セキュリティベンダー「チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ」は19日、東京都千代田区の大手町プレイスホール&カンファレンスにて、旗艦イベント「Check Point Engage」を開催。
急速に進化する人工知能(AI)による脅威や複雑化するIT環境に対応する新たなセキュリティ構想「ハイブリッドメッシュアーキテクチャ」を発表した。
本構想は、オンプレミス、クラウド、モバイル、ソフトウェアとして提供されるサービス(SaaS)アプリケーションなど多様な環境において、一貫性のあるセキュリティを提供することを目的とした統合モデルとされている。
会場には約300名が来場し、日本企業が直面する「ハイパーコネクテッドワールド」(高度に接続された世界)におけるリスクと、それに対する新たな防御アプローチについて紹介が行われた。
AIによる脅威とセキュリティ環境の変化
チェック・ポイントの脅威インテリジェンス部門「Check Point Research」によると、近年、AI技術を悪用した攻撃が高度化しており、特に「ソーシャルエンジニアリング(人の心理を利用して情報を詐取する手法)」の巧妙化や、生成AI(大規模言語モデル)のデータ汚染、悪意あるマルウェアの自動生成といった手法が問題視されている。
また、ダークウェブ上ではAIを活用した攻撃ツールの流通が活発化しており、攻撃者の技術進化が進んでいる状況が報告された。
日本における攻撃傾向と課題
同社が発表した「Japan Security Report 2025」によると、日本では過去6か月間で1組織あたり週平均1,322件のサイバー攻撃が発生。
特に製造業、金融サービス業、ハードウェア関連業が主要な標的となっている。
中でも、悪意あるファイルの98%がメール経由で侵入していることが特筆されており、日本のビジネス文化がメールに強く依存している点がサイバーリスクを高めているとされる。
さらに、クラウド環境への攻撃も深刻で、APIキーやサービスアカウントといった「非人間ID」の不適切な管理がリスク要因となっている。
国内戦略と今後の展望
チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ日本法人社長・佐賀文宣氏は、日本国内では製造業や金融サービス業への攻撃が特に多く見られると説明。
今後は、セキュリティ投資の効率化と持続可能な経営支援を軸に、国内企業への導入拡大を図る考えを示した。
また、同社のサイバー・エバンジェリスト責任者であるブライアン・リンダー氏は、企業のIT基盤がハイブリッド型に移行する中で、AIを活用した自律的なセキュリティ運用が必要であると述べている。
【参考記事】
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000408.000021207.html
https://japan.zdnet.com/article/35234494/