インターネットを利用していると、突然「マイクロソフトからの警告です」「ウイルスに感染しました」などと表示され、電話をかけるよう指示される詐欺に遭遇するケースがあります。これはいわゆる「マイクロソフト詐欺」と呼ばれ、年々手口が巧妙化しています。
中には、電話先の詐欺師に遠隔操作ソフト(AnyDeskやTeamViewerなど)を案内され、操作を許可してしまったことで情報漏えいや金銭被害が発生する恐れもあります。
遠隔操作を一度でも許可してしまった場合は、早急な対応が重要です。初動を誤ると、不正アクセスの痕跡が消え、調査が難しくなってしまいます。
本記事では、マイクロソフト詐欺の典型的な手口や遠隔操作された際の確認ポイント、そして安全に調査・復旧するための具体的な対処法をわかりやすく解説します。
>>おすすめのフォレンジック調査会社一覧|選び方・依頼の流れを解説
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マイクロソフト詐欺で遠隔操作されたときのサイン
以下のような兆候が端末に見られる場合、すでに不正な遠隔操作が行われている可能性があります。
- マウスや画面が勝手に動く
- 見覚えのないアプリがインストールされている
- ブラウザが勝手に開閉される
- 保存したファイルが勝手に消えている
- ネットバンキングのログイン履歴が不審
>>パソコンが遠隔操作されているか確認する方法とその対処方法を解説
マイクロソフト詐欺の手口
マイクロソフト詐欺には、以下のようなステップでユーザーを騙す特徴があります。
- 偽のウイルス警告メッセージの表示:「マイクロソフトからの警告です」「ウイルスに感染しました」といった画面で不安を煽る
- 偽のサポートセンターへの電話誘導:表示された番号に電話をかけるよう指示し、詐欺師が「サポート担当」を装って対応する
- 遠隔操作ソフトのインストール要求:「調査のため」と称して、AnyDeskやTeamViewerなどのリモート操作アプリをインストールさせる
- 個人情報の聞き取り・入力の誘導:氏名・住所・カード番号・パスワードなどを盗み取る
- 金銭の要求・送金の誘導:「修復に費用がかかる」などと嘘をつき、電子マネーやカード決済での送金を迫る
このような詐欺に一度でも応じてしまうと、遠隔操作による不正アクセスや情報漏えい、金銭被害に発展するリスクが非常に高くなります。
>>マイクロソフト詐欺とは?目的や手口を徹底解説【被害防止ガイド】
マイクロソフト詐欺で遠隔操作されたときの対処法
一度でも遠隔操作を許可してしまった場合は、速やかに以下の対応を実施することで、被害の拡大を防ぐことが可能です。特に、どのような操作が行われたのか、何が盗まれたのかを正確に把握するためには、デジタル・フォレンジック調査の専門機関への相談が重要です。
少しの遅れが、重大な損失につながるおそれがあります。迅速かつ冷静に行動することが、被害を最小限に抑えるカギとなります。
インターネット接続を切断する
詐欺師による遠隔操作を即座に遮断するためには、まずインターネット接続を切断することが最優先です。通信が続いている限り、相手はあなたの端末を操作し続けることができてしまいます。Wi-Fiやモバイルデータ通信をすぐにオフにしてください。
- Wi-Fi接続の場合、ルーターの電源をオフにする。
- 有線接続の場合、LANケーブルを抜く。
- モバイルデータ通信を使用している場合、機内モードをオンにする。
遠隔操作ソフトをアンインストールする
もしリモートアクセスツール(遠隔操作アプリ)がインストールされている場合は、詐欺師に再びアクセスされるのを防ぐために、直ちにアンインストールしてください。
そのまま放置すると、端末が引き続き操作される恐れがあります。
- 「スタートメニュー」を開き、「設定」をクリック。
- 「アプリ」→「インストールされたアプリの一覧」を開く。
- AnyDesk、TeamViewerなどの遠隔操作ソフトを探し、「アンインストール」をクリック。
パスワードを変更する
詐欺師がすでに端末を操作し、オンラインバンキングやSNSなどの個人情報を盗み見ている可能性があります。
そのため、すべての重要なオンラインアカウント(メール、銀行、SNSなど)のパスワードを、今すぐ変更してください。被害拡大を防ぐための、最も基本で重要な対策です。
システムスキャンを実行する
遠隔操作を許可してしまったことで、不正なプログラムやマルウェアが端末に密かにインストールされている可能性があります。
見た目には異常がなくても、バックグラウンドで情報を送信していることもあるため、スキャンを実施してください。
- 「Windows セキュリティ」を開く。
- 「ウイルスと脅威の防止」をクリック。
- 「クイックスキャン」を実行し、脅威がないか確認する。
ただし、一般的なウイルススキャンでは高度に隠蔽されたマルウェアや、不正アクセスの痕跡までは完全に検出できない場合があります。不正操作の証拠を正確に洗い出したい場合は、デジタル・フォレンジック調査の専門機関に依頼することを強くおすすめします。
専門家による調査では、端末内部のログ解析や通信履歴の検証を通じて、通常のセキュリティソフトでは見逃されがちなリスクを正確に把握することが可能です。
>>不正アクセスの調査とは?専門家が行う調査方法を詳しく解説
金融機関に連絡する
もし詐欺師に騙されて、クレジットカード情報や銀行口座の情報を入力してしまった場合は、被害が発生していなくても油断は禁物です。
速やかに、該当する金融機関やカード会社に連絡し、不正利用の有無や利用停止の対応を依頼してください。
初動が早ければ、不正な引き落としを未然に防げる可能性もあります。何も起きていないように見えても、見えないところで情報が悪用されている可能性があるという意識を持つことが大切です。
警察に通報する
実際に金銭被害が発生している場合や、明確な詐欺の被害を受けたと判断できる場合は、速やかに警察へ通報してください。
各都道府県警察には「サイバー犯罪対策窓口」が設けられており、電話やウェブサイトから相談や被害届の提出が可能です。
被害を記録として残すことで、今後の捜査や類似被害の防止にもつながります。ためらわず、できるだけ早く行動を起こしましょう。
フォレンジック調査会社に相談する
遠隔操作や情報漏えいの被害が疑われる場合、自己対応だけでは限界があります。とくにログや操作履歴などの証拠が消失する恐れがあるため、早めの対応が重要です。
専門調査を依頼すれば、端末に残されたログや通信履歴をもとに、実際にどのような操作が行われたかを科学的に解明できます。被害の有無や範囲、情報流出の可能性も含めて、客観的に明らかにすることが可能です。
なぜ遠隔操作ではフォレンジック調査が必要になるのか
リモート操作を許可してしまった場合、遠隔操作ソフトを削除したり、パスワードを変更しただけでは不十分なことがあります。詐欺師に端末を操作されていた時間中に、どんなファイルが閲覧・送信されたのか、何のアカウントにアクセスされたのか、本人には把握しきれないことが多いためです。
たとえば以下のような個人情報の漏えいや金銭被害が、気づかないうちに進行している可能性があります。
>>個人情報漏洩の対策とは?2024年の法改正を踏まえて紹介
- ネットバンキングや仮想通貨アプリにアクセスされ、不正送金や資産の移動が行われていた
- 保存していたクレジットカード情報が読み取られ、ECサイトで勝手に決済されていた
- 端末内の写真・連絡先・SNSアカウントが覗き見され、なりすましやプライバシー被害が発生していた
- 端末に残るアクセスログが改ざん・削除され、被害の痕跡が消されてしまっていた
- バックドア(裏口アクセス)を仕掛けられ、後日再侵入されるリスクが残っている
- ファイルの送信や削除が自動スクリプトで行われ、証拠が気づかぬうちに上書き・消去されている
このような高度な手口や見えない痕跡に対応するためには、専門的な「デジタル・フォレンジック調査」が必要です。
フォレンジック調査とは、システムや端末に残された操作記録・ログ・通信履歴などの客観的な証拠を収集・解析し、攻撃の全体像を明らかにする専門的な調査です。単に「怪しい挙動があった」という印象だけでなく、証拠として使える客観的な記録をもとに、次のような情報を明らかにすることができます。
- 実行者の特定: どのユーザーが、どの端末で、何を操作したか
- 被害範囲の把握: 暗号化や改ざんされたファイル、アクセスされた領域の確認
- 情報漏えいの有無: 外部への通信やC2サーバーとの接続履歴の確認
- 自動化された操作の追跡: PowerShellやVBScriptなどで行われた隠れた処理の記録
- 設定変更の痕跡: セキュリティ機能の無効化や権限昇格の履歴
- 証拠の法的保全: 裁判や警察への提出に耐えうる、第三者性のある証拠保全
これらの調査結果をもとに、復旧や法的対応に必要な判断材料を整えることができます。
>>おすすめのフォレンジック調査会社一覧|選び方・依頼の流れを解説
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マイクロソフト詐欺の予防策
マイクロソフト詐欺の被害に遭わないためには、日頃からの備えが非常に重要です。以下のような対策を実践することで、リスクを大きく減らすことができます。
- 不審な警告メッセージには反応しない:画面に「ウイルス感染」などの警告が出ても、焦らず閉じることが大切です。
- 画面の電話番号には絶対に連絡しない:マイクロソフトが電話での個別対応を求めることはありません。
- Windowsやセキュリティソフトを常に最新に保つ:脆弱性を突く攻撃を防ぐため、定期的なアップデートを忘れずに。
- 不審なプログラムが入っていないか確認する:遠隔操作ツールなどがインストールされていないか、定期的にチェックしましょう。
まとめ
マイクロソフト詐欺は、遠隔操作や情報漏えいといった深刻な二次被害につながる危険性があります。もし操作を許可してしまった場合、被害の拡大や証拠の消失を防ぐためにも、すみやかな対応が不可欠です。
今回ご紹介した初動対応の手順を冷静に実践することで、端末や情報資産を守ることが可能です。また、再び被害に遭わないよう、日頃からの予防策も忘れずに行いましょう。
ただし、操作された内容や情報の流出有無を正確に調べるには、専門的な知識と環境が必要になります。少しでも不安がある場合は、専門調査会社への相談を検討することをおすすめします。