スマートフォンやイヤホンなど、多くの機器で使われるBluetooth。利便性の一方で、悪意ある第三者による「乗っ取り」リスクが近年注目されています。本記事では、Bluetoothを悪用した代表的なサイバー攻撃の手口とその対策をわかりやすく解説します。
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Bluetoothを使った乗っ取りとは?
Bluetoothの乗っ取りとは、Bluetooth機能を通じてデバイスに不正アクセスされ、情報漏洩や遠隔操作、盗聴などが行われるサイバー攻撃です。物理的な接続が不要なため、公共の場などで気づかないうちに被害に遭う危険があります。特にIoTやBYOD環境が普及する中、企業にとっても無視できないリスクです。
Bluetooth乗っ取りの手口と脆弱性
- BlueBorne(ブルーボーン)による乗っ取り
- KNOB攻撃
- BlueFragを利用した攻撃
- Apple bleee(Apple製品の脆弱性)を利用した攻撃
- その他の攻撃手法(ブルージャッキング、ブルースナーフィング等)
BlueBorne(ブルーボーン)による乗っ取り
BlueBorneは、Bluetooth通信の脆弱性を悪用し、ユーザー操作なしでデバイスに侵入する攻撃手法です。古いOS上の脆弱性ですが、Android・Windows・Linuxなど幅広く存在します。OSのアップデートで対策することが可能です。
出典:JPCERTCC
KNOB攻撃
KNOB攻撃(Key Negotiation of Bluetooth Attack)は、Bluetoothの暗号化プロトコルに存在した深刻な脆弱性(CVE-2019-9506)を悪用する手法です。この攻撃では、Bluetoothデバイス同士が通信時に使用する暗号鍵の長さを、攻撃者が中間者として強制的に「1バイト」にまで引き下げます。鍵が極端に短くなることで、ブルートフォース(総当たり)攻撃によって容易に解読できるようになります。
この攻撃はBluetoothの仕様上の設計ミスに起因しており、Android・iOS・Windows・Linuxなど多数のOSに影響を与えました。KNOB攻撃の恐ろしい点は、被害者が通常通りペアリング操作をしている間に攻撃が成立し、ユーザー側には一切異常が検知されない点にあります。通信の傍受やデータ改ざんも可能になるため、機密情報の漏洩リスクが非常に高いです。
BlueFragを利用した攻撃
BlueFragは、Android 8.0〜9.0に存在した脆弱性で、特定のデバイスに対してBluetooth経由でコード実行や情報窃取が可能でした。セキュリティパッチ未適用の端末が標的となります。
Apple bleee(Apple製品の脆弱性)を利用した攻撃
bleeeはApple製品に存在するBluetooth通信の脆弱性です。悪意ある信号を送信することでクラッシュを誘発し、再起動を繰り返すなどの被害が確認されています。
その他の攻撃手法(ブルージャッキング、ブルースナーフィング等)
その他にもBluetoothを悪用した攻撃は、OSの脆弱性を突くもの以外にも多様な手口が存在します。例えば「ブルージャッキング」は、Bluetooth通信を利用して無断でメッセージを送りつけ、ユーザーの混乱や誤操作を誘発する攻撃です。一見無害に見えますが、フィッシングリンクを送信されると、被害が深刻化します。
「ブルースナーフィング」は、Bluetooth経由でデバイス内の連絡先やメッセージ、カレンダー情報などを盗み出す手法です。旧型のBluetoothプロファイルや未更新のデバイスが狙われやすく、企業でのBYOD環境では特にリスクとなります。
スマートフォンなどに不審な挙動が見られる場合、Bluetoothが原因の可能性もあります。放置すると情報漏洩や不正アクセス被害に発展する可能性もあるので、専門家に相談して調査してもらうことをおすすめします。
Bluetooth乗っ取り被害の具体例とリスク
Bluetooth乗っ取りによって生じるリスクは非常に多岐にわたります。たとえば、攻撃者がスマートフォンに接続し、通話記録やSMS、写真・動画、連絡先などを密かに窃取するなどが考えられま」す。さらに深刻なケースでは、攻撃者がマルウェアを仕込み、遠隔操作でマイクやカメラを起動させ、盗聴・盗撮といったスパイ行為に発展する可能性も否定できません。
また、近年ではIoT家電やスマートウォッチ、ワイヤレスイヤホンなどの普及により、Bluetooth経由の乗っ取りが理論上可能なデバイスは爆発的に増加しています。
Bluetooth乗っ取り被害に遭った場合の対応策
- パスワードを変更する
- ネットワーク設定や他の機器の安全性を確認
- サイバーセキュリティの専門家に相談する
パスワードを変更する
Bluetooth経由で個人情報が流出した可能性がある場合は、速やかに主要アカウントのパスワードを変更してください。特にSNS、メール、クラウドサービス、金融機関などは最優先で対応が必要です。他サービスと使い回していたパスワードもすべて見直しましょう。また、変更時には英数字・記号を組み合わせた強固なパスワードを設定し、2段階認証の導入で防御力を高めることも重要です。
ネットワーク設定や他の機器の安全性を確認
Bluetoothの乗っ取りは単体のデバイスだけでなく、連携する他の機器やWi-Fiネットワークにも波及する可能性があります。スマートホーム機器、業務用プリンタ、POS端末などがBluetooth経由で接続されている場合、それらのログイン情報やファームウェアの状態も確認しましょう。
また、同時にWi-Fiネットワークの暗号化設定(WPA2以上)やルーターのセキュリティも見直すことで、二次被害の防止につながります。
サイバーセキュリティの専門家に相談する
端末の挙動に異常を感じたり、Bluetooth経由で不審なアクセスがあった場合は、サイバーセキュリティの専門家に相談しましょう。必要に応じて、端末の診断やマルウェア検査、被害状況の調査が行われます。
特に企業の場合は、個人情報の漏えいリスクなどから社内のIT部門や外部の専門家との連携が不可欠です。被害が広範囲に及ぶ恐れがある場合は、警察やサイバー犯罪相談窓口への通報も検討し、専門家による調査結果を証拠として提出することも考慮しましょう。
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Bluetooth乗っ取りを防ぐための基本対策
- Bluetooth機能を必要時以外はオフにする
- デバイスのOS・ファームウェアを常に最新に保つ
- 不明なデバイスとの接続を避ける
- 業務用デバイスの管理とセキュリティポリシー策定
Bluetooth機能を必要時以外はオフにする
Bluetoothは通信範囲内であれば誰とでも接続可能なため、常時オンにしていると不正接続のリスクが高まります。使用する場面以外では必ずオフにすることが基本的な防御策です。特に人が多い公共空間や交通機関内では、攻撃者が接続を試みる可能性が高くなります。利便性よりも安全性を優先し、利用する時間と場所を限定する意識を持ちましょう。
デバイスのOS・ファームウェアを常に最新に保つ
Bluetooth関連の脆弱性は、OSやファームウェアのアップデートによって修正されることが多くあります。古いバージョンを使い続けると、既知の脆弱性を悪用されるリスクが残ります。セキュリティパッチが公開されたら速やかに適用し、自動更新の設定も有効にしましょう。企業では、更新管理のルールや監視体制を整備することも重要です。
不明なデバイスとの接続を避ける
Bluetooth機器は近くにあるデバイスと自動的にペアリングを試みる設定がある場合もあり、不明な機器に誤って接続してしまうことで被害につながる可能性があります。ペアリングを許可する前にデバイス名や用途を確認し、見覚えのない接続要求は拒否してください。さらに、「検出可能モード」をオフにすることで他人から見つかりにくくすることが可能です。
業務用デバイスの管理とセキュリティポリシー策定
企業においては、業務用端末のBluetooth利用を明確にルール化し、管理体制を整えることが不可欠です。たとえば、接続を許可するデバイスの種類を限定したり、利用時間帯や場所を制限することで、リスクを最小限に抑えることができます。また、MDM(モバイルデバイス管理)ツールを活用して、遠隔での設定制御や監視を行うことも有効です。
まとめ
Bluetoothは日常生活やビジネスに欠かせない無線通信手段ですが、その便利さの裏にはサイバー攻撃のリスクが潜んでいます。BlueBorneやKNOBなどの脆弱性を狙った乗っ取りは、知らぬ間に情報漏洩や遠隔操作を引き起こす恐れがあります。
被害を防ぐには、日常的なセキュリティ意識の向上と、基本的な対策の徹底が不可欠です。常にOSを最新に保ち、Bluetoothは必要時のみ有効にし、異常を感じたら早期対応を行いましょう。個人だけでなく、企業としてもリスクを見据えた体制づくりが重要です。