公益通報と情報漏洩リスクの境界とは?通報者保護と企業対応の正しい考え方

公益通報者保護法は、企業などの法令違反を通報した労働者を不利益取扱いから守る制度です。安心して声を上げられる環境を整えることが、この法律の目的です。

ただし保護は無制限ではなく、通報の目的が公益性に基づき、その手段や情報の扱いが適切であることが前提です。必要以上の機密情報を持ち出した場合などは、保護の対象外となる可能性もあります。

企業側も「通報者は悪意がある」と決めつけず、通報内容の公益性を冷静に見極める必要があります。本記事では、公益通報と情報漏洩リスクの境界線、企業が取るべき対応について解説します。

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公益通報とは?保護の仕組みと企業側の義務

公益通報とは、従業員などが勤務先の不正行為や法令違反を把握し、それを内部または外部の適切な機関に報告・申告する行為を指します。2006年に施行された「公益通報者保護法」により、通報を理由とした解雇、降格、減給、嫌がらせなどの不利益な取扱いは禁止され、通報者は法的に保護されます。

2022年6月の法改正では、従業員が300人を超える企業に対し、内部通報制度の整備が義務化されました。これにより、通報窓口の設置、通報内容の適切な管理、調査体制の強化が求められています。

また、通報者の特定や通報内容の漏洩に関しては、厳格な守秘義務が課されており、違反した場合には企業や担当者に対して行政処分や刑事罰が科される可能性もあります。

参考文献:e-Gov

参考文献:消費者庁「公益通報者保護法概要」

法人が注意すべき公益通報による“情報持ち出し”のリスクとは

一方で、公益通報を理由として不適切な情報持ち出しが行われるケースも存在します。たとえば、通報者が証拠収集の名目で社内データを無断で外部に持ち出したり、通報に関係のない機密情報まで一括して保存・送信したりするような行為です。

これが悪意ある情報漏洩と判断されれば、企業の営業秘密が流出し、風評被害や競合他社への損失につながるおそれもあります。

不正競争防止法では、営業秘密の不正取得・開示を処罰の対象としています。たとえ通報を名目としていたとしても、その範囲を逸脱すれば違法行為とみなされるリスクがあるため、企業側は「通報=常に正当」という先入観を避け、情報管理体制の明確化が求められます

参考資料:e-Gov

内部通報による不正発覚時の証拠保全について詳しくはこちら>

公益通報と機密情報の扱いが争点になった裁判事例と企業側の対応策

公益通報者保護法では、通報者が不利益な取扱いを受けないよう、保護される範囲や条件が法的に定められています。ただし、実務の現場では「通報の目的や手段が適切であったか」「通報に用いた情報が正当な範囲にとどまっていたか」などが裁判等において争点となる場面も少なくありません

特に問題となりやすいのが、「公益通報に必要な情報」を超えて機密性の高いデータまで持ち出してしまった場合です。このようなケースでは、企業側が「情報漏洩」として通報者を訴え、それに対し通報者が「正当な通報の範囲内だった」と反論し、法的な争いとなることがあります。

以下は、公益通報と情報の取り扱いをめぐって争点となった実際の裁判事例です。

ある医療機器販売会社では、公立病院の医師に賄賂を渡していた問題が発覚し、社員らが罰金刑を受けました。この事件は、元社員が社内の不正を警察に通報したことにより明るみに出たものです。

その後、会社側はこの元社員に対し、「医師との契約書などの機密情報を無断で持ち出した」として、約4,700万円の損害賠償を求めて訴訟を起こしました。元社員は「公益通報のために必要な情報だった」と主張し、東京地方裁判所は通報目的の正当性を認め、情報持ち出しについての違法性を否定。企業側の請求は棄却されました。

この判決は、「通報に用いる情報の範囲」や「公益性がどこまで正当化されるか」が、法的に重要な判断ポイントになることを示しています。

このように、公益通報に関連して情報の持ち出しや使用範囲が問題となるケースでは、「いつ・誰が・どのように情報へアクセスしたのか」といった事実関係の把握が、企業側・通報者側いずれにとっても極めて重要な論点となります

こうした背景を踏まえ、実際に公益通報が発生した際にはフォレンジック調査(電子的な操作履歴の保全・分析)を通じて、アクセスログやファイル操作の痕跡を客観的に確認するといった手段を活用する場合もあります。

もちろん、技術的な限界から、すべてのケースで行動の全容が明らかになるとは限りませんが、後の懲戒処分や訴訟リスクを想定する場合は主観的な憶測ではなく、記録に基づいた合理的判断が求められる場面は決して少なくありません

そのためにも、万が一の通報や社内トラブルに備え、信頼できる外部調査会社と連携できる体制をあらかじめ構築しておくことが、現代のコンプライアンス経営において重要なリスクマネジメントの一手となります。

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通報対応時にやってはいけないこととは?

企業が通報を受けた際、注意すべきは「通報内容を封じ込めようとする過剰反応」です。たとえば、通報者に対する追及や監視、社内での孤立化を促すような対応は、公益通報者保護法に違反する可能性が高く、かえって外部通報や訴訟リスクを高めることになります。

また、通報内容が信用できないと感じても、初期対応で否定したり、調査せずに無視したりするのは最悪の対応です。調査の結果、通報が事実無根だったとしても、企業が誠実に対応したというプロセスが評価され、将来的なリスク軽減につながります。

一方で、通報者が不適切に情報を持ち出していた場合は、その行為と通報行為を明確に分けて扱うことが求められます。ここでもフォレンジック調査の活用により、行為の正当性や意図の切り分けが可能になります。

企業が構築すべき内部通報制度と対応体制

グレーゾーンを未然に防ぎ、通報者保護と情報保全を両立させるには、企業内での内部通報制度の整備が不可欠です。まず、社内における通報受付窓口の設置と、それを運用する独立性の高い担当部署(法務部門、コンプライアンス部門など)の配置が求められます。

通報受付から調査、是正措置に至るまでのプロセスを文書化し、社内ポリシーとして明示することが重要です。その中には、通報者の匿名性保持、調査対象者の人権配慮、調査結果の報告方法、再発防止策の提示などが含まれるとよいでしょう。

まとめ

公益通報制度は、企業の法令遵守体制を強化し、内部からの是正機能を高める重要な仕組みです。制度を恐れるのではなく、適切に整備・運用することで、むしろ企業の透明性と信頼性を高めることが可能です。

情報漏洩リスクに対しては、通報制度と情報管理制度を両輪で設計し、ルールに基づく運用と監査を徹底することが不可欠です。通報者の保護と、企業の正当な情報防衛のバランスをとることが、今後のコンプライアンス経営には求められます。

必要に応じて、第三者通報窓口の導入や、初動対応としてのフォレンジック調査の体制整備なども選択肢に加え、組織として持続可能なリスクマネジメントを実現していくべきです。

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