Fortinet製品のSSL-VPN機能に発見されたゼロデイ脆弱性「CVE-2024-21762」は、認証不要で任意のコード実行が可能となる非常に危険なセキュリティホールです。すでに実際の攻撃でも悪用されているとされ、対応の遅れが組織全体のセキュリティ崩壊を招く恐れがあります。
本記事では、この脆弱性と、侵害有無を確認するための現実的なアプローチについて、実務目線で詳しく解説します。すでに対象バージョンを使用している企業や、過去に使用履歴のある環境は、ただちにチェックと対処が必要です。
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【CVE‑2024‑21762】脆弱性の概要
CVE-2024-21762は、Fortinet社が提供するFortiOSのSSL-VPN機能に存在するゼロデイ脆弱性です。この脆弱性は、攻撃者が認証を必要とせずに任意のコードを実行できるという深刻な内容であり、外部からの侵入や機密情報の漏洩につながる可能性があります。
特に、インターネットに公開されているSSL-VPNポートが開放されたままの状態で運用されている環境では、脆弱性の悪用によってリモートから攻撃されるリスクが極めて高くなります。
Fortinet社はこの脆弱性を「実際に悪用された可能性がある(exploited in the wild)」と報告しており、ゼロデイ脆弱性としての深刻度が高く評価されています。
【CVE‑2024‑21762】CVSS による深刻度「クリティカル/高」
【CVE‑2024‑21762】はネットワーク経由・認証不要・ユーザー操作不要で攻撃が成立する、極めて危険性の高い脆弱性です。
以下はCVSS 3.1指標に基づく詳細な評価項目です。
CVSS 3.1 評価指標
提供元 | Base Score | 深刻度 | Vector |
---|---|---|---|
CNA: Fortinet | 9.6 | Critical(緊急) | CVSS:3.1/AV:N/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:H/I:H/A:H |
Vector Breakdown(各要素の意味)
項目 | 値 | 意味 |
---|---|---|
AV(Attack Vector) | N(Network) | ネットワーク経由の攻撃 |
AC(Attack Complexity) | L(low) | 攻撃の難易度は低い |
PR(Privileges Required) | N(None) | 攻撃に認証不要 |
UI(User Interaction) | N(None) | ユーザーの操作不要 |
S(Scope) | U(Unchanged) | 権限スコープの変化なし |
C(Confidentiality) | H(High) | 情報漏洩の重大リスクあり |
I(Integrity) | H(High) | データ改ざんの重大リスクあり |
A(Availability) | H(High) | 可用性(サービス停止)への重大リスクあり |
出典:NVD
【CVE‑2024‑21762】脆弱性に影響を受けるシステムとベンダー情報
【CVE-2024-21587】脆弱性に影響を受けるシステムとベンダー情報は以下の通りです。
製品名 | 影響を受けるバージョン | 備考 |
---|---|---|
FortiOS | 7.4.0 ~ 7.4.2 | 脆弱性あり |
FortiOS | 7.2.0 ~ 7.2.6 | 脆弱性あり |
FortiOS | 7.0.0 ~ 7.0.13 | 脆弱性あり |
FortiOS | 6.4.0 ~ 6.4.14 | 脆弱性あり |
FortiOS | 6.2.0 ~ 6.2.15 | 脆弱性あり |
FortiOS | 6.0.0 ~ 6.0.17 | 脆弱性あり(EoL間近) |
Fortinetは既に、脆弱性を修正したHotfix版および新バージョンを公開しています。
全ての対象バージョンついて速やかなアップデートの適用が強く推奨されています。
出典:NVD
【CVE‑2024‑21762】脆弱性で想定される被害
CVE‑2024‑21762によりシステムが被害を受けた場合、単に一部のVPN機能が停止するだけにとどまらず、企業ネットワーク全体に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
ここでは、本脆弱性を悪用された場合に想定される主な被害を解説します。
- 認証不要で任意コードやコマンドを実行される
- 構成情報や個人情報が漏洩する
- 他のサイバー攻撃の踏み台とされる
認証不要で任意コードやコマンドを実行される
本脆弱性は、FortiOSのSSL-VPN機能に存在しており、攻撃者は認証手続きを経ることなく、インターネット経由で直接コマンドやシェルコードを実行できてしまいます。つまり、攻撃対象のシステムに一切ログインせずに、外部からシステム内部へアクセスできるということです。
これにより、マルウェアの設置、バックドアの埋め込み、情報の窃取、システム破壊といった多岐にわたる攻撃が可能になります。また、管理者権限での実行が可能なケースでは、ファイル操作・ユーザー追加・サービスの停止などの操作も行われる恐れがあります。
いわば「玄関の鍵を壊す必要すらない」状態であり、完全に外部から乗っ取られるリスクがある非常に危険な脆弱性です。
構成情報や個人情報が漏洩する
脆弱性を突いてシステム内部に侵入された場合、FortiOSの設定ファイル、ユーザー認証情報、VPNセッション情報などが攻撃者の手に渡る可能性があります。特にSSL-VPNは、社内ネットワークへのアクセスゲートウェイとして利用されているため、ここに保存されているアカウント情報や通信ログは非常に高い価値を持ちます。
一度でも認証情報を奪取されれば、正規ユーザーになりすまして社内ネットワークへ自由にアクセスできる状態となり、侵害範囲が一気に広がります。また、FortiOSには管理者用の設定情報も含まれるため、設定ファイルからネットワーク構成や接続先情報などが漏洩すれば、外部からの攻撃計画に利用される可能性もあります。
このような情報漏洩は、顧客情報・従業員データ・取引情報などの流出につながる重大なインシデントに発展します。
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他のサイバー攻撃の踏み台とされる
FortiOSのSSL-VPN機能が侵害されると、そこを拠点として他のサーバやネットワーク機器へと侵入を広げる「ラテラルムーブメント」が可能となります。攻撃者はまずFortiOSを足がかりにして、内部ネットワークのスキャンを行い、未対策のシステムや既知の脆弱性を持つ機器へ次々と侵入していきます。
また、侵害されたVPN機器を使って、他社や取引先への攻撃中継(踏み台)として悪用するケースも報告されています。このような事態が発生すると、被害企業は加害者としての責任も問われ、法的リスクや信用失墜に直結します。
単なるVPN機能の不具合ではなく、全社的なセキュリティインシデントへと発展する可能性があるため、導入企業は被害の可能性を軽視すべきではありません。
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サイバー攻撃の恐れがある場合は専門業者に相談する
CVE-2024-21762のようなゼロデイ脆弱性が報告された場合、自社のシステムがすでに侵害されていないかを確認することは極めて重要です。
特に、過去に脆弱なバージョンのFortiOSを利用していた履歴がある場合や、現在もSSL-VPNを公開状態で運用している場合には、侵入を許している可能性を真剣に疑うべきです。
そのような状況では、フォレンジック調査会社への相談を強く推奨します。
フォレンジック調査とは、サイバー攻撃や不正アクセスなどのインシデントに対し、被害状況の特定・証拠の収集・攻撃の経路分析を行う調査を指します。
主に以下のような調査が行われます。
- サーバやネットワーク機器のログ分析
- メモリやディスクのデータ解析(メモリダンプ、ディスクイメージなど)
- 不正アクセスの痕跡やマルウェアの特定
- 攻撃手法や侵入経路の特定
- 法的証拠能力を保った状態での証拠保全
フォレンジック調査によって、「侵害があったのか/なかったのか」「いつ・どこから・どうやって侵入されたのか」という全体像を把握することが可能になり、その結果は法的対応や保険申請時の根拠資料としても活用される場合もあります。
ただし社内だけで調査を行うと、攻撃者が痕跡を削除していたり、ログが不完全であったりすることで、正確な判断ができないことが多々あります。
また、不用意な操作によって証拠を破壊してしまうリスクもあるため、初動対応からプロに任せるのが最も安全で確実です。
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まとめ
CVE‑2024‑21762は、Fortinet製品に存在するゼロデイ脆弱性の中でも、特に即時悪用のリスクが高く、企業の中核システムに直結する重大インシデントを引き起こす可能性を持っています。
SSL-VPNという「入口」が侵害されれば、そこから内部ネットワーク全体に攻撃が波及する恐れがあり、パッチ未適用のまま運用していた場合は、すでに何らかの侵入があったと考えるべきです。
そのため、単に脆弱性の有無を確認するだけでなく、「実際に攻撃されていないか」を確かめるためのフォレンジック調査が極めて重要になります。
社内だけでの確認には限界があるため、専門のフォレンジック調査会社に早期に相談し、証拠保全・攻撃痕跡の洗い出し・被害範囲の特定を行うことで、被害の長期化や二次被害を防ぐことができます。
CVE‑2024‑21762のようなゼロデイ脆弱性への対応は、もはやIT部門の問題ではなく、経営レベルで向き合うべきリスク管理の課題です。
自社の安全を守るために、パッチの即時適用とともに、インシデント発生を前提とした「備え」としてのフォレンジック対応体制の整備が今、求められています。