2025年7月16日、大手生命保険「日本生命」の出向社員が、銀行内部資料を無断で持ち出していたことが判明した。
同社の社員が出向先である「三菱UFJ銀行」の内部資料を無断で社外に持ち出し、社内で共有していたという。
問題の社員は、三菱UFJ銀行の金融商品関連部署に出向中だった2024年3月、同行の業績評価に関する内部資料を入手した後に4月に日本生命社内へ送付。
他の社員と共有していたとされている。
この資料には、同行がどのような金融商品を優先的に販売すれば高評価につながるかといった基準や、他社保険商品に関する情報も含まれていたとされる。
日本生命側は、今回の行為が出向先の承諾を得ないまま行われていたことを認めており、情報管理の在り方が問われる結果となった。
この事案については、7月10日に外部からの指摘を受け、7月14日に社内で事態を把握。
その後、16日に朝日智司社長が報道陣の前で事実を認め、謝罪している。
朝日社長は「関係者に多大なご迷惑とご心配をおかけしたことを深くおわびする」と述べたうえで、社内での徹底調査と再発防止策の強化に取り組む考えを明らかにした。
日本生命は、流出した情報が営業秘密に該当する可能性もあるとして、今後は社外の法律専門家の助言を得ながら対応を進めるとしています。
生命保険業界では近年、乗り合い代理店(複数社の保険商品を扱う代理店)などに出向していた社員が、同業他社の顧客情報を不正に自社へ提供するといった不適切な事例が相次いで報告されている。
今回の日本生命の事案もその延長線上にあるものとみられ、業界全体のコンプライアンス体制や出向時の情報管理ルールの見直しが急務とされている状況にある。
【参考記事】
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250715/k10014864331000.html
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB165LY0W5A710C2000000/