ある日突然、重要な業務ファイルが開けなくなり、復号キーと引き換えに身代金を要求する脅迫メッセージが表示されるといったランサムウェアの被害が、今や大企業だけでなく中小企業や自治体、教育機関にまで広がっています。
本記事では、ランサムウェアの代表的な攻撃手口と、感染時に取るべき対応フロー、さらに将来的な被害を予防するための具体策を徹底解説します。企業の情報資産と信頼を守るために、ぜひ最後までご覧ください。
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ランサムウェア攻撃の手口
ランサムウェアは、外部から侵入してデータを暗号化し、復号のために身代金(多くは仮想通貨)を要求する悪質なマルウェアです。その手口は年々巧妙化しており、従来のメール添付型にとどまらず、VPNやリモートデスクトップの脆弱性を突いた侵入など、多岐にわたっています。
とくに最近では、以下のような手法が多く報告されています。
- 業務メールを装ったフィッシング攻撃によるマルウェア添付
- VPN機器のゼロデイ脆弱性を利用した侵入
- 使い回しのパスワードや管理者権限の不適切な管理
- ソフトウェアアップデートの不備を狙ったサプライチェーン攻撃
攻撃者は企業ネットワークに侵入したあと、まずは管理権限を奪取し、ネットワーク内のバックアップサーバやファイル共有先に感染を拡大。暗号化だけでなく、機密情報を窃取したうえで「二重脅迫(身代金を支払わなければデータ流出を公表すると脅迫)」という手法を用いるケースもあります。
ランサムウェアの感染経路とは? 最新の傾向と防止対策を解説>
ランサムウェア感染が発覚した後の対応フロー
ランサムウェア感染が判明した際、慌てて操作を行うと二次被害や証拠喪失につながる恐れがあります。ここでは、初動対応から組織対応、技術的対応まで、順を追って実践すべき対応フローを詳しく解説します。
ネットワークを遮断する
感染の拡大を防ぐためには、まずネットワークの遮断が最優先です。他の端末やサーバへの被害波及を防ぐことで、被害の最小化が可能になります。
ネットワーク遮断の手順
- 感染が疑われる端末をLAN/Wi-Fiから直ちに切断
- 物理的にネットワークケーブルを抜く
- 無線接続もOFFにし、ネットワーク通信を完全に遮断
- 社内ネットワーク全体で不審な通信がないか調査
組織内外とインシデント対応体制を構築する
感染後は経営陣・情報システム部門・広報などを含むインシデント対応チームを速やかに立ち上げ、全社で情報共有と対応方針の決定を行う必要があります。
対応体制の立ち上げ手順
- 経営層を含むインシデント対応チーム(IRT)を招集
- 社内関係部署との連携体制を整備
- 外部のフォレンジック業者や顧問弁護士への連絡準備
- 情報の一元管理と公開方針の決定
個人情報保護委員会に速報を報告する
個人情報を含むデータが暗号化・流出した可能性がある場合、「個人情報の漏えい等の発生報告」が義務化されているため、速やかな通報が必要です。
速報提出の手順
- 被害状況を整理し、漏えいの有無を確認
- 個人情報保護委員会の専用フォームにアクセス
- 速報(速報報告書)を作成してウェブサイトから提出する
- 状況の変化に応じて続報・確報を準備
感染端末・サーバの調査と影響範囲特定
ランサムウェアの侵入経路や、暗号化された範囲を正確に把握することが、適切な復旧と再発防止策につながります。
感染状況調査の手順
- 感染した端末・サーバのログを取得
- ランサムウェアの種類や挙動を解析
- 通信ログやアクセス履歴から他端末への拡散を確認
- 疑わしいファイル・実行プロセスの特定と記録
バックアップデータの安全を確認し復旧する
安全なバックアップが確保されていれば、システムや業務データを比較的早期に復旧できます。復元前にはバックアップの改ざんや感染有無の確認が必須です。
バックアップ復旧の手順
- 最新かつ未感染のバックアップデータを選定
- 復元前にウイルススキャンを実施
- 隔離環境でテスト復元を行い、挙動を確認
- 安全が確認された後に本番環境へ復旧
感染前バックアップの選定基準と注意点
バックアップは「感染前の時点」に取得されたものである必要があります。自動バックアップが暗号化済みファイルを上書きしている可能性もあるため、復旧用としては不適切です。
可能な限り、時系列で複数世代のバックアップを保持し、感染時点より前のものを遡って検証することが望ましいです。復元時は誤って最新の感染済みデータを適用しないよう、細心の注意を払いましょう。
フォレンジック調査会社に相談する
ランサムウェアに感染した際、感染の原因や被害の範囲、情報漏洩の有無を正確に把握しなければ、再発のリスクや企業としての説明責任に対応できず、さらなる信頼失墜を招く可能性があります。
このような状況で重要となるのが、フォレンジック調査(デジタルフォレンジック)です。フォレンジック調査とは、感染した端末やサーバ、ネットワーク機器などに残されたログやデータを専門技術で解析し、サイバー攻撃の痕跡・侵入経路・被害範囲・情報流出の有無などを科学的に明らかにする調査手法です。
この調査を専門家に相談すべき理由は、警察や個人情報保護委員会など公的機関への報告や、取引先・顧客への説明責任が発生する場面において、第三者による専門的な調査結果が大きな信頼の裏付けとなるためです。
ランサムウェアの被害を最小限にとどめ、速やかかつ確実に対応を進めるためには、早い段階で専門調査会社に相談し、状況の正確な把握と証拠保全を行うことが極めて重要です。初動を誤らず、長期的な企業リスクを回避しましょう。
編集部おすすめ調査会社:デジタルデータフォレンジック(おすすめ度)
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調査対象 | PC、スマートフォン、サーバ、外付けHDD、USBメモリ、SDカード、タブレット など |
サービス | ハッキング・不正アクセス調査、マルウェア・ランサムウェア感染調査、サイバー攻撃被害調査、退職者調査、労働問題調査、社内不正調査、情報持出し調査、横領着服調査、パスワード解除、データ改ざん調査、データ復元、デジタル遺品、離婚問題・浮気調査 など |
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デジタルデータフォレンジックは、国内トップクラスの調査力を有しており、累計3万9千件以上の豊富な実績があります。
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ランサムウェア感染被害の予防法
ランサムウェアの被害を防ぐためには、日頃からのセキュリティ対策が欠かせません。この章では、企業のIT担当者が実践すべき予防策を具体的に解説します。技術的な対策から運用面での留意点まで網羅しています。
VPN機器の脆弱性対策を行う
多くの企業がテレワークの普及によりVPNを導入していますが、設定の不備や古いファームウェアが攻撃対象になっています。VPN経由での不正侵入を防ぐため、定期的な更新と監視が必要です。
VPN対策の具体的手順
- 使用中のVPN機器のメーカーと型番を確認
- 最新ファームウェアの適用状況を確認し、即時更新
- 弱い暗号方式の使用を避け、TLS1.3などを採用
- 接続ログの監視体制を整備し、不審なIP接続をアラート
認証情報を適切に管理する
IDとパスワードの使い回しや共有管理は、外部からの不正アクセスを許す大きな要因となります。とくに管理者アカウントの漏えいは深刻な被害につながるため、厳格な運用が求められます。
認証情報管理の手順
- 全社でのパスワードポリシーを策定(複雑性・有効期限など)
- 二要素認証(MFA)を管理者アカウントには必ず設定
- 認証情報の共有・再利用を禁止
- 退職者・異動者のアカウントは即時停止
アクセス権限を最小化する
ユーザーが必要以上のファイルやシステムにアクセスできる状態では、ランサムウェア感染時に被害範囲が一気に拡大してしまいます。「必要最小限の権限」での運用が基本です。
権限管理の実施手順
- 社内システムの役割別アクセス権限を整理
- 共有フォルダごとのアクセスログを取得・点検
- 定期的に権限の棚卸しを実施
- 管理者権限の利用はログ記録・多段承認で制限
セキュリティ対策ソフトを導入する
エンドポイント対策として、EPP(Endpoint Protection Platform)やEDR(Endpoint Detection and Response)などの導入が有効です。リアルタイムで不審な動作を検知・隔離する機能を活用しましょう。
セキュリティソフトの導入手順
- 社内端末に合わせたEPP/EDR製品を選定
- 全端末にインストール・設定を行う
- 自動アップデートとスケジュールスキャンを有効化する
- セキュリティログの可視化と監視体制を整備する
平時よりバックアップデータを定期的に取得する
万一ランサムウェアに感染しても、クリーンなバックアップが残っていれば業務再開が可能です。クラウドサーバーや、外付けHDDなど、複数のバックアップ方法を組み合わせて管理しましょう。