総務省・警察庁・NICT、家庭用IoT機器悪用のサイバー攻撃対策へ「レジデンシャルプロキシ対策アライアンス」設置

総務省、警察庁、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、家庭用IoT機器が悪用されるサイバー攻撃への対策を推進するため、「レジデンシャルプロキシ対策アライアンス」を設置した。

事案の詳細

総務省、警察庁、NICTの3者は2026年7月21日、家庭用IoT機器を踏み台として悪用することで、発信元を一般家庭に偽装し所在や身元を隠しながら行われるサイバー攻撃(レジデンシャルプロキシ)に関する情報を公開するとともに、対策のための組織「レジデンシャルプロキシ対策アライアンス」を設立したと発表した。

レジデンシャルプロキシとは、一般家庭のインターネット接続に割り当てられるIPアドレス帯域や家庭用IoT機器などを踏み台にして通信を中継し、サイバー攻撃があたかも家庭からの正規アクセスであるかのように見せかける仕組みを指す。家庭向けIPアドレス帯域を利用して攻撃通信を行うため、被害者側は不正アクセスと正規の家庭からのアクセスを判別しにくいという特徴がある。

総務省と警察庁は、こうしたレジデンシャルプロキシの悪用実態および対策に関する報告書も公開しており、報告書では、家庭用IoT機器や安価な動画ストリーミング向けデバイス(セットトップボックスなど)、さらには「通信帯域を共有して収益を得る」とうたうサービスなどが、利用者の意図しない形で乗っ取られ、レジデンシャルプロキシとして悪用されているケースがあることが示されている。

家庭用IoT機器がこのような攻撃に利用されるケースは増加しており、インターネットバンキングの不正送金など、金融分野での被害も確認されている。2024年には、インターネットバンキングにおける不正送金被害額のうち、少なくとも約30億円がレジデンシャルプロキシを経由した攻撃によって発生したとされる。具体的な個別事例や攻撃グループの詳細な内訳などは、公表資料の範囲では明示されておらず、詳細は現時点で不明である。

一方で、家庭用IoT機器や家庭内で利用される各種機器が、利用者の気付かないうちに踏み台として悪用され得るという構造的な問題に対し、官民が連携した組織的な枠組みとして「レジデンシャルプロキシ対策アライアンス」が設置されたことが、今回の主な事実として確認されている。

影響と背景

家庭用IoT機器がサイバー攻撃に悪用される場合、個々の利用者の自宅環境を起点とした通信が攻撃に関与することになる。攻撃者は、一般家庭に割り当てられるIPアドレスを経由することで、企業や金融機関などが導入している不正アクセス防止システムをすり抜けやすくなり、海外からのアクセスを制限しているサーバーにも、日本国内の家庭に設置されたレジデンシャルプロキシを介してアクセス可能になるなど、攻撃のハードルが下がる。

このように、家庭領域を含むインターネット全体のインフラが攻撃基盤として組み込まれることで、国家レベル・企業レベルのリスクにも発展し得る状況が生じている。利用者が自分の機器や回線が悪用されていることに気付かないケースも多く、悪用を検知することが難しい点も問題を深刻化させている。

総務省、警察庁、NICTがアライアンスを設置した背景には、レジデンシャルプロキシ問題が金融犯罪、企業への不正アクセス、各種オンラインサービスへの不正利用など、多様なサイバー犯罪を支える基盤となりつつあるという認識がある。複雑化・巧妙化する攻撃手口に対処するには、業界団体、電気通信事業者、セキュリティ事業者など、多様な関係者が官民一体となって連携する必要性が高まっている。

対策・今後の展望

総務省、警察庁、NICTが設置した「レジデンシャルプロキシ対策アライアンス」では、周知広報、対処方針、環境整備といった観点について関係者間で協議し、社会全体で対策を進める方針が示されている。具体的には、悪用されている家庭用IoT機器やストリーミングデバイスの特定・是正、パケットシェア型のアプリケーションやサービスに関する注意喚起、回線契約者への個別連絡など、技術的・運用的な対処と普及啓発を組み合わせることが検討されている。

一方で、アライアンスとしての詳細な施策内容(個別の技術対策、監視・検知の具体的手法、参加する企業・団体の一覧)、実施スケジュール、運用体制などについては、元記事および公開されている概要情報の範囲では網羅的には明らかにされておらず、詳細は現時点で不明である。今後、関係機関からの追加的な公表や報告を通じて、具体的な対策内容や成果が示されていくことが期待される。

参照: レジデンシャルプロキシ対策アライアンスを設置 総務省等が家庭用IoT機器を悪用したサイバー攻撃対策推進に向け

総務省・警察庁・NICT、家庭用IoT機器悪用のサイバー攻撃対策へ「レジデンシャルプロキシ対策アライアンス」設置
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