サイバーセキュリティベンダーのソフォス・リミテッド(本社・英オックスフォードシャー州)の日本法人、ソフォス株式会社(本社・東京都港区、足立達矢代表取締役)が都内で事業戦略の記者会見を開きました。ソフォスは今年2月にアメリカのサイバーセキュリティ企業、セキュアワークスの買収を完了、会見はソフォスが世界最大級のセキュリティ専門プロバイダーになったことを機に新たな戦略を広くアピールすることを目的に開かれたようです。
顧客は複雑性の課題に直面している
会見にはソフォスのアジア太平洋日本地区担当シニアバイスプレジデントのギャビン・ストラザーズ氏=写真㊧=とプロダクト・マネジメント担当バイスプレジデントのロブ・ハリソン氏=写真㊨=が来日して出席、ソフォスおよびセキュアワークスの製品サービスおよび販売戦略等について日本法人代表の足立氏=写真中央=を含む3氏がそれぞれ登壇して説明しました。ソフォスというとイギリスのサイバーセキュリティ企業ということですが、2020年にアメリカのプライベートエクイティ企業、Thoma Bravoが買収しており、グローバルの販売戦略の拠点はアメリカにあるようです。今回、アメリカのサイバーセキュリティ企業、セキュアワークスを買収したことでソフォスのグローバル戦略はさらに拍車がかかるものと予想されます。
来日したアジア太平洋日本地区担当シニアバイスプレジデントのギャビン・ストラザーズ氏はマカフィーに17年間勤め、マカフィーのアジア太平洋地区担当シニアバイスプレジデントおよびプレジデントを務めていたということです。記者会見ではソフォスの戦略としてバーチャルCISOやプラットフォーム化等が表明されました。顧客を取り巻いている状況として、刻々と進化している脅威動向やサイバーセキュリティ人材のひっ迫、セキュリティツールの乱立をあげ、複雑性がセキュリティ対策を阻んでいると指摘、顧客はサイバーレジリエンスのギャップに直面しているということです。ソフォスの戦略は顧客が直面しているこれらの課題を解決することに重点を置き、「規模の大小や利用可能な資源の多寡にかかわらず、あらゆる組織が卓越したサイバーセキュリティ対策実現に向けた明確な道筋を見いだせる世界を実現する」ことをビジョンに掲げているということです。
Taegisとの統合で業界最高レベルのXDR、MDRに
CISO(Chief Information Security)は企業や組織のサイバーセキュリティ対策を統括する責任者ですが、企業が利用しているセキュリティツールは45種類、セキュリティベンダーの数は10~15社にものぼっているという実態があり、現場はさまざまなデータや処理に追われてセキュリティ対策が追い付かない状況にあるようです。ソフォスではAIを活用したバーチャルCISOやプラットフォーム化を通じて、複雑な現場の作業を簡略化し、専門性の高い知見やスキルを必要とするケースでも対応が図れる、どのような企業や組織でも高度なサイバーセキュリティを備えることが可能なサービスを、AIを活用することで展開していくようです。
日本法人代表取締役の足立氏によると、国内においてソフォス次世代ソリューションの展開は加速しており、MDR(Managed Detection and Response)を筆頭にファイアウォール、エンドポイントも含め他社からの切り替えや新規受注が相次いでいるということです。昨年度の国内販売パートナー数は425社にのぼり、これらパートナー各社からの年間オーダー件数は5万4700件、今年度については5月22日時点で1万1500件の新規案件を受けているということです。今回、セキュアワークスを買収したことで、セキュアワークスのクラウドネイティブ型セキュリティプラットフォーム、Taegisとの統合により業界最高レベルのXDR(Extended Detection and Response)さらにMDRが実現されるとし、日本市場におけるソフォスのさらなる拡大が期待されるとしています。