Chaos(カオス)ランサムウェアは、誰でも独自のランサムウェアを作成できる「Chaosビルダー」というツールから派生した亜種の総称です。ファイルを暗号化し、読み込めなくするだけでなく、復号と引き換えに暗号資産を要求する手口が特徴です。
さらに、2025年には同名を冠しつつも別系統の「新生Chaosグループ」による攻撃も確認されており、混同に注意が必要です。被害に遭っても復旧できないケースもあるため、証拠が消失する恐れがある初動段階での正確な判断と対応が求められます。
本記事では、Chaosランサムウェアの成り立ちや構造、感染の仕組みと被害の特徴、初動対応の考え方までを体系的に解説します。
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Chaosランサムウェアとは
Chaosランサムウェアとは、「Chaosビルダー」と呼ばれる自動生成ツールで作成されたランサムウェアの総称です。専門知識がなくてもGUI操作で簡単に作成できるため、2021年以降さまざまなカスタム亜種(例:MuskOff、Yashma、Sirattacker)が登場しました。
このビルダーを用いて作られたChaos系ランサムウェアは、被害端末のファイルを暗号化し、復号のために仮想通貨(多くの場合ビットコイン)での支払いを要求する点が共通しています。暗号化の際には、ファイルの拡張子がランダム文字列や亜種固有の文字列に変更されるのが特徴です。
また、2025年に入ってから登場した「新生Chaosグループ」による攻撃は、技術的には旧Chaosビルダーとは無関係ながら、名称を流用しているため注意が必要です。
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出典:TECH+
Chaosランサムウェアの主な特徴
Chaosランサムウェアは、独自の拡張子変更やランダムな文字列の付加、復号メモの自動生成など、他のランサムウェアとは一線を画す特徴を持っています。特に「Chaosビルダー」を使って作成されたことにより、多数のバリアントが存在し、感染後の挙動にも若干の違いが見られる点が注意点です。
- 拡張子がランダムな文字列に変更される
- すべてのフォルダに脅迫メモが生成される
- 復号には高額なビットコインが要求される
- ローカルネットワーク経由で感染が拡大する
- ファイルはランサムウェア削除後も暗号化されたまま
拡張子がランダムな文字列に変更される
Chaosは暗号化処理の際、ファイル名の末尾に「.us00」「.0w2h」「.wf1d」など、ランダムな4文字の文字列を追加するのが特徴です。これにより元ファイルの特定が難しくなり、復旧作業に支障をきたします。

「実際の拡張子」画像出典:PCRisk
すべてのフォルダに脅迫メモが生成される
暗号化されたファイルが存在するすべてのフォルダに「read_it.txt」というテキストファイルが自動生成され、復号に必要な支払い手順やBTCアドレスなどが記載されています。これにより被害者は、被害規模の大きさを視覚的に認識させられます。
復号には高額なビットコインが要求される
Chaosは、ファイルの復号に対して0.1473766 BTC(およそ1500ドル相当)を要求します。支払い後に復号ツールが提供される保証はなく、支払ってもファイルが戻らない恐れがあるため注意が必要です。
ローカルネットワーク経由で感染が拡大する
同一ネットワーク内にある他の端末に感染を広げる機能も備えており、1台が感染すると複数のPCが同時に被害を受ける可能性があります。特に共有フォルダやサーバにアクセス権がある場合、迅速な隔離が重要です。
ファイルはランサムウェア削除後も暗号化されたまま
Chaos本体の削除後も暗号化されたファイルは元に戻らず、復号ツールがない限り復元不能となります。これはほとんどのランサムウェアに共通する特性であり、復旧にはバックアップが必須です。
出典:PCRisk
Chaosランサムウェア感染時の初期対応
Chaosランサムウェアへの感染が疑われる場面では、初動対応の正確さがその後の被害抑止や証拠保全に直結します。慌てて操作を加える前に、冷静に以下の対応を行うことが重要です。
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特に、自己判断によるファイル削除やスキャン実行は証拠が消失する恐れがあるため、まずは現状維持を意識した対応を心がけましょう。
ネットワークからの隔離
インシデント対応において、最も優先すべき行動は「被害拡大の防止」です。感染が疑われる端末は、すぐにネットワークから物理的に切り離してください。
- 有線LANの場合: LANケーブルを抜きます。
- Wi-Fiの場合: Wi-Fi機能をオフにします。
ネットワーク切断により、社内ネットワークで横展開し、他のサーバーや端末に広がるのを防げます。
証拠となるデータの保全
今後の調査や警察への届け出に備え、デジタル証拠を可能な限り保全することが重要です。
- 電源は切らない::PCのメモリ上には攻撃の痕跡が残っています。シャットダウンすると重要な証拠が失われるため、電源は入れたままにしてください。
- 操作しない:ファイルの削除や設定変更など、一切の操作を控えてください。意図せず証拠を破壊してしまう可能性があります。
身代金の支払いは厳禁
攻撃者はデータ復旧と引き換えに身代金の支払いを要求しますが、警察庁やセキュリティ機関は一貫して支払いを行わないよう強く推奨しています。支払いに応じたとしても、データが確実に復元される保証はなく、結果的に犯罪組織へ資金を提供することになります。さらに、「支払う企業」として認識され、将来的に再び標的にされるリスクも高まります。
専門家・関係機関への報告
自社だけで解決しようとせず、速やかに外部の専門家や関係機関に連絡してください。
- 契約しているセキュリティベンダーやIT保守会社
- フォレンジック調査の専門企業
- 管轄の都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
ランサムウェア被害は、法的な対応が求められるサイバー犯罪です。自己判断での調査は、警察や法廷に提出すべき重要なデジタル証拠を破壊してしまうリスクがあります。自社を法的に守るためにも、まずは証拠保全の専門家であるフォレンジック調査会社にご相談ください。
ランサムウェアの被害を解明するフォレンジック調査の必要性
ランサムウェア被害からの復旧は、バックアップによるデータ復元だけでは不十分です。「なぜ・どこから・どのように侵入されたのか」という根本原因を明らかにしなければ、再発のリスクを抱えたままとなります。その原因究明と対策立案に不可欠なのが、フォレンジック調査です。
フォレンジック調査でわかること
フォレンジック調査とは、システムに残されたログや操作履歴、通信痕跡を収集・解析し、攻撃の事実関係を客観的に解明する専門調査です。
>>【解説】フォレンジック調査とは?調査の流れや専門会社を紹介
- 侵入経路の特定:RDP、VPN脆弱性、Webアプリのゼロデイ、漏洩アカウント、マルウェア付きメールなど、Chaosに多い侵入手口を洗い出し、実際の侵入ルートを特定します。
- 被害範囲の把握:攻撃者がアクセスしたサーバー、PC、アカウントを洗い出し、影響が及んだ範囲を明確にします。
- 情報漏洩の全容解明:外部に流出した個人情報・技術資料・財務情報などの種類と量を確認します。
- 痕跡・マルウェアの除去: マルウェアが残留していないか、再感染リスクがないかを調査します。
- 法的証拠の保全:警察への通報や訴訟対応に備え、操作ログや通信履歴などの証拠データを正確な状態で保存します。
上記情報は、顧客や監督官庁への正確な報告や、再発防止策の策定に不可欠です。
>>おすすめのフォレンジック調査会社一覧|選び方・依頼の流れを解説
自力調査が招く「証拠汚染」のリスク
ランサムウェアの被害現場は、法的な観点から見れば「サイバー空間の事件現場」そのものです。自社のIT部門が善意で行う調査行為(再起動、ファイル操作、ウイルススキャンなど)が、操作ログやタイムスタンプを上書きし、証拠能力を失わせてしまうケースが後を絶ちません。
証拠が損なわれれば、警察の捜査や法的手続きが進められず、企業に不利な影響を与える可能性があります。
>>フォレンジック調査会社の選び方|費用・期間・おすすめ企業を解説
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調査対象 | PC、スマートフォン、サーバ、外付けHDD、USBメモリ、SDカード、タブレット など |
サービス | マルウェア・ランサムウェア感染調査、ハッキング・不正アクセス調査、サイバー攻撃被害調査、退職者調査、労働問題調査、社内不正調査、情報持出し調査、横領着服調査、パスワード解除、データ改ざん調査、データ復元、デジタル遺品、離婚問題・浮気調査 など |
特長 | ✓累積ご相談件数39,000件以上 ✓国際基準をクリアした厳重なセキュリティ体制(ISO認証、プライバシーマーク取得済) ✓警視庁からの捜査協力依頼・感謝状受領の実績多数 |
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