サイバー警察庁の調査から、不正アクセス禁止法違反事件の被疑者における若年層の割合が大きくなっていることが明らかになっている。
調査は不正アクセス禁止法違反に関する事例データを基に作成されており、被疑者の年齢構成、職業、犯罪手口、使用されたサービスの種類など詳細な情報が含まれている。
不正アクセスの被疑者全体の年齢構成を示すデータでは、10代と20代が68%を占めており、中高年層(30代以上)の割合は低くなっている。
これは、多くの若者がインターネットやSNSに精通していることによる影響して考えられており、ネットリテラシーや法的リスクに対する認識が低い可能性があるというもの。
職業別構成では高校生が最多となり、学校生活での情報教育の不足が関与していることや、友人間での不注意な情報共有が犯罪行為に繋がるリスクも考えられる。
一方の20代における職業別構成では会社員と無職が主要層となっており、学生も一定割合存在する結果となる。
20代は生活においてSNSやオンラインサービスを頻繁に活用する世代であり、プライベートな情報管理が甘いまま利用しているケースが多いとみられる。
また、無職の層は時間的な余裕が犯罪行為に繋がる可能性も考えられる。
10代~20代の被疑者による犯罪手口の割合を示したデータからは、「利用者のパスワード設定、管理の甘さにつけこんだ手口」が55%となっており、不正に利用されたサービスとしてSNSなどのコミュニティサイトが60%以上を占めた。
このような実態から、個人のパスワード管理の重要性や、他人にパスワードを共有しないことが改めて強調されている。
サイバー警察庁は、今回の調査から小・中学生といった早期段階でのネットリテラシー教育を重要視しており、10代~20代を対象とした継続的な啓発活動の必要性も提言している。
インターネットの利用が生活の一部となる中、これらの教育が犯罪抑止の鍵を握るとされている。
また、被害時の対応策として、速やかに最寄りの警察署やサイバー犯罪相談窓口へ相談することが推奨されており、被害拡大を防ぐための迅速な対応が重要だという。