突然、業務PCのファイル名に「.MuskOff」という見慣れない拡張子が付き、復号を要求するメモが現れました。このような状況に直面したら、MuskOff(Chaos)ランサムウェアへの感染が強く疑われます。
MuskOffランサムウェアは、Chaosと呼ばれるRaaS(Ransomware as a Service)型のマルウェアをベースにしており、誰でも自由に亜種を作れることから、模倣犯や変異型の登場が止まりません。
本記事では、MuskOff(Chaos)ランサムウェアの特徴や感染の流れ、初動でやるべき緊急対応について、わかりやすく解説します。
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MuskOff(.MuskOff)ランサムウェアとは
MuskOffは、Chaosランサムウェアのコードをベースに作成された新たな亜種です。Chaosは誰でもカスタマイズできるランサムウェア作成ツールであり、MuskOffはその拡張型にあたります。感染後にはファイルの暗号化と「read_it.txt」による復号要求が行われ、復旧にはBTCでの支払いを求められます。
出典:PCRisk
MuskOff(.MuskOff)ランサムウェアの特徴
以下には、MuskOffランサムウェアがどのように感染し、ファイルを暗号化し、身代金を要求するのかを整理します。
ファイル暗号化と拡張子変更
感染後すぐに、PC内の各種ファイルが暗号化され、元の拡張子の末尾に「.MuskOff」が付けられます。たとえば「請求書.xlsx」は「請求書.xlsx.MuskOff」のように変化し、開けなくなります。

「実際の拡張子」画像出典:PCRisk
read_it.txtによる復号要求と脅迫
暗号化と同時に「read_it.txt」というテキストファイルが作成され、そこには「1500ドル相当のBTC(ビットコイン)を支払えば復号できる」といった文言が記載されます。実際のBTCアドレスや変換レートが一致していないこともあり、信頼性は極めて低いまま被害者を混乱させます。

「実際の脅迫ノート」画像出典:PCRisk
Chaos系列ならではの拡張性
MuskOffは「Chaos」というランサムウェア作成キット(ビルダー)から派生したものです。このツールは誰でも簡単にカスタマイズできるため、今後も「MuskOff亜種」や同系列の新種が現れる可能性があります。攻撃者ごとにビットコインアドレスや脅迫文が異なるケースもあり、対策の難しさを増しています。
出典:PCRisk
MuskOff(.MuskOff)感染時の初期対応
MuskOff(.MuskOff)の感染が疑われる兆候を発見した場合、初動対応の正確さが被害拡大を防ぐ鍵となります。パニックに陥らず、冷静に対応し、以下の手順を実行してください。
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なお、自己判断での操作は重要な証拠データを消してしまう可能性があり、復旧や調査が困難になる恐れがあります。
ネットワークからの隔離
インシデント対応において、最も優先すべき行動は「被害拡大の防止」です。感染が疑われる端末は、すぐにネットワークから物理的に切り離してください。
- 有線LANの場合: LANケーブルを抜きます。
- Wi-Fiの場合: Wi-Fi機能をオフにします。
ネットワーク切断により、MuskOff/Chaosが社内ネットワークで横展開し、他のサーバーや端末に広がるのを防げます。
証拠となるデータの保全
今後の調査や警察への届け出に備え、デジタル証拠を可能な限り保全することが重要です。
- 電源は切らない::PCのメモリ上には攻撃の痕跡が残っています。シャットダウンすると重要な証拠が失われるため、電源は入れたままにしてください。
- 操作しない:ファイルの削除や設定変更など、一切の操作を控えてください。意図せず証拠を破壊してしまう可能性があります。
身代金の支払いは厳禁
攻撃者はデータ復旧と引き換えに身代金の支払いを要求しますが、警察庁やセキュリティ機関は一貫して支払いを行わないよう強く推奨しています。支払いに応じたとしても、データが確実に復元される保証はなく、結果的に犯罪組織へ資金を提供することになります。さらに、「支払う企業」として認識され、将来的に再び標的にされるリスクも高まります。
専門家・関係機関への報告
自社だけで解決しようとせず、速やかに外部の専門家や関係機関に連絡してください。
- 契約しているセキュリティベンダーやIT保守会社
- フォレンジック調査の専門企業
- 管轄の都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
ランサムウェア被害は、法的な対応が求められるサイバー犯罪です。自己判断での調査は、警察や法廷に提出すべき重要なデジタル証拠を破壊してしまうリスクがあります。自社を法的に守るためにも、まずは証拠保全の専門家であるフォレンジック調査会社にご相談ください。
MuskOff(.MuskOff)ランサムウェアの被害を解明するフォレンジック調査の必要性
ランサムウェア被害からの復旧は、バックアップによるデータ復元だけでは不十分です。「なぜ・どこから・どのように侵入されたのか」という根本原因を明らかにしなければ、再発のリスクを抱えたままとなります。その原因究明と対策立案に不可欠なのが、フォレンジック調査です。
フォレンジック調査でわかること
フォレンジック調査とは、システムに残されたログや操作履歴、通信痕跡を収集・解析し、攻撃の事実関係を客観的に解明する専門調査です。
>>【解説】フォレンジック調査とは?調査の流れや専門会社を紹介
フォレンジック調査により、以下のような情報を明確にすることが可能です。
- 侵入経路の特定:RDP、VPN脆弱性、Webアプリのゼロデイ、漏洩アカウント、マルウェア付きメールなど、多い侵入手口を洗い出し、実際の侵入ルートを特定します。
- 被害範囲の把握:攻撃者がアクセスしたサーバー、PC、アカウントを洗い出し、影響が及んだ範囲を明確にします。
- 情報漏洩の全容解明:外部に流出した個人情報・技術資料・財務情報などの種類と量を確認します。
- マルウェアの残存確認:マルウェアが残留していないか、再感染リスクがないかを調査します。
- 法的証拠の保全:警察への通報や訴訟対応に備え、操作ログや通信履歴などの証拠データを正確な状態で保存します。
上記情報は、顧客や監督官庁への正確な報告や、再発防止策の策定に不可欠です。
>>おすすめのフォレンジック調査会社一覧|選び方・依頼の流れを解説
自力調査が招く「証拠汚染」のリスク
ランサムウェアの被害現場は、法的な観点から見れば「サイバー空間の事件現場」そのものです。自社のIT部門が善意で行う調査行為(再起動、ファイル操作、ウイルススキャンなど)が、操作ログやタイムスタンプを上書きし、証拠能力を失わせてしまうケースが後を絶ちません。
証拠が損なわれれば、警察の捜査や法的手続きが進められず、企業に不利な影響を与える可能性があります。
>>フォレンジック調査会社の選び方|費用・期間・おすすめ企業を解説
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調査対象 | PC、スマートフォン、サーバ、外付けHDD、USBメモリ、SDカード、タブレット など |
サービス | マルウェア・ランサムウェア感染調査、ハッキング・不正アクセス調査、サイバー攻撃被害調査、退職者調査、労働問題調査、社内不正調査、情報持出し調査、横領着服調査、パスワード解除、データ改ざん調査、データ復元、デジタル遺品、離婚問題・浮気調査 など |
特長 | ✓累積ご相談件数39,000件以上 ✓国際基準をクリアした厳重なセキュリティ体制(ISO認証、プライバシーマーク取得済) ✓警視庁からの捜査協力依頼・感謝状受領の実績多数 |
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まとめ
MuskOff(.MuskOff)ランサムウェアは、Chaosビルダーをベースにした亜種であり、誰でも容易に作成できる点が特徴です。RaaS(Ransomware as a Service)型の構造により、同系統の攻撃が次々と発生しており、企業や組織を中心に被害が拡大しています。
被害を最小化するためには、早急に感染端末をネットワークから隔離し、電源を落とさずにフォレンジック調査を行うことが重要です。専門調査によって、侵入経路の特定・被害範囲の可視化・再発防止策の立案までを一貫して行うことで、事後対応の精度とスピードを確保できます。
復旧や再発防止を確実に進めるためにも、ランサムウェア対応実績を持つ専門会社への早期相談を強くおすすめします。