パソコンで日常的に行われているファイルの移動やコピー。これらの操作は一見、何の問題もないように思えるかもしれませんが、企業にとっては機密情報の持ち出しや漏洩につながる重大なリスクをはらんでいます。とくに、誰がいつ何を移動させたかといった履歴を記録・監視していない場合、不正を見逃してしまう恐れもあるのです。
この記事では、「ファイル移動履歴とは何か?」という基本から、監視の必要性、不正な移動の見抜き方を解説します。
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ファイルの移動履歴とは?パソコン利用で知っておきたい基礎知識
ファイルの移動履歴とは、パソコンやサーバ上で「どのファイルが、いつ、誰によって、どこからどこへ」移動されたのかを記録したデータのことを指します。こうした履歴は一般的にログとして蓄積され、情報漏洩や内部不正などが疑われる際の調査において極めて重要な証拠となります。
また、IT資産の管理や業務効率の観点からも、正しい操作が行われているかを確認するうえで有効です。
ファイル移動の履歴が残る仕組みとログの種類
ファイル移動に関する情報は、主にOSやログ管理ソフトが生成する「ログファイル」として残ります。ログの記録内容や精度はシステム設定やツールの導入状況によって異なりますが、基本的には以下のような情報が記録対象となります。
- ユーザー名や端末名
- 操作日時
- 操作対象のファイル名・ファイルパス
- 移動元と移動先のパス
- 操作の種類(コピー、移動、削除など)
主に使用されるログには、次のようなものがあります。
- イベントログ:Windows環境では標準で備わっている記録機能で、ログオン情報やファイルアクセスなどを記録可能。
- 監査ポリシーによるログ:アクセス権や操作内容を詳細に記録でき、企業の情報セキュリティポリシーと連携して活用されます。
- サードパーティ製ログ管理ツール:より詳細な情報や可視化、アラート通知などの高度な監視機能を提供。
これらのログを活用することで、ファイル移動の全体像を正確に把握でき、不正行為の早期発見にもつながります。
ファイルの移動履歴を監視すべき理由
ファイルの移動履歴を監視することで、不正な操作を早期に察知したり、後から証拠として活用することが可能になります。特に、内部不正や情報漏洩のようなインシデントの多くは、日常的なファイル操作に紛れて発生するため、履歴の監視は不可欠です。ファイルの移動履歴を監視すべき理由は以下の通りです。
- 内部不正・情報漏洩の検出
- データガバナンスとコンプライアンス対策のため
- インシデント対応のスピードと精度を上げるため
内部不正・情報漏洩の検出
組織内の情報漏洩事件の多くは内部関係者によって引き起こされることがあります。
アクセス権を持つユーザや退職予定者が機密ファイルをUSBやクラウドストレージへコピー・移動するケースは手口として珍しくありません。
ファイルの移動履歴を監視することで、以下の内容がわかることがあります。
- 通常の業務フローとは異なるファイル操作
- 不自然な時間帯でのデータ移動
- 機密ファイルの外部デバイスへのコピー
といった異常行動(インシデントの予兆)をいち早く検出可能になります。
データガバナンスとコンプライアンス対策のため
金融・医療・官公庁など、機密性の高いデータを扱う業種では、
ログ管理・操作履歴の保管義務が法的・業界的に求められている(例:GDPR、HIPAA、ISMSなど)。
ファイル移動の監視は、以下の目的で必須です。
- 監査証跡(オーディットトレイル)の確保
- 不正アクセス時の事後調査
- 証拠保全による法的リスク回避
このようにファイルが「いつ・誰によって・どこからどこへ移動されたか」を明示的に記録することは、ガバナンス強化に直結します。
インシデント対応のスピードと精度を上げるため
万が一セキュリティインシデントが発生した際、
ファイルの移動ログは初動対応(インシデントレスポンス)の要になる。
- マルウェア感染後、暗号化されたファイルの経路追跡
- 誤送信されたファイルの回収可能性の評価
- 拡散されたファイルの影響範囲特定
特にEDR(エンドポイントでの脅威検知)やSIEM(セキュリティログをまとめて分析するツール)との連携で、
ファイル操作のタイムラインを構築することで、攻撃の全体像の把握と被害の最小化が可能になります。
ファイルの移動履歴を調べる方法
ファイルの移動履歴を調べる方法は以下の通りです。
- Windowsの監査ポリシーで監視する
- SIEMやEDRの監視ログで分析する
- フォレンジック調査を行う
Windowsの監査ポリシーで監視する
Windowsには標準で「監査ポリシー(Audit Policy)」っていうセキュリティ機能が存在し、ユーザーの操作やシステムイベントをイベントログとして記録できます。
正しく設定すれば、ファイルが「どのユーザーによって、どのファイルがどこに移動されたか」ログとして可視化できるようになります。
Windowsの監査ポリシーで監視する手順は以下の通りです。
- Windowsキー + Rを押して「ファイル名を指定して実行」を表示させる
gpedit.msc
と入力して Enterキーを押す- 左ペインのツリーをコンピュータの構成→Windows の設定→ローカル ポリシー→監査ポリシーの順でたどる
- 「このポリシー設定を定義する」にチェックをいれる
- 「成功」と「失敗」両方にチェックをいれて「OK」で保存するとファイル操作の監視準備が完了
- ファイル移動を監視したいフォルダを右クリックし、プロパティを表示
- 「セキュリティ」タブの詳細設定をクリックし、上部にある「監査」タブを開く
- 「追加」ボタンを押す
- ユーザーを選択し、「アクセスの種類」で監視したい操作にチェックを入れればログ取得の準備が完了
- 「ファイル名を指定して実行」にeventvwr.mscと入力してEnterキーを押す
- イベントビューア →Windows ログ →セキュリティの順でツリーを辿る
- 表示されたログの中から、4663(ファイルアクセス成功)、や4656(アクセス要求)などイベントIDを探す
SIEMやEDRの監視ログで分析する
SIEMやEDRを使えば、ファイル操作の時系列(タイムライン)を自動で構築し、異常な行動パターンを検知・可視化できます。
たとえば「業務時間外に機密ファイルを外部ドライブへコピーした」など、人の目では見落としやすい不正操作もリアルタイムに察知可能です。このようなツールの導入方法は以下の通りです。
- 監視対象端末にツールをインストール
- ツールの操作方法に従い、ファイル操作イベントを収集する
- SIEM上で検索クエリを実行してイベントを絞り込む
フォレンジック調査を行う
フォレンジックとは、デジタル証拠を収集・保全・分析し、事実を科学的に立証する技術・手法の総称です。
セキュリティインシデント発生後、誰が・何を・どのように操作したかを徹底的に追跡し、法的証拠能力のある形でレポート化するために主に使われますが、ファイルの移動履歴や削除の痕跡、外部デバイスへのコピー、隠蔽行為の有無なども、高精度に特定可能です。
フォレンジックは誤った手順で証拠を扱うとログが改変されたとみなされ、証拠能力が失われてしまう恐れがあります。
そのため自社内で中途半端にやるより、信頼できるフォレンジック専門の調査会社に依頼することが必須です。
インシデント対応の一環として、あるいは内部不正の兆候が見られた際は、
社内で取得できたログだけに頼るのではなく、「証拠として通用するデジタル解析」を行うべきかの判断を早期に下す必要があります。
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まとめ
ファイルの移動履歴を正確に把握・監視することは、情報漏洩の予兆検知、インシデント対応の迅速化、そしてガバナンス強化の観点から極めて重要です。
特に近年のゼロトラストやコンプライアンス重視の流れの中では、「誰が・いつ・どのファイルを・どこへ移動したか」を明確に可視化できているかどうかが、セキュリティ体制の成熟度を問う指標となる。
現場で実践可能な方法としては、Windowsの監査ポリシーやSIEM/EDRを用いたリアルタイム監視などがありますが、内部不正やサイバー攻撃など深刻な兆候が見られた場合には、ログ解析を超えてフォレンジック調査を実施し、法的にも証拠能力のある解析結果を確保することがが求められます。