IT導入補助金(あいてぃーどうにゅうほじょきん)とは
まず、そもそも「IT導入補助金」について簡単に触れます。「IT導入補助金」の正式名称は「サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金」で、独立行政法人中小企業基盤整備機構より採択され、当機構および中小企業庁監督のもと一般社団法人サービスデザイン推進協議会が事務局業務を運用しています。
「IT導入補助金」は中小企業・小規模事業者向けにITツール導入を支援する補助金です。
▼IT導入補助金に関する公式サイト
https://www.it-hojo.jp/
IT導入補助金の概要
IT導入補助金には、(1)通常枠(2)セキュリティ対策推進枠(3)デジタル化基盤導入枠の3つの枠があり、それぞれ補助額や補助対象が異なります。
https://hojokin-navi.com/chumoku/20230316_it-hojokin/
IT導入補助金の目的
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、業務効率化・売上アップをサポートすることを目的としています。
令和元年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金 交付規程では、下記のように定められています。
中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイスの導入)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が生産性の向上に資するITツールを単独又は連携して導入するための事業費等に要する経費の一部を補助することにより、中小企業・小規模事業者等の生産性向上を図ることを目的とする。
出典:令和元年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金 交付規程
セキュリティ対策推進枠とは?
IT導入補助金では、通常枠に加え、2022年に「セキュリティ対策推進枠」が新設されました。 昨今の国際情勢などにより、サイバー攻撃事案のリスクが高まっていることを踏まえて新設されたものです。
セキュリティ対策推進枠の概要
IT対策導入補助金の中でもセキュリティ対策推進枠は、「中小企業・小規模事業者等がサイバー攻撃などセキュリティリスク対策に取り組む費用を補助すること」を目的に、特定の条件で利用可能な補助金制度です。
■セキュリティ対策推進枠の利用条件
補助率:サービス利用料の1/2以内
補助額:5万円〜100万円
独立行政法人情報処理推進機構が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されるサービスの利用料を補助
サービス利用料を最大2年分補助
セキュリティ対策推進枠で利用可能なITツールとは?
セキュリティ対策推進枠で利用可能なITツールは、独立行政法人情報処理推進機構が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されています。
■サイバーセキュリティお助け隊サービスリストの類型
ユーザーのネットワークを24時間見守る「ネットワーク一括監視型」
従業員が利用する端末(PC等)に導入し、監視する「端末監視型」
ネットワーク一括監視型と端末監視型の両方を導入する「併用型」
このサービスには上記の3パターンがあり、利用する地域ごとにサービスを提供する会社が異なります。
https://www.ipa.go.jp/security/otasuketai-pr/assets/img/network_map_pc.png
利用する地域、提供会社、サービス内容などの詳細は「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」をご参照ください。
サイバーセキュリティお助け隊について
サイバーセキュリティお助け隊は「中小企業に対するサイバー攻撃への対処として不可欠なサービスを効果的かつ安価に、確実に提供する」をコンセプトにサービスを提供しています。
提供事業者の登録には条件があり、「お助け隊サービス審査登録制度」をクリアした事業所のみがサービス提供をしています。
中小企業でも導入・維持できる価格等も条件としてあるため、
ネットワーク一括監視型の場合:月額1万円以下(税抜き)
端末監視型の場合:端末1台あたり月額2,000円以下(税抜き)
これらの仕組みを合わせて提供する場合には、この和(月額1万円に端末1台あたり月額2,000円を加えた価格(税抜き))に相当する価格を超えない価格であること。端末1台から契約可能であること。
最低契約年数は2年以内
初期費用、契約年数等の契約にかかる条件をサービス規約等に記載するとともに、口頭又は書面によりユーザに分かりやすく説明すること
など細かく条件が指定されています。
また登録された提供事業者は、2年ごとに「サイバーセキュリティーお助け隊」に対する登録更新審査が行われ、登録事業者は登録審査を受けます。
参照:https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000943452.pdf
IT導入補助金セキュリティ対策推進枠の申請手順、補助金交付の流れ
申請から交付までの流れ
セキュリティ対策推進枠の申請方法は、IT導入補助金と申請の方法と同じです。
申請は下記の流れで行います。
- 支援機関に経営課題や課題解決のためのITツールを相談
- 導入したいITツールやIT導入支援事業者を決定し、IT導入支援事業者の支援のもとホームページから申請に必要な情報を提出
- 審査を経て採択されれば、ITツールの導入・活用(補助事業が実施される)
手順1の課題解決のためのITツールを決める際は、よろず支援拠点・商工会・商工会議所・ITコーディネーターに相談することができます。
申請手順2でご紹介する「みらデジ経営ツール」を利用することでも、課題を見つける手助けになります。
手順1の経営課題や課題解決のためのITツール相談は必須では無いため、ご自身で課題を把握している場合は、「IT導入支援事業者の決定」、導入したいITツールの選定からを行うことができます。
申請までの具体的な流れ
※ここから先は一般的なIT導入補助金の申請について記載しています。セキュリティ対策促進枠に関する内容は後日アップデートいたします。
申請手順、補助金交付の注意点として下記のような点があります。
■申請手順・補助金交付に関する注意点
補助金の交付申請前の事前準備が必要(事前準備で2週間程度時間がかかる)
補助金交付の決定が行われてから、発注・契約・支払いを行う必要がある
IT導入補助の実施後、事業実施効果報告を行う必要がある
次に、具体的な申請手順を説明します。
STEP1:「IT導入支援事業者の選定」「ITツールの選択」(事前準備)
STEP1の事前準備では、補助金の交付申請を行うため、自社の業種や事業規模、経営課題に沿って、「IT導入支援事業者」と導入したい「ITツール」を選定します。
「IT導入支援事業者」とは補助事業への申請を補助金利用者と共に実施する、補助事業を実施するうえでの共同事業者(=パートナー)のことを指します。
中小企業・小規模事業者の方が、ITツールの提案・導入及び経営診断ツールを利用した事業計画の策定の支援をはじめとし、各種申請等の手続きをサポートしてくれる事業者です。
審査を経て事務局に登録されたIT導入支援事業者は「IT導入補助金2023」のサイトに一覧で掲載されています。
IT導入支援事業者一覧(PDF)
どのようなITツールを使うべきか迷っている場合は、IT導入補助金公式サイトにある「業種別 お悩み解決ITツール機能」から過去の導入事例を参考にしてみてください。
申請者は業種ごとにどのようなITツールを導入したのか、具体的な悩みと解決ITツール機能を見ることができます。
STEP2:「gBizIDプライム」アカウントの取得、「SECURITY ACTION」の実施(申請要件)、「みらデジ」の「経営チェック」の実施
STEP2では、申請に必要な事前準備を行います。
▼gBizID プライムの取得
交付申請には「gBizIDプライム」アカウント(ID・パスワード等)が必要となります。アカウント発行は「gBizID公式サイト」より行います。
【gBizIDとは?】
GビズIDは、法人・個人事業主向け共通認証システムです。
GビズIDを取得すると、一つのID・パスワードで、複数の行政サービス にログインできます。アカウントは 最初に1つ 取得するだけで、 有効期限、年度更新の必要はありません 。(令和3年8月現在)
参照:GビズID
※gBizIDプライムアカウントID発行までには、約2週間かかるので早めの申請手続きが必要です。
▼「SECURITY ACTION」の実施
交付申請の要件には「gBizIDプライム」アカウント取得に加えて、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の宣言が必要になります。
この宣言は、中小企業・小規模事業者等自らが、情報セキュリティ対策に取組むことを自己宣言する制度で、「★一つ星」または「★★二つ星」を宣言する事を要件としています。
交付申請作成時に宣言済みアカウントIDの入力が必要となります。
参照:https://www.it-hojo.jp/procedure/
▼「みらデジ」の「経営チェック」の実施
「みらデジ」は、中小企業庁が実施する中小企業・小規模事業者等の経営課題をデジタル化により解決することをサポートする制度です。
IT導入補助金の申請者は「みらデジ」ポータルサイト内にgBizIDで登録し、「経営チェック」の実施が必要となります。
また「みらデジ」の「経営チェック」では5項目の設問に回答することで、会社の課題やデジタル化状況、最適な解決方法を知ることができます。
無料で利用することができますので、IT導入補助金の申請のためだけでなく、自社の課題把握のためにもおすすめです。
STEP3:交付申請(IT導入支援事業者との共同作成・提出)
STEP3ではいよいよ交付申請です。
申請者は、IT導入支援事業者と相談し、交付申請の事業計画を策定します。交付申請は下記の流れで行います。
- IT導入支援事業者から『申請マイページ』の招待を受け、代表者氏名等の申請者基本情報を入力する。
- 交付申請に必要となる情報入力・書類添付を行う。
- IT導入支援事業者にて、導入するITツール情報、事業計画値を入力する。
- 『申請マイページ』上で入力内容の最終確認後、申請に対する宣誓を行い事務局へ提出する。
交付の申請手続きはSTEP1で決めた「IT導入支援事業者」と共に行いますので、申請手続きに不安がある方も安心です。
STEP4:ITツールの発注・契約・支払い(補助事業の実施)
STEP4では、申請者はIT補助事業者との契約を進めます。事務局から「交付決定」を受けた後に、ITツールの発注・契約・支払い等を行います。
※交付決定の連絡が届く前に発注・契約・支払い等を行った場合は、補助金の交付を受けることができません。ご注意ください。
STEP5:事業実績報告
STEP5では、事業実績の報告を行います。申請者は、補助事業の完了後、実際にITツールの発注・契約、納品、支払い等を行ったことが分かる証憑(しょうひょう)を提出する必要があります。
証憑(しょうひょう)とは?
証憑(しょうひょう)とは企業取引の真実性・正当性を証明するための書類のことです。企業間の契約書、支払証明書、などに発行される書類は、全て証憑に該当します。
証憑の提出は下記の流れで行います。
『申請マイページ』から事業実績報告に必要な情報及び証憑の添付を行い、事業実績報告を作成する。
事業実績報告が作成された後、IT導入支援事業者が内容の確認及び必要情報の入力を行う。
最終確認後、事務局に事業実績報告を提出する。
STEP6:補助金交付手続き
STEP6では、ついに補助金が交付されます。申請者はSTEP5の事業実績報告が完了し、補助金額が確定すると、『申請マイページ』で補助額を確認できるようになります。その内容を確認した後に補助金が交付されます。
STEP7:事業実施効果報告
STEP7は事業実施効果を行います。事業実施効果報告は、定められた期限内に補助事業者が『申請マイページ』より必要な情報を入力し、IT導入支援事業者の確認を経て、提出してください。
2023年度IT導入補助金の申請期間
IT導入補助金セキュリティ推進枠の2023年度分の申請は、2023年3月28日(火)から開始されています。
複数回の締め切りを設け、それまでに受け付けた申請を審査し交付決定を行う予定です。
4月現在発表されているスケジュールは下記です。
【1次締切】2023年4月25日(火)17:00(予定)
【2次締切】2023年6月 2日(金)17:00(予定)
2次締切以降のスケジュールは決まり次第ホームページにて更新されます。
参照:IT導入補助金2023スケージュール