従業員による「商品の横流し」は、発覚が遅れると損害の回収が困難になり、法的責任追及の機会を失う恐れもあります。組織内での監視や通報体制が不十分な場合、不正が長期化しやすく、内部統制の抜け穴を突かれます。
この記事では、商品横流しの原因やリスク、再発防止策を体系的に整理し、社内対策の見直しに役立てていただけるよう解説します。
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商品の横流しとは
商品の横流しとは、企業が保有または取り扱っている商品・在庫を、正規の販売ルートや業務プロセスを無視し、第三者に無断で流通・販売させる行為を指します。一般的には、販売や在庫管理に携わる従業員が関与するケースが多く、企業資産の私的流用に該当します。
この行為は、単なる社内ルール違反に留まらず、刑法上の犯罪行為として処罰の対象になる可能性があります。特に、以下のような法的構成が考えられます。
- 業務上横領罪(刑法第253条)…業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の拘禁刑(※2025年の法改正により、懲役・禁錮が統合)に処する。
- 窃盗罪(刑法第235条)…他人の財物を窃取した者は、10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処する。
以上のように、商品の横流しは企業にとっては刑事事件化・損害回復・再発防止を見据えたトータルな対応が求められます。単なる「内部の問題」として処理しようとすると、取り返しのつかない法的リスクを抱えることになります。企業は、不正の早期発見体制と、対応マニュアルの整備を日頃から行っておくことが極めて重要です。
万が一、横流しと思われる不審な行為や不正の兆候に気づいた場合は、速やかに匿名相談可能な専門の調査会社までご連絡ください。
商品の横流しが発生する原因
なぜ商品が横流しされるのか、いくつかの典型的な要因があります。単独犯行のほか、組織ぐるみで行われるケースもあるため、全社的な視点でリスクを把握することが重要です。
- 管理体制の甘さ
- 不正を助長する職場環境
- 個人の金銭トラブルや誘惑
管理体制の甘さ
商品の受け渡し記録が手作業で管理されている、担当者が一人で完結してしまうといった場合、不正があっても発見されにくくなります。特に、在庫管理システムに監査ログが残らない構造だと、証拠の特定が困難です。
不正を助長する職場環境
常態的に残業やノルマが過剰な職場では、「会社が悪い」といった言い訳で不正に手を染める従業員も出てきます。内部通報制度が機能していない環境では、不正が見過ごされる可能性が高まります。
個人の金銭トラブルや誘惑
借金やギャンブルなど個人的な金銭問題から、安易な収入源として商品横流しに手を出すケースもあります。特に換金性の高い商品を扱う業務では、監視や権限設計が必須となります。
業務上横領罪に該当する横流しが企業に与えるリスクと被害
横流しが刑事事件に発展した場合、単に商品の損失にとどまらず、企業ブランドや従業員の士気にも大きなダメージを与えます。以下に、主なリスクを整理します。
- 信頼失墜
- 法的責任・刑事罰
- 金銭的損失と経営悪化
信頼失墜
内部不正が報道された場合、取引先・顧客・株主など社外ステークホルダーからの信用を一気に失う可能性があります。再構築には長い時間とコストがかかります。
法的責任・刑事罰
業務上横領罪が成立すれば、加害社員は刑事罰を受けることになります。また企業としても、管理責任や労務管理の不備を問われ、労基署や監査法人の調査対象となることがあります。
金銭的損失と経営悪化
商品の損失だけでなく、調査・懲戒処分・弁護士対応などに多大なコストがかかるほか、被害額の回収が難航することも少なくありません。
ここまでの内容で、横流しが企業にもたらす深刻な被害をご理解いただけたかと思います。しかし、商品管理体制を見直すだけでは再発は防げません。
実際には、ログの解析や証拠保全を伴う専門調査を行わなければ、立証できなくなる恐れがあります。自力での調査には限界があるため、早い段階での第三者対応が不可欠です。
不審な操作の兆候がある場合は、証拠が残っているうちに相談することが重要です。
商品横流しが発覚した際の対処法
横流しが疑われる、または実際に発覚した場合には、感情的な対応ではなく冷静に手順を踏むことが重要です。証拠の隠滅を防ぎつつ、事実関係を客観的に把握し、企業としての対応方針を整理する必要があります。
- 横流しの証拠を収集して保全する
- フォレンジック調査を行う
- 関係者に事情聴取を実施する
- 懲戒解雇や民事請求、刑事告訴の是非を検討する
- 社内外のステークホルダーに報告する
横流しの証拠を収集して保全する
内部通報や監査、物流データの異常などから横流しが疑われた場合、直ちに事実確認に向けた仮説の立案を行い、対象となる商品・取引・関係者を特定します。この段階で最も重要なのは、証拠が存在するシステムや媒体へのアクセスを即時制限し、証拠の改ざんや削除を防ぐことです。
業務端末の使用制限、サーバーやクラウド上のログの保全、倉庫内監視映像の退避など、あらゆる関連記録を上書き前に確保する初動対応が求められます。ロックダウンの遅れが、証拠消失につながる可能性があるため注意が必要です。
フォレンジック調査を行う
社内調査のみでは、証拠の真正性や証拠能力が不十分になるケースが多く、懲戒処分や法的手続きに耐えうる証拠確保の観点からも、第三者の専門機関によるフォレンジック調査が推奨されます。
調査対象の端末や記録媒体は、電源を切らずにネットワークから隔離し、状態を維持したままビット単位のイメージ取得(ディスクの完全コピー)を実施します。取得時にはハッシュ値(改ざん検出用のデジタル指紋)も記録し、証拠の整合性を担保します。
フォレンジック調査では、削除済みのファイルや改ざんの痕跡も復元可能な場合もあり、「誰が・いつ・何をしたか」の時系列を技術的に裏付けることができます。これにより、本人の言い逃れは極めて困難となります。
関係者に事情聴取を実施する
関係者への聴取は、証拠保全の完了後に実施するのが原則です。聴取を先行すると、証拠の隠滅や供述のすり合わせといった行動を招くおそれがあるため、タイミングを誤らないよう注意が必要です。
聴取は、確保された証拠に基づいて行い、言質(ごまかしが効かない発言)を取ることが重要です。曖昧なヒアリングではなく、事実に即した質問設計が求められます。
懲戒解雇や民事請求、刑事告訴の是非を検討する
社内規定に基づき、就業規則違反に該当するかを判断し、懲戒解雇などの処分を検討します。懲戒解雇を行う際は、違反行為の立証と手続きの正当性が必要です。不十分な証拠のまま処分を強行すると、「不当解雇」や「名誉毀損」として訴訟リスクを抱えることになります。
また、民事での損害賠償請求や、刑事告訴(窃盗罪・業務上横領罪など)も選択肢として検討すべきです。これらは、フォレンジック調査によって得られた証拠が根拠となり、対応の正当性を裏付ける材料となります。
社内外のステークホルダーに報告する
事実関係と証拠保全が完了した後は、速やかに社内関係部署、経営層、監査法人、取引先などのステークホルダーへ報告を行います。特に取引先や親会社への報告が遅れると、企業全体の信頼を損ねる要因となりかねません。
また、重大な不正行為が疑われる場合には、内部統制の不備として監査対応や再発防止策の説明を求められる可能性もあるため、報告は「誰に・いつ・何を伝えるか」の計画性が重要です。
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商品横流しの予防方法
商品の横流しの再発を防ぐためには、構造的に不正を起こしにくい体制を整えることが重要です。従業員に依存しない仕組みを作ることで、抑止効果と早期発見の双方を実現できます。
- 在庫・商品管理の徹底
- 内部統制・監査体制の強化
- 通報制度・コンプライアンス研修の実施
在庫・商品管理の徹底
商品の出入りに関わる業務を「人任せ」にせず、システムによる統制をベースとした運用体制を構築することが、不正抑止に直結します。具体的には以下のような対策が有効です。
- 在庫管理システムの導入と、操作ログの自動取得
- 出庫処理における多段階の承認フローを作成
- 棚卸作業を第三者部門主体で実施する
内部統制・監査体制の強化
単に現場任せにするのではなく、横断的かつ継続的に業務フローを監視・検証できる体制が求められます。管理者だけでなく、監査部門・経営層も関与した多層的なチェック体制を整備することで、不正の目を早期に摘むことが可能です。
- 定期的な内部監査の実施
- 抜き打ち監査の導入
- 業務フロー上の権限と実作業の乖離を監査する仕組みづくり
以上のような仕組みの導入で「監査されている」という意識を現場に根付かせることで、不正行為への心理的ハードルを上げる効果があります。
通報制度・コンプライアンス研修の実施
早期発見には、現場からの自発的な通報が非常に有効です。そのためには、匿名性が担保された内部通報制度の整備が不可欠です。さらに、通報制度の有効性を高めるには、全従業員を対象としたコンプライアンス研修の継続的な実施も重要です。
まとめ
商品の横流しは、企業の資産を侵害する重大な社内不正であり、発覚が遅れれば損失の拡大や刑事事件への発展も避けられません。社内調査だけでは限界があるため、証拠の保全や原因特定にはフォレンジック調査が効果的です。
再発防止には、仕組みや制度の整備が欠かせません。従業員の行動だけでなく、管理体制や職場環境の見直しを通じて、リスクを最小化することが重要です。