不正会計は一見すると自社には無縁の話に思えるかもしれませんが、実際には企業規模を問わず多くの組織が直面する可能性があります。内部統制の脆弱さや、業績プレッシャー、不透明な取引構造など、原因は多岐にわたります。もし発覚した場合、速やかな調査と適切な対応が信頼回復の鍵を握ります。
本記事では不正会計発覚時の初動対応をはじめ、不正会計調査の全体の流れについて解説します。社内で不正会計が行われて何をしたらいいかわからない場合はぜひ参考にしてください。
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不正会計発覚時の初動対応
不正会計の兆候が確認された際には、初動対応が極めて重要です。対応の遅れや不適切な処理は、証拠の消失や更なる信用毀損を招きかねません。ここでは初期対応で取るべき基本的なアクションを示します。
事実確認と関係者ヒアリングの実施
最初に必要なのは、情報の出所や信憑性を確認し、影響範囲を特定することです。関係部署や内部通報者などからのヒアリングを通じ、事実関係の把握を進めましょう。
事実確認と関係者ヒアリングの進め方
- 内部通報や監査結果などの情報源を整理
- 関係者のリストアップと聞き取り対象者の選定
- ヒアリング内容の事前整理と記録テンプレート準備
- 証拠保全を意識した質問の設計
- 中立的立場を保ちつつ、ヒアリングを実施
証拠保全を行う
パソコンやメール、会計システムなどのデジタル証拠が失われる前に、速やかにフォレンジック保全を行うことが重要です。
証拠保全の手順
- 関係PC・サーバの使用停止とアクセス制限
- ストレージ全体のフォレンジックコピー取得
- 重要なメール・会計システムのログ取得
- 操作履歴のログ収集(USB・共有フォルダ含む)
- 保全後のファイル改ざん防止措置
このような証拠保全は早めに社内のIT担当または専門業者に依頼して行い、証拠隠滅を防ぎましょう。
社内調査委員会を設置する
初動段階での公平な判断と迅速な意思決定には、独立した社内調査委員会の設置が効果的です。法務・内部監査・IT部門を横断して組成し、調査の起点となる方針を定めます。
必要に応じて弁護士や公認会計士など外部の専門家への相談も行いましょう。
調査委員会設置のステップ
- 経営層による調査委員会設置の決定
- 構成メンバー(法務・監査・IT・外部弁護士など)の選定
- 調査方針・スケジュールの策定
- 社内通知と関係者への周知
- 委員会による調査・報告業務の開始
第三者委員会による社内不正調査の重要性とフォレンジック調査について詳しくはこちら>
フォレンジック調査の実施
デジタル機器に残る操作履歴や削除データの復元、ファイルアクセス記録の解析などを通じて、不正の実態を客観的に証明することが可能です。
フォレンジック調査の進め方
- 調査対象のPC・サーバ・ストレージを選定
- デジタル証拠のフルコピー(イメージ取得)
- 操作ログ・メール送受信記録の抽出
- 削除されたデータや改ざんの痕跡を復元
- 調査報告書としてまとめ、法的証拠化
不正会計が疑われる状況に直面した際、自力での調査は証拠の毀損や判断ミスを招くおそれがあります。よってフォレンジック調査を専門とする調査会社に相談し、証拠の改ざんや削除が起こらないようにしましょう。
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費用 | ★見積り無料 まずはご相談ください |
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調査対象 | PC、スマートフォン、サーバ、外付けHDD、USBメモリ、SDカード、タブレット など |
サービス | 情報持出し調査、退職者調査、ハッキング・不正アクセス調査、マルウェア・ランサムウェア感染調査、サイバー攻撃被害調査、労働問題調査、社内不正調査、、横領着服調査、パスワード解除、データ改ざん調査、データ復元、デジタル遺品、離婚問題・浮気調査 など |
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現場別・部門別の不正会計調査の流れ
実際の調査では、対象部門や業務内容ごとに異なる手法が求められます。ここでは、代表的な現場別に調査の流れと重要ポイントを整理します。
経理・財務部門の帳簿調査
経理処理の不正は、不自然な仕訳や証憑の欠如として表れます。証憑との突合や仕訳パターンの分析により、不自然な動きを可視化します。
経理・財務部門の調査手順
- 月次・四半期・年度別の仕訳帳の抽出
- 金額・摘要別の異常値検出
- 証憑(請求書・契約書等)との整合性確認
- 関連部門への聞き取り調査
- 売掛・買掛など勘定科目の確認と分析
営業部門における売上調査
営業活動においては、架空の売上計上や循環取引の有無をチェックする必要があります。得意先との取引実態や契約書、納品書の整合性がカギとなります。
営業部門での調査手順
- 取引先別の売上推移分析
- 売上計上日と納品日の照合
- 契約書・注文書・請求書・納品書の整合確認
- 循環取引の兆候(同一商品・同額等)の確認
- 不自然な短期大量取引の調査
以上のような不正会計の調査は一歩間違えれば証拠隠滅や誤認リスクにもつながります。自社対応だけでなく、実績あるフォレンジック専門業者に相談することで、法的にも有効な証拠収集と再発防止策の立案が可能です。
不正会計調査後の是正措置と外部公表、投資家対応
調査終了後は、再発防止に向けた体制整備と外部への適切な情報開示が求められます。特に上場企業においては、投資家への信頼回復のため、スピーディかつ誠実な対応が欠かせません。
社内制度の見直しと再発防止策の実施
不正の背景にある制度や文化を分析し、内部統制強化や教育体制の再構築を通じて、同様の事案を未然に防ぐ必要があります。
是正措置の実行手順
- 調査結果に基づく問題点の整理
- 会計処理ルール・監査体制の見直し
- 通報制度・監査部門の機能強化
- 全社員向けコンプライアンス教育実施
- 是正措置実施状況の継続モニタリング
対外公表とIR対応の徹底
開示義務のある情報やステークホルダーへの説明責任を果たすことで、社会的信頼の回復を図ります。タイミングや表現には慎重な配慮が必要です。
外部公表・IR対応の実施手順
- 金融庁・取引所との開示方針協議
- 適時開示書類・IR資料の作成
- 記者会見での想定Q&A準備
- 株主・取引先への文書説明
- 中長期的な業績・信頼回復方針の提示
まとめ
不正会計は、企業の信頼・財務・法的立場に重大な影響を与える深刻なリスクです。発覚時の初動対応を誤れば、証拠の隠滅や風評被害が広がり、事態の悪化を招くおそれもあります。
だからこそ、事実確認・証拠保全・専門調査・是正措置という一連のプロセスを、速やかかつ正確に進めることが求められます。