NASのtrashbox(ごみ箱)から復元できるケースとできない場合の対処法を専門家が解説

NAS上の大切なデータを誤って削除してしまい、慌てていませんか。共有フォルダから削除したファイルは、Windowsのごみ箱には入らないため、戻せないのではと不安になる方も多いでしょう。しかし、NASの「trashbox(ごみ箱)」機能が有効になっていれば、比較的安全に復元できる可能性があります。

本記事では、NASのtrashboxから復元できる「有効なケース」と、使えない場合の正しい対処法を整理し、復旧率を下げないための行動指針を専門家の視点で解説します。

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NASのtrashboxとは?Windowsごみ箱との違い

まず理解しておきたいのは、NASのtrashboxはWindowsのごみ箱とは仕組みが異なるという点です。Windowsローカルディスクで削除したファイルはPC側のごみ箱に入りますが、NASの共有フォルダ上で削除したファイルは、通常Windowsのごみ箱には入りません。

その代わり、NAS本体で「ごみ箱機能(trashbox)」が有効になっていれば、削除されたファイルはNAS内部の特定フォルダ(trashbox、#recycleなど)に移動されます。この設定が復元可否を大きく左右します。

NASのtrashboxから復元が有効なケース

まずは、比較的安全に復元できる可能性が高いケースを整理します。該当する場合は、慌てて復旧ソフトを使う前に、trashboxを確認することが最優先です。

誤削除直後でtrashbox内にファイルが残っている

共有フォルダ上で誤って削除した直後であり、NASのtrashbox機能が有効になっている場合は、対象ファイルがtrashbox内に残っている可能性があります。この段階であれば、データ構造の大きな変更は発生しておらず、安全性の高い復元が期待できます。

NAS本体やボリュームに障害が発生していない

物理障害やRAID異常がなく、単なる論理削除のみが発生している場合は、trashbox復元が第一選択となります。ボリューム自体が正常であれば、ファイルを元の場所へ戻すだけで復旧が完了します。

ごみ箱機能が事前に有効化されていた

SynologyやQNAPなどでは、共有フォルダ単位でごみ箱機能を有効化できます。この設定が事前に有効であった場合のみ、trashbox復元が可能です。設定されていない場合は削除=即完全削除となります。

ただし、誤った操作や焦りから不要な書き込みを続けると、データが上書きされ、復元可能性が低下することがあります。特に再構築や初期化を行うと、データ消失やボリューム破損につながる危険があります。

trashboxが使えない場合の原因

次に、trashboxから復元できない主な原因を解説します。これらに該当する場合、対応を誤るとデータ消失やRAID崩壊につながる恐れがあります。

ごみ箱機能が無効だった

共有フォルダでごみ箱機能が有効化されていなかった場合、削除と同時に完全削除扱いになります。この場合、trashbox内を探してもファイルは存在しません。

trashboxからも削除済み・自動クリーンアップ済み

一定日数経過や容量超過による自動削除タスクで空にされている場合も、trashboxからの復元はできません。

ボリューム初期化・RAID再構築・誤フォーマット

ボリュームの再作成やRAID再構築など、ファイルシステムに大きな変更が加えられた場合、単純なごみ箱復元は不可能になります。状態によってはPCが起動不能になるほどの障害へ発展することもあります。

ランサムウェアや物理障害

暗号化やHDD物理故障が発生している場合、論理削除とは異なり高度な対応が必要になります。通電や再試行を繰り返すと損傷が悪化する可能性があります。

ストレージ機器に物理障害が発生している状態で、むやみに通電や再起動、フリーソフトの使用、分解などを行うと、状況が悪化し、復旧の難易度が大きく上がることがあります。特にHDDやSSDは精密機器であり、ちょっとした刺激や誤操作でも内部パーツが傷ついたり、データが上書きされたりして、最終的に復旧不可能になるリスクもあります。誤った対処で大切なデータを失ってしまう前に、まずは専門業者への相談をおすすめします。

自力で修復する場合のリスク

▶ ほこりや異物が悪影響を与えてしまう

内部パーツに修復できない傷が付いてしまう

▶ 知識不足で誤った復旧作業を行ってしまう

ストレージデバイスの自力での修復は非常に難しく、誤った方法で作業を進めると、データが完全に失われるリスクがあります。安全にデータを復旧させたい場合、データ復旧業者に依頼することが確実です。編集部が厳選したおすすめ業者は下記のボタンからご参照ください。

trashboxが使えない場合の対処法

trashboxで見つからないと判明した時点で、復旧率を下げない行動が重要になります。

NASへの書き込みを停止する

削除領域への上書きを防ぐため、まずは書き込みや大容量コピーを停止します。これにより復旧可能性を維持できます。

  • 書き込み停止を行う

書き込み停止の手順

  1. NASへの大容量データコピーを中止する。
  2. バックアップジョブや同期タスクを一時停止する。
  3. 不要なユーザーアクセスを制限する。
  4. 可能であればNASを安全にシャットダウンする。

復旧ソフトを使用する場合の注意点

NAS対応の復旧ソフトを使う方法もありますが、RAID構成や障害レベルによってはリスクが高くなります。十分理解した上で実行する必要があります。

  • 復旧ソフトでスキャンする

復旧ソフト利用の手順

  1. NASのHDDを取り外せる構成か確認する。
  2. RAID情報を記録し、ディスク順序を正確に控える。
  3. 対応ソフトを別PCにインストールする。
  4. 読み取り専用モードでスキャンを実行する。
  5. 復元先は必ず別ストレージを指定する。

NASのtrashboxから復元する方法

trashboxが有効な場合は、以下の手順で安全に復元を進めます。操作自体は難しくありませんが、上書き事故を防ぐため慎重に実行してください。

エクスプローラーからtrashboxを確認する

まずはクライアントPCから共有フォルダを開き、trashboxや#recycleなどのフォルダを確認します。ここに削除ファイルが保存されている可能性があります。

  • エクスプローラーから確認する

エクスプローラーからの確認手順

  1. Windowsでエクスプローラーを開き、NASの共有フォルダへアクセスする。
  2. 「trashbox」「#recycle」「ごみ箱」などの名称のフォルダを探す。
  3. 該当フォルダを開き、削除日時やファイル名で対象データを特定する。
  4. 見つかったファイルを確認し、内容が正しいかプレビュー可能な場合は確認する。

元の場所へ戻す前に別フォルダへコピーする

復元時に誤って上書きする事故を防ぐため、まずは別フォルダや別ストレージへコピーし、安全を確保してから元の場所へ戻す方法が推奨されます。

  • 別パスへ退避してから復元する

安全に復元する手順

  1. trashbox内の対象ファイルを右クリックする。
  2. 「コピー」を選択し、別の共有フォルダや外付けストレージへ貼り付ける。
  3. コピー後にファイルが正常に開けるか確認する。
  4. 問題がなければ、必要に応じて元の保存場所へ戻す。

Web管理画面(Synology/QNAP)から復元する

メーカー製NASでは、Web管理画面のFile Stationなどから復元操作が可能です。操作ログも残るため、業務用途ではこちらの方法が安全です。

  • 管理画面から復元する

Web管理画面からの復元手順

  1. ブラウザでNASの管理画面へログインする。
  2. File Stationまたはファイル管理機能を開く。
  3. trashboxまたは#recycleフォルダを表示する。
  4. 対象ファイルを選択し「復元」または「コピー」を実行する。
  5. 復元後はバックアップ先へ複製して二重化する。

専門業者に相談・依頼する

ここまでの対処法を試しても改善できなかった場合、機器に重大なエラーや物理的な故障が生じている可能性が高いです。この場合、続けて使用すると損傷がひどくなり、復旧できなくなる可能性があります。さらに、自力で分解したり復旧作業を行うのも状態が悪化するケースが多いです。少しでもデータを失いたくない方は速やかに専門業者に相談することをおすすめします。


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まとめ|NASのtrashbox復元は「早期確認」と「正しい判断」が鍵

NASのtrashbox(ごみ箱)は、誤削除時にもっとも安全かつ成功率の高い復元手段です。共有フォルダで削除した直後で、かつごみ箱機能が有効になっている場合は、まずtrashbox内を確認することが最優先となります。この段階であれば、データ構造を大きく変更することなく元の状態へ戻せる可能性が高いからです。

一方で、ごみ箱機能が無効だった場合や、すでにtrashboxからも削除されている場合、あるいはRAID再構築・ボリューム初期化・物理障害などが発生している場合は、単純な復元操作では対応できません。この段階で不用意な再構築や書き込みを行うと、削除領域が上書きされ、復旧可能性が大きく低下することがあります。

重要なのは、「戻せる状態かどうかを早期に見極めること」と「状況を悪化させないこと」です。まずは書き込みを止め、現在の状態を維持する。そのうえで、自力対応が可能な範囲か、専門的な対応が必要かを冷静に判断することが、データを守るうえで非常に重要です。

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