ノートンやアバストなどのセキュリティブランドを擁するGenは、世界で「日常的に使っているサービス」に偽装したサイバー犯罪が増加しているとする2026年上半期(2026年1月〜6月)の「脅威レポート」を公開した。普段利用しているプラットフォームやサービスを巧妙に偽装する手口が顕著になっているという。
事案の詳細
Genが公開した2026年上半期の「脅威レポート」では、利用者にとって日常的なサービスやプラットフォームを装うサイバー犯罪が世界的に増加している点が取り上げられた。攻撃者は、普段使っているショッピングサイトや予約サイト、メッセージアプリ、ソフトウェア更新画面などのサービス名や画面に似せることで警戒心を下げ、フィッシングや詐欺、情報窃取などの被害につなげる手口を用いるとされる。
グローバルでは2026年上半期において、普段利用しているプラットフォームを巧妙に偽装するサイバー犯罪が顕著だったとされ、偽のショッピングサイトを用いた攻撃のブロック数は1億1420万件に達し、前期比で109%増加したと報告されている。また、公的機関を装って金銭や情報をだまし取る手口が387%増加したほか、家族を装うなりすましも454.2%増加したとされ、信頼されやすい対象になりすます攻撃が急増していることが示された。
「偽装」の特徴は、利用者が普段の業務や生活の流れの中で接するサービスであるほど、違和感に気づきにくい点にある。レポートは、こうした“見慣れたもの”に紛れ込む形で犯罪が増えていることを示し、身近さや安心感そのものがかえってリスク要因になり得る現状を浮き彫りにした。
また、今回のレポート公開は、2026年上半期という期間で整理された脅威動向の提示という位置付けであり、こうした増加傾向を通じて注意喚起を行うものとなっている。日常的なサービスに偽装した犯罪が増えているという指摘自体が、企業・個人の双方に共通するリスクとして重要な論点であり、オンラインでの行動様式の見直しを促す内容となっている。
影響と背景
日常的なサービスを装う手口が増えると、受信者や利用者が「普段どおり」と判断してしまい、組織の窓口(総務、経理、サポート担当など)から被害が広がる可能性がある。世界で増加しているというレポートの指摘は、特定の国や業種に限らず、宿泊施設の予約サイト、家族間のメッセージアプリ、実在するブランドや公的機関、ソフトウェアの更新システム、広告プラットフォームなど、身近なサービスに依存する環境ほど影響を受けやすいことを示している。
従来は、技術的な脆弱性を突く攻撃や、一目で不審と分かるようなマルウェア拡散が多く報告されていたが、今回のレポートでは、攻撃者がユーザーの心理と「日常性」を悪用するソーシャルエンジニアリング的な手口へとシフトしている状況が強調されている。正規のプラットフォームやサービスを装うことで、利用者の信頼を逆手に取り、より少ない手間で確実に被害を発生させることを狙っているとされる。
対策・今後の展望
- 「日常利用のサービスほど疑う」前提の徹底:普段使うサービス名やブランド名が出てきた時ほど、送信元や通知内容、リンク先のURLなどを落ち着いて確認する運用を定着させる。ホテル予約サイトや宅配業者、決済サービス、公的機関など、見慣れた名前であっても「本物か」を一度疑う視点を持つ。
- 社内の確認手順を一本化:不審な通知や請求、ログイン確認のメッセージなどを見た際に誰に相談するか、どこに転送するかを決め、担当が判断できる流れを作る。総務や経理、コールセンターなど、入口になりやすい部署に対しては、日常的なサービスを名乗る連絡でも必ずワンステップ確認を挟むルールを明文化する。
- 注意喚起の継続:脅威レポートで示されたように増加傾向がある以上、単発ではなく定期的に「偽装の手口が増えている」ことを周知し、油断を減らす。実際に報告されている偽ショッピングサイトや公的機関なりすまし、家族を装うメッセージなどの具体例を社内教育や啓発資料に取り入れ、従業員や利用者に最新の傾向を伝え続けることが求められる。
CSRIからの現場アドバイス
【観点①:現場で何が起きているか】CSRIが支援する中小企業のMDR(Managed Detection and Response)運用では、「普段使うサービスの通知」を装うメールやウェブ上の誘導が入口になる兆候が目立つ。診断でも、受信者側の確認手順が整備されず、担当者の経験則や個人の判断に依存したまま放置されている例が多く、結果として偽ショッピングサイトや偽アカウント認証画面に誘導されるケースが見られる。
【観点②:セキュリティ専門家でない人への平易な解説】例えるなら、いつもの宅配業者の制服を着た人が来ると、思わずドアを開けてしまうのと同じです。つまり「見慣れた名前」や「見慣れたロゴ」ほど安心材料になり、偽物でも通してしまうことが危険だということです。普段から使っている予約サイトやメッセージアプリ、支払いサービスを装われると、「いつものこと」と思い込んでしまい、確認を怠るリスクがあります。
【観点③:中小企業が今週中にできること】まず、社内で「日常利用のサービス名が出た通知ほど確認する」ルールを共有し、迷った時の相談先を決めてください。総務・経理・人事・サポート窓口など、入口になりやすい担当に対しては、見慣れた通知でも即対応しないことを伝え、差出人や連絡経路を一度確認してから処理する習慣を作りましょう。あわせて、偽のショッピングサイトや公的機関を装うメールなど、最近報告されている事例を社内で共有し、「日常的なサービスの偽装」が自社にも起こり得ることを具体的にイメージできるようにしておくことが重要です。
参照: 「日常的に使っているサービス」に偽装したサイバー犯罪が世界で増加、Genが2026年上半期の「脅威レポート」公開