RAID構成で「デグレードモード」と表示され、ストレージの動作が不安定になったことはありませんか？これはRAIDの一部に障害が発生しており、残るディスクで何とか稼働を続けている状態を意味します。このまま放置するとRAID全体の破損やデータ消失に繋がる危険が高く、早急な原因特定と対処が必要です。この記事では、RAIDがデグレードモードになる主な原因と、正しい復旧手順を具体的に解説します。
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RAIDがデグレードモードになる主な原因
RAIDアレイがデグレードモードになる原因は、主にハードウェア障害や操作ミスによるものです。この状態は、冗長性のあるRAID（RAID1・RAID5・RAID6など）において一部のディスクが故障しても動作を継続する際に発生します。
ただし、さらに障害が進行すると完全にRAIDが崩壊し、データが消失する危険性があるため、原因を正しく把握し迅速な対応が求められます。
システムや電源トラブル
突然の停電や電源ユニットの不具合、OSクラッシュなどにより、RAID構成情報が破損し、デグレード表示になる場合があります。UPS（無停電電源装置）の未導入環境では特に注意が必要です。
RAIDコントローラの不具合
RAIDコントローラカードの故障やファームウェアの不具合、設定ミスにより、ディスクが正常でもRAIDが正常に構成できず、デグレード状態になることがあります。
ディスクの誤った抜き差しや順序違いの交換
RAID構成のディスクを交換する際、手順を誤ったり、差し込み順序を間違えるとRAID情報が破損し、システムが正しい構成を認識できず、デグレードモードに移行する場合があります。
ハードディスクの故障・経年劣化
RAID構成のディスクで1台が物理的に故障すると、システムは「デグレード状態」となり、残りのディスクで動作を継続します。これはRAIDの冗長性による保護機能ですが、あくまで一時的な措置にすぎません。
この状態を修復しないまま運用を続けると、他のディスクにも負荷がかかり、追加の故障が発生するリスクが高まります。結果として、RAID全体が破損し、データにアクセスできなくなる深刻な事態を招く可能性があります。
RAID障害が発生した場合は、状況を正確に把握し、早急に専門的な診断と対処を行うことが重要です。
自力で修復する場合のリスク
自力で破損を修復しようとすると、誤った操作により状態が悪化し、復旧が困難になるリスクがあります。データ構造は非常に複雑で、知識がないまま操作すると、ファイルシステムがさらに破損したり、必要なデータが上書きされてしまうこともあります。適切な手順を踏まずに復元ソフトなどを使用すると、取り返しのつかないデータ損失につながる可能性もあるため、慎重な対応が求められます。
▶ 誤った操作でファイル構造を壊してしまう
▶ 不適切な復元処理でデータが上書きされてしまう
▶ 専門知識がないまま対応し状態を悪化させてしまう
ストレージデバイスの自力での修復は非常に難しく、誤った方法で作業を進めると、データが完全に失われるリスクがあります。安全にデータを復旧させたい場合、データ復旧業者に依頼することが確実です。編集部が厳選したおすすめ業者は下記のボタンからご参照ください。
RAIDがデグレード状態になったときの対処法
RAIDがデグレードモードに入った場合、正しい手順で対処することで正常な状態に戻すことができます。ただし、誤った操作や順序ミスはさらなる障害を引き起こす可能性があるため、慎重に行うことが必要です。
RAID管理画面・RAIDコントローラで故障ディスクを特定する
まずはRAIDの管理ソフトやBIOS上のRAIDユーティリティにアクセスし、どのディスクが故障しているのかを特定します。状態が「FAILED」や「OFFLINE」などになっているディスクが故障対象です。
故障ディスクの特定手順
- RAID管理ツール（例：Intel RST、MegaRAIDなど）を起動
- RAID構成情報を確認し、異常ステータスのディスクを確認
- エラーログやSMART情報から故障状況を記録
- ディスクのスロット番号と型番をメモしておく
故障ディスクを交換する
特定した故障ディスクを、同一仕様（容量・インターフェース・回転数など）の新品ディスクと交換します。機種が異なる場合、リビルドが正常に進行しないこともあります。
また、RAID機器がホットスワップ対応かどうかは事前に必ず確認してください。
ディスク交換手順
- RAID管理画面で対象ディスクを「取り外し」状態に設定（必要に応じて）
- 電源を切る（ホットスワップ非対応の場合）
- 故障ディスクを取り外し、新品ディスクを同じスロットに装着
- 電源を入れ、RAID管理ソフトで新ディスクを認識するか確認
RAIDのリビルド（再構築）を実行する
新しいディスクを装着すると、RAID管理ツール上で「リビルド」オプションが表示されることが多く、これを実行することでRAIDの冗長性が回復します。
リビルド中に電源を切ったりPCの操作を続けると、RAIDが完全に崩壊する恐れがあるため、完了まで待機することが非常に重要です。
RAIDリビルド手順
- RAID管理画面を開き、「リビルド」または「再構築」を選択
- 対象RAIDアレイを選び、処理を開始
- 進行状況バーが100%になるまで、電源断や再起動は行わない
- 完了後、RAIDが「正常」や「最適化済み」状態に戻ったことを確認
リビルド前に可能な限りバックアップを取得する
RAIDがデグレード状態でも、残存ディスクからデータが読み取れる状態であれば、リビルド前に重要なファイルのバックアップを行うことが推奨されます。リビルドに失敗した場合の保険になります。
バックアップ手順
- 外付けHDDやNASを準備
- 可能な範囲で重要なフォルダ・ファイルを手動でコピー
- リビルド処理前にバックアップが完了していることを確認
専門業者に相談する
ここまでの対処法を試しても改善できなかった場合、機器に重大なエラーや物理的な故障が生じている可能性が高いです。この場合、続けて使用すると損傷がひどくなり、復旧できなくなる可能性があります。さらに、自力で分解したり復旧作業を行うのも状態が悪化するケースが多いです。少しでもデータを失いたくない方は速やかに専門業者に相談することをおすすめします。
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特に物理障害の場合、クリーンルームでの対応が可能かを確認することが重要です。
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まとめ
ストレージ機器に物理障害が発生している状態で、むやみに通電や再起動、フリーソフトの使用、分解などを行うと、状況が悪化し、復旧の難易度が大きく上がることがあります。特にHDDやSSDは精密機器であり、ちょっとした刺激や誤操作でも内部パーツが傷ついたり、データが上書きされたりして、最終的に復旧不可能になるリスクもあります。誤った対処で大切なデータを失ってしまう前に、まずは専門業者への相談をおすすめします。