を収集する
  • 警察に相談する
  • 取得済みバックアップからデータ復旧を行う
  • ランサムウェア感染調査会社に相談する

ネットワークから切断する

感染が確認された端末は、直ちにネットワークから切断する必要があります。LANケーブルを抜くか、Wi-Fiをオフにして、物理的に接続を遮断します。これにより、ランサムウェアの拡散を防ぎ、他の端末やシステムへの感染を阻止できます。

また、攻撃者によるデータの窃取や追加のマルウェアのダウンロードを防ぐことができます。ネットワークから切断することで、被害の拡大を最小限に抑え、対応のための時間を確保することができます

ログなどの証拠を収集する

感染端末のログやシステム情報を収集することは、攻撃の経路や範囲を特定する上で重要です。システムログ、ネットワークログ、セキュリティソフトのログなどを保存します。

また、暗号化されたファイルの拡張子や、表示されたランサムノートの内容も記録します。これらの情報は、ランサムウェアの種類を特定し、適切な対応策を講じる上で重要な手がかりとなります。さらに、法的対応や保険請求の際の証拠としても活用できます。

警察に相談する

Cl0pランサムウェアに感染したら、最寄りの警察署やサイバー事案に関する相談窓口に相談すると、適切なアドバイスがもらえます。

また、取得したログなどを証拠として提出することで、警察の捜査につながり、犯人グループの逮捕につながることがあります。

取得済みバックアップからデータ復旧を行う

定期的に取得していたバックアップがランサムウェアに感染していなければ、バックアップからシステムのデータを復旧します。復旧作業は、ランサムウェア除去ソフトなどで完全にランサムウェアを除去してから実施します。

ランサムウェア感染調査会社に相談する

Cl0pランサムウェアに感染してしまった場合、情報漏洩が発生した可能性が極めて高く、法人の場合、個人情報などが漏洩した場合、感染経路や情報漏洩の範囲、被害の範囲を調査する必要があります。これは2022年4月に施行された「改正個人情報保護法」で義務化されています。

法律での「事業者の守るべき責務」は次の通りになっています。

  • 漏えい等が発生した場合、個人情報保護委員会への報告、および本人への通知が義務化される(従来は努力義務)
  • ペナルティ(罰金)の強化
  • 不正アクセスによる漏えいは件数を問わず、たとえ1件であっても本人への通知が義務化

法人が措置命令違反で課せられる罰金刑は上限50万円から1億円に引き上げられました。被害企業にセキュリティ体制の不備や過失が認められる場合、取引先から損害賠償請求を受ける可能性もあります。

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  • 「ランサムウェア感染調査や対処を個人で行うのが不安」
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  • 「確実な調査や対処を行いたい」

このような場合は、「ランサムウェアに感染しているのか」「いつ、どのような経路でウイルス感染したのか」「漏洩した情報の範囲」について専門業者で調査することをおすすめします。

こちらの業者は、民間の調査会社でありながら官公庁や大手企業との取引実績も多く信頼でき、幅広い調査に対応していておすすめです。

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デジタルデータフォレンジック

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Cl0pランサムウェア感染を予防する方法

Cl0pランサムウェアに感染しないためには、社内セキュリティを強化することが重要です。主なセキュリティ対策の方法は以下の通りです。

  • ランサムウェア対策ソフトを導入する
  • データのバックアップを定期的に取得しておく
  • ユーザー認証情報を強力なものに再設定する
  • ネットワーク セグメンテーションを実施する
  • 最新のOSやバージョンにアップデートする

ランサムウェア対策ソフトを導入する

Cl0pランサムウェアの対策にはランサムウェア対策ソフトの導入が効果的です。高度な振る舞い解析やWebフィルタリング、ウイルスの検知・駆除などの機能によって、未知のランサムウェアにも対応できる能力を持っています。

データのバックアップを定期的に取得しておく

ランサムウェア感染に備えて、データのバックアップを定期的に取得しておきましょう。ランサムウェア感染に伴うデータの喪失を最小限に抑えられます。数カ月から1年分のバックアップを、クラウド上や外付けHDDなどに保存しておき、感染リスクを低減させましょう。

ユーザー認証情報を強力なものに再設定する

ユーザー認証情報を強化するには、VPNやリモートデスクトップに二要素認証(2FA)やトークンベースの認証を導入し、複雑で長いパスワードに設定しておきましょう。これにより、フィッシング攻撃や資格情報の侵害によるアクセスを防ぎます。

定期的なパスワード変更やアカウントの監視を実施し、不正アクセスの兆候を早期に発見することが重要です。最小権限の原則に基づくゼロトラストセキュリティを実装することで、マルウェアが検知されずに必要なアクセス権を取得する可能性を低減できます。

ネットワーク セグメンテーションを実施する

ネットワークセグメンテーションとは重要なデータや機密情報を含むシステムを分離し、アクセス制御を厳格化することです。これにより端末がランサムウェアに感染しても、感染範囲を制限できます。

また、端末の異常な通信パターンや不審なアクセスを検出しやすくなり、早期の対応が可能になります。さらに、セグメント間の通信を監視し、必要最小限のアクセスのみを許可することで、ランサムウェアの拡散リスクを大幅に低減できます。

最新のOSやバージョンにアップデートする

Cl0pランサムウェアの感染を予防するためには、最新のOSやバージョンにアップデートすることが最も重要です。過去にCl0pランサムウェアの感染が報告されたMOVEit TransferやGoAnywhere MFT、現在被害が報告されているCleo製のファイル転送ソフトなどを使用している場合、バージョンが古ければすぐにパッチを適用して脆弱性を修正しましょう。

まとめ

Cl0pランサムウェアの攻撃メンバーは過去に逮捕されましたが、現在もCl0pランサムウェアの被害は発生しています。一度感染すると、システムの認証情報や個人情報が漏洩する恐れがあります。身代金の支払いの有無に関係なく不特定多数に情報が公開される可能性があるため、すぐにランサムウェア感染の専門家に相談し、感染経路や情報漏えい調査を行い、被害の全容の把握に努めましょう。

Cl0p ランサムウェア
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