2024年11月、マイクロソフトは「Microsoft Ignite 2024」にてWindowsに関する最新のイノベーションを発表。
AIとセキュリティの強化を軸に、Windowsが次世代の働き方を支えるプラットフォームとして進化する取り組みをテーマとしている。
次世代のセキュリティ戦略「最も安全なOSを目指して」
Windows 11は、セキュリティ面でさらに強化され、「地球上で最も安全なオペレーティングシステム」を目指しているという。
Windowsプラットフォームの信頼性、セキュリティ、耐障害性をさらに向上させるにあたり、管理者権限なしでのアプリ実行やID保護の強化などが進められている。
特に、リモート環境からPCを復旧できる「Quick Machine Recovery」機能が注目されている。
さらに、パートナー企業との協力を通じて、Windows 11の信頼性とセキュリティを一層高める施策が実施されている。
これには、カーネルモード外でのアンチウイルス処理を可能にする新技術が含まれ、システム全体への影響を最小限に抑える構造が採用されるとのこと。
AI活用で開発者とユーザー体験を革新
AI技術を活用した「Copilot+ PC」の導入も発表されている。
これにより、Windows 11が高度なAI体験を提供し、ユーザーの生産性を向上させることを目指すという。
統合されたAIチップを搭載したCopilot+ PCは、AMDやIntel、Qualcommといった主要パートナーとの共同開発によるもので、リアルタイム処理と次世代AIアプリケーションのサポートを実現。
さらにMicrosoft 365と連携することで、組織全体の生産性向上が期待されるという。
クラウドを活用した新デバイスとソリューション
Windows 365の拡張により、数秒でクラウドPCに接続可能な新デバイスが発表された。
リモート環境やBYOD(個人デバイスの業務利用)に対応し、フロントラインワーカーから大規模なコンピューティングまで、多様な業務に対応するクラウドソリューションを提供するとのこと。
Windows 11のセキュリティと新機能まとめ
Windows 11で強化された機能と新機能についてまとめている。
1. ハードウェアとOSの一体化したセキュリティ
セキュアブートと暗号化を可能にするTPM 2.0が必須化。
これにより、デバイス全体のセキュリティが強化され、マルウェアやファームウェア攻撃への耐性が向上。
Secure Bootは起動時に信頼できるソフトウェアのみが実行される仕組みで、ブートプロセスへの攻撃を防止する。
2. パスワードレス認証
Windows Helloの拡張で生体認証(顔認証や指紋認証)やPINを利用したサインインが可能になり、パスワード依存と不正アクセスリスクを大幅に軽減。
FIDO2サポートはオンライン認証において、物理的なセキュリティキーや生体認証を使用可能とする。
3. プライバシーとデータ保護
BitLockerの強化で、ドライブ全体の暗号化を提供し、紛失や盗難時でもデータが保護される。
Microsoft Defender Application Guardにより、Webブラウジングや外部ファイルを隔離環境で実行し、悪意のあるコードや攻撃を防止。
4. クラウド連携のセキュリティ
Zero Trustモデルの採用でユーザーやデバイスの信頼性を継続的に検証、リソースへのアクセスを制御。
企業ネットワークやクラウド環境の保護に有効。
Microsoft Defender for Endpointの統合でクラウドベースのエンドポイントを保護、リアルタイムでの脅威検出と対応を実現。
5. 仮想化技術を活用した保護
VBS(Virtualization-Based Security)により機密情報を分離した仮想環境に格納することで、OSレベルの脅威から保護。
HVCI(Hypervisor-Enforced Code Integrity)はカーネルモードコードの信頼性を保証し、不正なコードの実行を防止する。
6. 改善された自動更新
セキュリティパッチやOSアップデートを迅速かつ効率的に適用し、常に最新の状態を維持することで更新プロセスの最適化。
7. 標準搭載のセキュリティツール
Microsoft Defender Antivirusは改良されたウイルス対策と脅威検出エンジンとなる。
Smart App Control(新機能)は、未知または信頼されていないアプリケーションの実行をブロックし、ランサムウェアや悪意のあるプログラムを排除する。
Windowsの未来像
マイクロソフトは、Windows 11を基盤としたセキュリティ、AI、クラウドによるエコシステムの強化を継続。
これにより、個人から企業、さらにはミッションクリティカルな用途まで、多様なニーズを満たす最適なプラットフォームとしてWindowsを進化させる方針を示している。
マイクロソフトの最新動向は、AI時代の新たな可能性を示しており、次世代のコンピューティング体験を形作るものとされている。