広島県内で昨年1年間に確認されたネットバンキングの不正送金被害は76件7399万円にのぼり、被害額は前年比58倍となり件数は過去最多だったということです。
全国的に過去最悪だったが‥
中国新聞の報道によると、前年の2022年の広島県内の不正送金は5件で被害総額は128万円だったことから件数で15倍超、被害額では58倍近く増えたことになります。広島県警が広島県内でのネットバンキング不正送金の統計を取り始めた2013年以降、件数では最多、被害額は2015年の8554万円に次ぐ額だということです。金融機関を騙るフィッシングメールから偽サイトに誘導されて認証情報が窃取される手口が大半のようです。金融庁によると、昨年は全国的に不正送金が増加しており、全国の件数は5147件、被害総額は80億1000万円(昨年11月末)にのぼり過去最悪だったということです。広島県警では「不正送金被害過去最悪!!」とのチラシを作成し、「メールやSMS等を用いたフィッシングと推察される手口によりインターネットバンキング利用者のID・パスワード等が盗まれ預金を不正に送金される被害が過去最多を更新しています」と注意を呼びかけています。また昨年8月にはフィッシングメールへの注意を呼びかけるチラシも作成していました。全国の昨年の不正送金は件数で前年比4倍超、被害額で前年比5倍超にのぼっておりグラフの線は急上昇している状況ですが、広島県内の被害の増加は全国をはるかに上回る急増ぶりです。
ランサムウェアも高い水準で推移
広島県において不正送金が急増した理由は定かでありませんが、広島県警では不正送金とは別にランサムウェアについても「県内で増加傾向となっており、高い水準で推移しています」と注意を呼びかけていて、個人・法人を問わず早急な対策が必要だとしています。簡易投稿サイトX(旧ツイッター)には昨年12月、LockBitランサムウェアのリークサイトに広島県北広島町の社会福祉協議会のドメインが追加されたとの投稿もあり、詳細は不明ながら実際、北広島町社会福祉協議会のサイトでは、「サイバー攻撃のご報告とお詫び」とした文章を掲載しており、それによると昨年12月4日からサイバー攻撃によるシステム障害が発生しているとのことであり、保有する個人情報が漏洩している可能性があるとしています。警察と相談し専門業者と協力しながら迅速な復旧に全力で取り組んでいるとしつつも詳細は調査中としている昨年12月18日付の文章が現在も掲載されています。
広島県内における不正送金の急増とランサムウェアの増加に関連があるのかどうか定かではありませんが、一般に認証情報が漏洩するとダークウェブで売買されて様々なサイバー犯罪グループに悪用される恐れがあります。報道によると広島県警では新たに特別サイバー捜査官を任命し、広島県内で発生しているランサムウェア事案の解析などを行うということです。
■出典
https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/421941
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/police3/r5-fuseisoukin.html
https://www.fsa.go.jp/ordinary/internet-bank_2.html
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/police3/ransomware-tyuuikannki.html