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HDDの電源を入れてもカチッという音だけで回転音がしない、そもそも全く動作音がしない…。こうした「スピンアップしない」症状は、HDDの物理障害や電気的トラブルによって発生することが多く、早急な対応が必要です。根本的な原因を除けば基本的に自力での対応は不可能な症状なので、失いたくないデータが少しでもある方は専門業者に相談しましょう。
HDDがスピンアップしない主な原因
電源供給の問題
HDDがスピンアップしない最も基本的な原因の一つは、電源が正しく供給されていないことです。電源ケーブルやSATAケーブルの接触不良、あるいは電源ユニット自体の電力不足により、HDDが起動できない場合があります。
プリント基板（PCB）の電気的故障
HDDの裏面に取り付けられたPCB（コントロール基板）は、スピンモーターやデータ転送を制御する重要な部品です。過電流や電源サージにより基板が故障すると、HDDはスピンアップできません。
ディスクヘッドの固着
長期間使用していないHDDや落下などの衝撃を受けたHDDでは、磁気ヘッドがプラッタに吸着したまま動かなくなることがあります。この状態ではスピンドルが回転できず、HDDが起動不能になります。
スピンドルモーターの故障
HDD内部でプラッタを回転させるスピンドルモーターが故障していると、起動時に全く動作音がせず、スピンアップしない状態になります。これは典型的な物理障害であり、自己対応は困難です。
ファームウェア障害
HDDの動作を制御するファームウェアが破損した場合も、回転動作が開始されないことがあります。特に一部の外付けHDDや旧型製品では、頻繁に発生する傾向があります。
このような症状は放置するとデータの消失に直結する可能性があります。次に、自力でできる範囲の具体的な対処法を紹介します。
HDDがスピンアップしない場合の対処法
電源ケーブルやSATAケーブルの確認と交換
まずは、最も基本的な部分から確認を行います。ケーブルの接触不良が原因である場合は、自力で対処できる可能性があります。
ケーブル確認の手順
- PCの電源を切り、HDDの電源ケーブルとSATAケーブルを抜く。
- 別の電源ケーブルやSATAケーブルを用意して交換する。
- 異なるSATAポートに接続し直す。
- PCを起動し、HDDがスピンアップするか確認。
別のPCや電源ユニットで動作確認
HDDや電源ケーブルに異常がない場合、他の環境での動作確認を行い、問題の切り分けを行います。
別環境での確認手順
- HDDを取り外す。
- 別のパソコンまたはUSB-SATA変換アダプタを使用して接続。
- 電源投入後にHDDが回転するかを確認。
PCBの交換（同型番同モデルのドナー基板が必要）
プリント基板の故障が疑われる場合、同型番・同ロットのHDDから基板を移植する方法があります。ただし、EEPROMの移植作業など高度な技術を要するため、初心者にはおすすめできません。
PCB交換の注意点
- 基板番号（PCB番号）とHDDの製造ロットが完全一致していることを確認。
- EEPROM（構成情報）を正しく移植する必要がある。
- 失敗するとHDDの認識が完全にできなくなるリスクあり。
ヘッド固着の可能性がある場合
HDDからカチカチ音がする、通電してもモーター音が一切しない場合は、ヘッドが固着している可能性があります。無理に通電を続けるとプラッタを傷つけてしまう恐れがあり、大切なデータが永久に失われるリスクがあります。
このような物理障害の場合、自力での修復は非常に困難です。
専門業者に相談する
HDDがスピンアップしない症状は、多くの場合で物理的な故障が関与しています。内部の構造は非常に繊細であり、自力での解体や修理は取り返しのつかない損傷を引き起こす可能性があるため、自己対応は避けるのが賢明です。
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まとめ
HDDがスピンアップしない場合、電源供給やケーブルの不良などの軽度な問題から、PCBの故障、モーターやヘッドの固着といった重度の物理障害まで、さまざまな原因が考えられます。
初期段階では自力で確認できる項目もありますが、物理的な異常や音が伴う場合には、無理をせず専門業者に相談するのが最も安全です。大切なデータを守るためにも、慎重な対応が求められます。