メールから会社のデータが漏洩した際の企業がとるべき対応・再発防止策を解説

従業員が会社のデータを私用メールに送信して持ち出す行為は、情報漏洩や法的トラブルにつながる重大な問題です。社内不正や退職者による意図的な持ち出しだけでなく、誤送信や不正アクセスなど、さまざまな経路で機密情報が流出するリスクが存在します。

本記事ではメールで会社のデータが漏洩した際の企業がとるべき対応・再発防止策を解説します。

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メール経由のデータ持ち出しが企業に与えるリスクとは?

メールを利用したデータ持ち出しは、セキュリティ対策や不正対策を行っていないと気づきにくく、従業員や退職者による不正な持ち出しを見逃してしまう可能性もあります。

このようなデータ持ち出しが見逃されることで、企業が被るリスクには以下のものがあります。

  • 顧客情報や個人情報の漏洩による法的責任
  • 営業機密・技術情報の外部流出
  • 企業の利益や株価の低下
  • 損害賠償請求の支払リスク
  • 刑事事件化による信頼性の低下

顧客情報や個人情報の漏洩による法的責任

メールを通じて顧客情報や社員の個人情報が社外に流出した場合、企業は個人情報保護法に基づき厳しい責任を問われます。たとえ故意でなくても、外部への漏洩が確認されれば個人情報保護委員会への報告義務が発生し、違反が悪質と認定されれば最大1億円の行政罰が科される可能性もあります。

さらに、情報主体からの損害賠償請求リスクもあるため、社内の安全管理体制が不十分だった場合には企業の法的責任が重くのしかかります。

営業機密・技術情報の外部流出

会社が保有する営業戦略、設計書、顧客リストなどの営業秘密を従業員が私用メールで社外に持ち出す行為は、不正競争防止法違反に該当する可能性があります。特に、退職前に持ち出した情報を競合企業に提供した場合は、刑事告訴や損害賠償の対象となります。

仮に社外への漏洩が事実であれば、企業の技術的優位性や営業基盤が一瞬で失われることもあり、事業継続に深刻な影響を及ぼします。

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企業の利益や株価の低下

情報漏洩のニュースが広がれば、顧客や取引先からの信頼を一気に失うことになります。特に上場企業の場合、IRリスクとして株価が急落するケースも少なくありません。メール1通で漏洩した情報が、企業全体の利益や資産評価に直接影響を与える時代です。

情報管理体制の甘さが露呈すれば、金融機関や大手顧客との契約打ち切りにつながる可能性もあり、経営へのダメージは計り知れません。

損害賠償請求の支払リスク

顧客や取引先の情報が漏洩した場合、被害者側から企業に対して損害賠償請求が行われるケースがあります。過去には、1人あたり数万円〜数十万円の賠償額が認められ、漏洩人数が多ければ総額で数千万円〜億単位の請求に発展することもあります。

仮に誤送信や盗聴が原因であっても、企業に「安全管理義務違反」が認定されれば法的責任は免れません。事前にリスクを想定した体制が問われます。

刑事事件化による信頼性の低下

従業員や退職者によるメール経由の情報持ち出し行為が、悪質または組織的であると認定された場合、企業は単なる内部トラブルでは済まず、刑事事件として立件される可能性があります。実際に、営業秘密の持ち出しは不正競争防止法違反、個人情報の漏洩は個人情報保護法違反として刑事罰の対象になります。

たとえば、不正競争防止法(第21条等)では、営業秘密を不正に取得・使用・開示した者に対し、10年以下の懲役または2,000万円以下の罰金(法人は最大5億円の罰金)が科される重罪とされています。共犯者(受け取った競合企業など)も処罰対象となる場合があります。

また、個人情報保護法(第83条)では、委員会命令違反などを行った事業者に対し、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が課される可能性があり、悪質な漏洩と判断されれば、企業や個人の刑事責任が追及されることがあります。

このような事件が表沙汰になれば、企業は「情報管理が甘い」と見なされ、報道やSNS等での拡散によってブランドイメージが大きく毀損されます。取引先との契約停止や新規受注の減少、上場企業であれば株価下落にもつながる重大な経営リスクです。

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会社のデータがメールで持ち出された場合の対処法

会社のデータがメールで持ち出された場合の対処法は以下の通りです。

  • メールアカウントを凍結し、外部からのアクセスを遮断する
  • フォレンジック調査を行う
  • 公的機関や関係者に報告する
  • 必要に応じて法的対応を行う

メールアカウントを凍結し、外部からのアクセスを遮断する

情報の持ち出しが発覚した際には、まず当該アカウントの使用停止を最優先で行います。対象者のメールアドレスやクラウド連携サービス(Google WorkspaceやMicrosoft 365など)へのアクセスを凍結し、被害の拡大を防ぎます。

同時に、ログイン元IPやVPN経路などを確認し、不正アクセスの有無も調査しましょう。初動が遅れると、証拠の改ざんやデータの再送信といった二次被害が発生する恐れがあります。

フォレンジック調査を行う

証拠保全と事実解明のためには、専門のフォレンジック調査が不可欠です。対象となるPCやスマホのディスクイメージを取得し、削除されたメール・添付ファイル・転送設定などの痕跡を復元・解析します。

調査結果は報告書としてまとめられ、社内対応だけでなく裁判・警察への提出資料としても活用可能です。証拠の信頼性を担保するためには、調査の初動段階から専門会社に依頼することが望まれます。

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公的機関や関係者に報告する

個人情報が流出した場合、企業には個人情報保護委員会への報告義務が課されます。また、顧客・取引先・委託元に対しても速やかに事実を説明し、謝罪と再発防止策を示すことが強く求められます。

報告の遅れや不誠実な対応は、さらなる信頼失墜や契約解除につながりかねません。法務・広報・経営陣が連携し、社外対応のタイミングと文面を慎重に検討しましょう。

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必要に応じて法的対応を行う

内部不正や退職者による故意の持ち出しが確認された場合、企業は損害賠償請求や刑事告訴などの法的措置を検討すべきです。営業秘密の持ち出しであれば不正競争防止法、個人情報であれば個人情報保護法違反に該当する可能性があります。

実際に法的手段に踏み切るには、「証拠の存在と証拠能力の確保」が極めて重要です。証拠が不十分であれば、民事裁判では損害賠償請求が認められず、刑事告訴も不起訴になる恐れがあります。そのため、メールの送信ログや添付ファイル、端末操作履歴、削除された痕跡などを適切に保全・解析する必要があります。

この段階では、フォレンジック調査会社と連携して、デジタル証拠の復元と報告書化を行うことが効果的です。復元された証拠は、弁護士が訴訟資料や告訴状の添付資料として活用し、警察や裁判所に提出される重要な判断材料となります。

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会社のデータがメールで持ち出されることの予防策

会社のデータがメールで持ち出されるといった事態を予防するには、以下の方法が有効とされます。

  • データ持ち出しを就業規則で禁止する
  • 機密情報にアクセス制限をかける
  • メールの監視ソフトを導入する
  • ログ管理ツールを導入する
  • 従業員教育を行う

データ持ち出しを就業規則で禁止する

情報の私的持ち出しを抑止するには、まず就業規則に「会社のデータを私用メールで送信することの禁止」懲戒解雇など「違反時の処分内容」を明記する必要があります。

加えて、従業員に規則内容を周知・同意させ、違反行為が懲戒対象となる旨を明文化しましょう。規定が曖昧だと処分が無効になる恐れがあるため、定期的な見直しと研修による啓発が重要です。

Excelファイルの持ち出し禁止方法を徹底解説>

機密情報にアクセス制限をかける

機密性の高いファイルやフォルダには、部署ごとのアクセス権限を設定し、必要最低限の者しか閲覧・編集できないよう制限を設けましょう。特に退職予定者や一時的な委託社員に対しては、アクセス権限の即時停止が重要です。

クラウドやファイルサーバの利用においても、社外アクセスやダウンロード制限を徹底し、不正な持ち出しを防止します。

メールの監視ソフトを導入する

誤送信や内部不正の兆候を検知するために、メール送信内容を自動監視するソフトの導入が有効です。特定のキーワードやフリーメールアドレスへの送信を検知してアラートを出すことで、ヒューマンエラーや意図的な持ち出しを未然に防止します。

一部のツールでは、承認制や添付ファイルの自動暗号化といった制御機能も備わっており、業種に応じた設定が可能です。

ログ管理ツールを導入する

社員の操作履歴やメール送信ログ、クラウドアクセスの記録を収集・分析するログ管理ツールは、不正行為の証拠確保や早期発見に役立ちます。

過去の操作を時系列で確認できるため、持ち出しの兆候を事前に察知したり、事後調査で決定的な証拠を掴むことができます。ログは法的証拠としての信頼性も高く、導入によってセキュリティ体制の格段な向上が期待できます。

従業員教育を行う

どれだけ制度やシステムを整えても、最終的に情報を扱うのは人です。従業員一人ひとりが情報管理の重要性を理解し、ルールを遵守する意識を持たなければ、情報漏洩リスクは根絶できません。

新入社員研修や定期的なセキュリティ研修の中で、過去の漏洩事例や社内ルールを具体的に紹介し、行動変容を促しましょう。

まとめ

会社のデータをメール経由で持ち出す行為は、たとえ悪意がなかったとしても、重大な情報漏洩に直結します。誤送信・内部不正・外部攻撃といった複数の脅威が存在し、企業は法的・経営的に多大な損失を被るリスクがあります。

万が一の事態に備えるためには、早期のアカウント凍結・証拠保全・フォレンジック調査といった適切な初動対応と、再発防止に向けた制度設計・社員教育の強化が欠かせません。情報持ち出しに不安がある企業様は、専門のフォレンジック調査会社に相談することで、被害の最小化と再発防止につながる一手を講じることができます。

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