警察庁がサイバー空間の脅威情勢を公表 中露・北朝鮮関与が疑われる攻撃への言及増、AIやIoT悪用の犯罪事例も

警察庁サイバー警察局は、「令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」を公表し、サイバー空間における脅威情勢をまとめたレポートとして公開した。レポートでは、中露・北朝鮮の関与が疑われるサイバー攻撃への言及が増えているほか、AIやIoT機器を悪用した犯罪事例にも触れている。

事案の詳細

警察庁が公表した「令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」では、サイバー空間の脅威情勢として、国外勢力の関与が疑われるサイバー攻撃に関する言及が増えている点が示された。具体的には、中国、ロシア、北朝鮮の関与が疑われる攻撃が取り上げられており、政府機関や重要インフラ事業者などを標的とした情報窃取やサービス妨害(DDoS)などの事例が整理されている。

またレポートは、技術の進展や利用拡大を背景に、AIやIoT機器を悪用した犯罪事例にも言及している。生成AIを悪用したフィッシングメールの高度化や、ボイスフィッシングにおける音声生成技術の悪用、ぜい弱なIoT機器を踏み台とした不審なアクセス・攻撃への利用など、新しい技術・機器が犯罪に利用され得る対象として具体的な事例とともに扱われている。

このように、脅威の主体として国外勢力が意識される一方で、犯罪に使われる手段・環境としてAIやIoTが挙げられており、攻撃や犯罪の論点が多方面に及んでいることが示されている。レポートでは、サイバー空間の脅威が「誰が行うか」だけでなく「何を使って行うか」によっても拡大している状況が強調されている。

影響と背景

レポートが扱うテーマは、特定の組織や業種に限らず、官民を問わずサイバー空間全体に関わる。国外勢力の関与が疑われる攻撃への言及増加と、AIやIoT機器の悪用事例という複数の論点が併記されたことで、脅威が「誰が行うか」だけでなく「何を使って行うか」でも広がっている状況がうかがえる。

警察庁は、国内外の広範な主体によるサイバー攻撃やサイバー犯罪が継続的かつ深刻な水準にあると総括しており、ランサムウェアやフィッシング、SNSを通じた犯罪実行者の募集など従来から指摘されている脅威に加え、AIやIoTといった新技術の悪用が新たな論点として浮上していることを示している。こうした背景から、技術面の対策に加え、制度・組織面での対応の重要性も指摘されている。

対策・今後の展望

警察庁が脅威情勢をレポートとして整理し公表したこと自体が、組織や利用者に対し、サイバー空間のリスクを前提に備える重要性を示している。AIやIoTの悪用が触れられている点からも、日常業務で使う機器やサービスを含め、運用面の管理を継続していく必要がある。特に、インターネットに接続された機器やサービスが外部からの攻撃の踏み台や入口になり得ることを前提にした管理が求められる。

  • 脅威情報の把握:公的機関が整理した脅威情勢や注意喚起に継続的に目を通し、自組織に関係し得る論点(国外勢力の攻撃、AIやIoTの悪用、ランサムウェアやフィッシングなど)を把握する。
  • 利用機器の点検:社内外で利用しているIoT機器やネットワーク接続機器がある場合、管理対象として棚卸しし、設置場所・管理者・用途を明確化したうえで、運用ルールやアップデート状況、初期設定のまま放置されていないかなどを確認する。
  • 体制の見直し:インシデント発生時に誰が何を判断するか、連絡先や初動を含めた手順を整備し、定期的に見直す。技術担当者だけでなく、経営層や業務部門を含めた統合的な対応体制を検討する。

CSRIからの現場アドバイス

【観点①:現場で何が起きているか】CSRIの中小企業支援では、IoT機器やネットワーク機器の棚卸しが不十分で、管理者不明の機器が残っている例が目立つ。MDRでは、外部から機器に対して試行錯誤的に接続を試す挙動がアラートとして上がることがある。こうした挙動の中には、国外からのぜい弱性探索行為や、不正アクセスにつながり得る試行も含まれており、結果としてランサムウェア攻撃などの被害に発展するリスクもある。

【観点②:セキュリティ専門家でない人への平易な解説】例えるなら、会社の裏口に誰でも触れる機械が置かれていて、鍵の有無が分からない状態のようなものだ。つまり、攻撃者がAIや機器を使って効率よく入口を探すと、気づかないうちに狙われやすくなるということだ。インターネットにつながる機器が増えるほど、こうした「裏口」が増えていくため、どこに何があるか分からない状態を放置することが最大のリスクとなる。

【観点③:中小企業が今週中にできること】まず、社内で使っているネット接続機器とIoT機器を一覧にし、担当者と設置場所を紐づけてください。次に、管理画面に入れる人を限定し、不要な機器は外す方針を共有します。最後に、異常時の連絡先を決め、社内掲示や共有ツールに明記します。これにより、警察庁のレポートで示されたような深刻なサイバー脅威情勢を前提に、限られたリソースの中でも現場で取り得る最低限の備えを進めることができます。

参照: 中露・北朝鮮の関与が疑われるサイバー攻撃への言及増加、警察庁がサイバー空間の脅威情勢レポート AI、IoT機器を悪用した犯罪事例も

警察庁がサイバー空間の脅威情勢を公表 中露・北朝鮮関与が疑われる攻撃への言及増、AIやIoT悪用の犯罪事例も
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