商品横流しは業務上横領に該当する?立証に必要な証拠と企業の対応を解説

従業員による商品の横流しは、状況によっては業務上横領に該当する可能性がある重大な不正行為です。発覚が遅れれば損害の拡大だけでなく、十分な証拠を確保できず、法的責任の追及や損害回収が困難になるおそれもあります。

本記事では、商品横流しが業務上横領にあたる可能性や、企業が立証するために必要な証拠、適切な初動対応と再発防止策について整理します。

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商品の横流しとは

商品の横流しは、企業が保有・管理している商品や在庫を、正規の業務手続きを経ずに第三者へ流通させる行為を指します。販売担当者や在庫管理担当者など、業務上商品を取り扱う立場にある従業員が関与するケースが多く見られます。

こうした行為が「業務上横領」に該当するかどうかは、最終的には法律上の要件に基づいて判断されます。一般に、業務上横領と評価されるためには、

  • 業務として他人の財物を占有していること
  • その財物を自己または第三者の利益のために不法に処分する意思があること

といった要素が問題になります。

商品横流しは、これらの要件に該当する可能性がある行為といえますが、実際にどのような評価になるかは、具体的な事実関係や証拠状況によって異なります。

重要なのは、「横流しがあったかどうか」だけでなく、その事実を客観的に立証できるかどうかです。

業務上横領に該当する可能性がある典型的な事例

商品の横流しが問題となる場面として、次のようなケースが想定されます。

  • 在庫として管理していた商品を無断で外部に販売する
  • 廃棄予定品と偽って持ち出し、転売する
  • 売上を計上せずに商品を第三者へ引き渡す
  • 共犯者と連携し、伝票処理を操作して商品を流出させる

これらの行為が実際にどのような法的評価を受けるかは専門家の判断に委ねられますが、企業として問題になるのは、行為の有無や関与範囲をどのように把握するかです。
例えば「防犯カメラ映像に不自然な搬出が記録されているか」「在庫データと実在庫に差異があるか」「社内端末やメール、チャットに転売に関するやり取りが残っていないか」といった客観的資料が、事実関係を整理するうえで重要になります。

横流しが疑われる段階では、「処分をどうするか」よりも前に、「何が起きたのかを正確に把握すること」が優先されます。事実確認が不十分なまま対応を進めると、後に紛争へ発展した際に不利な状況に置かれる可能性もあります。

そのため、横流しが業務上横領にあたる可能性がある場合には、まず証拠の保全と客観的な事実整理を行うことが、企業としての適切な初動対応といえます。

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商品横流しを業務上横領として立証するために必要な証拠

商品横流しが疑われる場合、重要なのは「不正があったと感じること」ではなく、客観的資料に基づいて事実関係を整理できるかどうかです。
業務上横領に該当する可能性がある事案では、行為の有無、関与者、時期、数量、利益の流れなどを具体的に示す証拠が求められます。

そのためには、複数の証拠を組み合わせた立体的な検証が必要になります。

防犯カメラ映像の保全と解析

店舗や倉庫、搬出口などに設置された防犯カメラ映像は、物理的な搬出行為を裏付ける重要な資料となります。

  • 商品の持ち出し状況
  • 不自然な時間帯の出入り
  • 複数名による共同行為の有無

といった点を確認することで、事実関係の整理が可能になります。

ただし、防犯カメラ映像は保存期間が限られている場合が多く、上書きによって消失するリスクがあります。また、映像データを不用意に抽出・編集すると真正性に疑義が生じることもあります。早期の保全と適切な解析が重要です。

社内PC・メール・チャットログのフォレンジック

横流しが継続的または計画的に行われている場合、社内端末や業務用メール、チャットツールに以下のような関連するやり取りが残っていることがあります。

  • 転売先との連絡履歴
  • 在庫処理に関する不自然な指示
  • データ削除やログ改変の痕跡

フォレンジック調査では、削除されたデータの痕跡やアクセス履歴も含めて解析を行い、時系列で行動を再構成します。これにより、単なる疑いではなく、具体的な事実の積み上げが可能になります。

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在庫データ・会計データの突合分析

商品横流しは、物理的な持ち出しだけでなく、帳簿やシステム上の処理にも痕跡が残ります。

  • 在庫数量と実在庫の差異
  • 売上未計上の出庫
  • 廃棄処理や返品処理の不自然な増加

などを突合することで、不正の可能性を客観的に検証できます。

会計データや在庫管理システムのログと、防犯カメラや端末データを組み合わせることで、証拠の精度は高まります。単一の証拠だけではなく、複数資料の整合性が重要です。

取得したデータは、真正性を担保できる方法で保存し、後から改変されていないことを説明できる状態にしておくことが重要です。証拠の扱いを誤ると、事実確認そのものが困難になる可能性があります。

特にデジタルデータの改ざんは容易なため、フォレンジック調査会社に保全作業と調査を一括で実施してもらうことを推奨します。

証拠不十分の場合に起こるリスク

商品横流しの疑いがあっても、客観的な証拠が十分にそろっていなければ、企業側の主張が認められない可能性があります。感覚的な判断や状況証拠だけで対応を進めることは、かえって企業リスクを高める結果につながります。

例えば、十分な裏付けがないまま懲戒解雇などの処分を行った場合、後に紛争へ発展し、処分の妥当性が争われることがあります。客観的資料に基づく事実認定ができていなければ、企業側の判断が否定される可能性も否定できません。

また、業務上横領に該当する可能性があるとして刑事手続きを検討する場合でも、行為の具体性や関与の程度、故意の有無などを裏付ける証拠が不足していれば、立件に至らないケースもあります。疑いの存在と立証可能性は別問題です。

さらに、損害賠償請求を行う際には、損害額や不正行為との因果関係を客観的に示す必要があります。証拠が不十分であれば、請求そのものが難航し、十分な回収が実現しない可能性もあります。

横流し事案において重要なのは、「疑わしい」状態で判断することではなく、「立証できる」状態まで整理することです。証拠の精度が、そのまま企業の法的ポジションを左右します。

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商品の横流しが発覚した際の正しい初動対応

横流しが疑われる、または実際に発覚した場合には、感情的な対応ではなく冷静に手順を踏むことが重要です。証拠の隠滅を防ぎつつ、事実関係を客観的に把握し、企業としての対応方針を整理する必要があります。

社内でやってはいけないNG行動

商品の横流しが発覚した直後に、関係者へ即座に問い詰める、端末の中身を確認する、データをコピーするといった行為は証拠隠滅につながるので実施してはいけません。

特に注意すべき行動は次のとおりです。

  • 関係者に事前通知なく事情聴取は行わない
  • 業務端末を通常操作で確認しない
  • 防犯カメラ映像を再生・編集しない
  • 在庫データを上書き修正しない

無暗な事情聴取だけでなく、デジタル端末の操作を行うことで、意図せず証拠の状態を変化させる可能性があります。基本的に証拠となるものは保全を行って下さい。

防犯カメラ・端末データを触る前にすべきこと

まず行うべきは、関連機器やデータの現状維持です。

  • 防犯カメラの自動上書き設定の確認
  • 業務端末やサーバーのネットワーク隔離
  • 在庫管理システムのアクセス制限

といった措置により、証拠の消失を防ぎます。

特に防犯カメラ映像やログデータは保存期間が限られている場合が多く、数日で上書きされるケースもあります。保存期間を確認し、退避措置を取ることが重要です。

この段階では、内容を精査するよりも、まず「消えない状態」を確保することが優先されます。

フォレンジック調査会社に依頼すべきタイミング

次のような状況に該当する場合は、早期にフォレンジック調査会社への相談を検討すべきです。

  • 不正が複数回にわたり行われている可能性がある
  • データ削除や改ざんの疑いがある
  • 懲戒処分や法的手続きを視野に入れている
  • 社外への説明責任が生じる可能性がある

フォレンジック調査では、対象端末のイメージ取得やログ解析を行い、行為の時系列や関与範囲を客観的に整理します。これにより、推測ではなく証拠に基づく判断が可能になります。

フォレンジック調査で明らかになること

フォレンジック調査の目的は、不正の有無を断定することではなく、客観的事実を技術的に再構成することです。商品横流し事案では、複数のデータを突合することで、行為の全体像を立体的に整理できます。

代表的な確認事項は次のとおりです。

確認できる内容主な分析対象整理できるポイント
実行日時防犯カメラ映像、アクセスログ、在庫処理履歴商品搬出やデータ操作が行われた具体的日時、単発か継続かの判断
共犯の有無メール・チャット履歴、共有フォルダ利用履歴単独行為か、複数名による関与かの検証
データ削除・改ざんの痕跡削除ログ、更新履歴、操作ログ意図的な隠蔽行為の有無、証拠隠滅の可能性
転売経路の痕跡端末内取引記録、送金履歴、メッセージアプリ履歴商品の流通先や金銭の流れの推測、損害額算定の補強

これらの情報は、単一のデータから得られるものではありません。
防犯カメラ、端末データ、在庫管理システム、会計情報などを横断的に分析することで、事実関係の整合性を確認していきます。

商品横流し事案では、「疑いがある」という状態から「客観的に説明できる」という状態へ移行できるかどうかが重要です。フォレンジック調査は、そのための基盤を整える役割を担います。

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商品横流しの予防方法

商品の横流しの再発を防ぐためには、構造的に不正を起こしにくい体制を整えることが重要です。従業員に依存しない仕組みを作ることで、抑止効果と早期発見の双方を実現できます。

  • 在庫・商品管理の徹底
  • 内部統制・監査体制の強化
  • 通報制度・コンプライアンス研修の実施

在庫・商品管理の徹底

商品の出入りに関わる業務を「人任せ」にせず、システムによる統制をベースとした運用体制を構築することが、不正抑止に直結します。具体的には以下のような対策が有効です。

  • 在庫管理システムの導入と、操作ログの自動取得
  • 出庫処理における多段階の承認フローを作成
  • 棚卸作業を第三者部門主体で実施する

内部統制・監査体制の強化

単に現場任せにするのではなく、横断的かつ継続的に業務フローを監視・検証できる体制が求められます。管理者だけでなく、監査部門・経営層も関与した多層的なチェック体制を整備することで、不正の目を早期に摘むことが可能です。

  • 定期的な内部監査の実施
  • 抜き打ち監査の導入
  • 業務フロー上の権限と実作業の乖離を監査する仕組みづくり

以上のような仕組みの導入で「監査されている」という意識を現場に根付かせることで、不正行為への心理的ハードルを上げる効果があります。

通報制度・コンプライアンス研修の実施

早期発見には、現場からの自発的な通報が非常に有効です。そのためには、匿名性が担保された内部通報制度の整備が不可欠です。さらに、通報制度の有効性を高めるには、全従業員を対象としたコンプライアンス研修の継続的な実施も重要です。

まとめ

商品の横流しは、状況によっては業務上横領に該当する可能性がある重大な不正行為です。しかし、企業にとって本当に重要なのは「該当するかどうか」だけではなく、「客観的に立証できるかどうか」です。

証拠が不十分なまま処分や法的対応を進めると、紛争リスクや損害回収不能といった二次的な問題に発展する可能性があります。そのため、発覚直後の初動対応と証拠保全が、企業の法的ポジションを大きく左右します。

防犯カメラ映像や社内端末データ、在庫・会計情報を適切に保全・分析することで、事実関係を客観的に整理することが可能になります。疑いの段階で拙速に判断するのではなく、証拠に基づく対応を行うことが、企業リスクの最小化につながります。

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