日本人唯一の受賞!高校生 吉地 優さんがInternational Cybersecurity Olympiad 2025で銅メダル獲得

歴史的第一回目の開催で日本人が銅メダルを受賞

2025年6月22日から28日にかけて、シンガポール国立大学(National University of Singapore, NUS)で開催された記念すべき第1回International Cybersecurity Olympiad(ICO)において、日本代表として15歳で参加した吉地 優(キチジ ユウ)さんが銅メダルを獲得し、日本人として唯一の表彰台に立つという快挙を成し遂げました。

この大会は、国際情報オリンピック(IOI)や国際数学オリンピック(IMO)にインスパイアされたサイバーセキュリティ分野初の国際的な16〜19歳の高校生年代対象の競技会として注目を集め、世界28カ国から170名の優秀な高校生が参加しました。ICO 2025公式サイト

世界トップレベルの競争の中で

ICO 2025では、参加者が2日間にわたって5時間ずつの厳しいコンテストに挑戦しました。攻撃型(Attack-style)と防御型(Defence-style)のCapture-The-Flag(CTF)チャレンジを通じて、暗号、フォレンジック、リバースエンジニアリング、Web セキュリティなど、サイバーセキュリティの幅広い分野での実力が試されました。

競技結果を見ると、金メダル12名、銀メダル22名、銅メダル34名という配分の中で、吉地さんは見事に銅メダルを獲得。国別のメダル獲得数では、開催国シンガポールとロシアが各8個でトップタイ、続いて香港(6個)、イタリア・セルビア・イスラエル・デンマーク・スウェーデン(各4個)となる中で、日本は1個のメダルを獲得しました。NUS Computing

吉地さんが語る挑戦の軌跡

参加への動機

「コンピュータサイエンスやプログラミングに関心があり、学習を進める中でCTFに出会い、セキュリティ分野の奥深さと実践性に強く惹かれました。知識だけでなく、思考力・応用力も問われる領域であり、実力を試せる機会として国際的な舞台であるICOに挑戦しました」と吉地さんは参加理由を語ります。

競技で直面した困難

「限られた時間の中で複数カテゴリの問題に効率的に取り組む必要があり、優先順位の判断や切り替えのスピードが求められました。また、問題によっては一見すると情報が乏しく、そこから突破口を見つけ出すための着眼点や柔軟な発想力が非常に問われたと感じました」

大会から得た学び

最も印象に残ったのは「learn on the spot」の重要性だったといいます。「その場で必要な情報を収集し、理解し、即座に活かす能力の重要性を実感しました。知識の深さに加え、未知の形式や設定への適応力、そして冷静に試行錯誤を繰り返す力が競技全体を通して鍛えられました。結果として、自分の得意分野・弱点をより明確に把握することができました」

サイバーセキュリティ分野への新たな関心

この経験を通じて、吉地さんは将来のキャリアについても新たな視点を得ました。「非常に強く興味を持ちました。特に、問題の構造を分析し、限られた手がかりから論理的に突破口を見出すプロセスに大きな魅力を感じました。競技で得た経験は、実務における課題解決や脅威への対応にも直結すると感じており、今後この分野でのキャリアを本格的に検討していきたいと思っています」

ICO 2025の意義と今後への期待

ICO 2025は、急速に進化するサイバー脅威に対応できる人材の不足という世界的な課題に対処することを目的として開催されました。シンガポールのデジタル開発情報省・保健省の上級国務大臣であるTan Kiat How氏は開会式で、「この大会は国境を越えた協力の完璧な例であり、世界中の機関が一堂に会して次世代のサイバー防御者を育成するプラットフォームを提供しています」と述べています。

日本のサイバーセキュリティ教育への示唆

吉地さんの快挙は、日本のサイバーセキュリティ人材育成において重要な意味を持ちます。世界レベルの競技で結果を出すことができることを証明し、今後の日本の若手人材育成に大きな励みとなるでしょう。

また、このような国際的な競技会への参加は、技術的なスキル向上だけでなく、異文化交流や国際的な視野の獲得にも寄与します。吉地さんの経験は、日本の教育機関やサイバーセキュリティ業界にとって貴重な事例となることが期待されます。


International Cybersecurity Olympiad 2025の詳細

  • 開催期間:2025年6月22日〜28日
  • 開催地:シンガポール国立大学
  • 参加国・地域:28カ国
  • 参加者数:170名
  • 日本の成績:銅メダル1個(吉地 優さん)

吉地さんの今回の成果は、日本のサイバーセキュリティ分野における新たなマイルストーンとして、長く記憶されることでしょう。彼の今後の活躍と、日本のサイバーセキュリティ人材育成の発展に期待が高まります。

サイバーセキュリティ総研でスポンサーも

本大会では、微力ながら参加した日本チームにサイバーセキュリティ総研がスポンサーさせていただきました。今後も日本のサイバーセキュリティ人材育成に寄与できるよう活動してまいります。

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