「Zoom」に代わるビデオ会議ツール10選

テレワークが推奨される動きが加速度的に増加している昨今、オフィス外でいかにしてセキュアな環境でビデオ会議ができるかを注力する企業組織は少なくない状況となりました。
また、4月に入ったころから騒がれ始めた、ビデオ会議アプリ「zoom」に関するセキュリティの脆弱性問題も、個人情報や企業組織が保有する機密への重要性への注目が強くなったことで明らかになった、状況変化のわかりやすい例のひとつと言えます。
こちらの記事では、機能面はもちろんのことセキュリティ面の対応もしっかりとした信頼度の高いビデオ会議アプリケーションを10点ご紹介しております。
なお、現在セキュリティにおいて基本ともいえる通信時の標準規格“AES方式”導入によるデータ通信内容の暗号化と、サーバーアクセス時の暗号化方式である“SSL化”が導入されているサービスのみを紹介しておりますので、あえて各項目内で言及していないものもあります。

Teams

画像: https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/microsoft-teams/download-app

・概要

「Teams」Microsoftがサービス展開しているビデオ会議ツールで、世界各国の大企業だけでなく中小企業から教育、医療、政府機関など様々な分野で幅広く活用されております。
セキュリティ分野においての実績から裏打ちされる安心感が、多くの企業組織で選ばれる理由と言えるでしょう。

・特徴

Teamsは、ビジネスシーンで幅広く使われているOffice製品との互換性の高さが挙げられます。すでにOfficeソフトを活用している場合、Outlookとの連携で従業員間のスケジュール管理をはじめ、OneDrive上のファイルの共有化などが可能なため、テレワーク環境にも非常に有効です。
また、チャット内容はAIが監視しており、モラルの欠いたやり取りや行動を防ぐ機能も有しており、学校などで若年層の利用においても効果が期待できます。

・セキュリティ

多要素認証による認証情報保護がなされており、またリアルタイムで進行するオンライン会議などでのデータ伝送時および停止中も随時暗号化が施されます。
また、ユーザー個々で連絡の可否を切り替えや、社外ユーザーのコンテンツ使用におけるアクセス権限の制御も可能です。
これらの機能から、回線のなりすましや乗っ取り、不正傍受などを未然に防ぎ、外部からのデータの改ざんや削除といった事態への防止にも効果が期待できるでしょう。

skype for business

・概要

Teamsに引き続きMicrosoftサービスとなりますが、一般的な認知度でいえば「skype」の方が高いと言えるでしょう。
skype for businessは、skypeのビジネスシーン向けの有料版サービスとなっております。
オンラインコミュニケーションツールの代名詞とも言えるSkypeですが、2021年にはサービス提供が終了することがMicrosoftからも公表されており、Teamsはskypeの代用サービスに位置する形になりそうです。

・特徴

skype for businessは、最大で250ユーザー間でのビデオ会議が可能となっており、Officeソフトで使用されているファイルコンテンツも共有が可能となっております。
また、インスタンスメッセージという会議内容の録音および履歴の確認も可能となっており、さらに通常のSkypeと比較して画質音質も上がっていることから細かな使用感の違いも感じることができます。
skype for businessは、Microsoftの有料サービスOffice 365のひとつとして取り扱われており、使用されるユーザーアカウントはOffice 365の認証情報と同じものとなります。

・セキュリティ

skype for businessと、skypeとの最も大きな違いは、セキュリティ面が大きく向上している点が挙げられます。
認証時の多要素認証が導入されている点や、取り扱うコンテンツの管理権限の制御、リアルタイムでの通信データの暗号化による保護も機能しており、これらの昨日は通常版のSkypeには備わっておりません。
また、ビデオ会議開始時は、参加者それぞれで共有する特定のURLを経由して実施されるため、外部からの不正ななりすましを防止することにつながります。

Google Meet

画像: https://gsuite.google.co.jp/intl/ja/products/meet/

・概要

「Google Meet」は、Googleが提供するビデオ会議ツールで、2013年からサービス開始されたオンラインコミュニケーションツール“Google Hangouts”から派生した、ビデオ会議機能に重視した仕様となります。
同社の有料グループウェアである“G Suite”内に含まれており、“Google Hangouts”からチャット機能を重視して派生したもう一つのアプリケーションである“Google Chat”と併用することで業務面でも幅広く活用することが可能になります。
なお、Googleサービスに「Hangouts Meet」という類似アプリケーションがありますが、これはGoogle Meetの旧名称で、現在はGoogle公式ページでも“Google Meet”として表記されております。

・特徴

Google Hangoutsのビデオ会議機能をベースにより洗練されたサービスとなっており、ビデオ会議中にチャットの送受信、会議内容の録画、最大250人までの同時オンライン会議(G Suiteのプラン内容による)といった機能が追加されました。

・セキュリティ

ユーザーが実施する会議には個別に複雑な会議IDが振り分けられており、さらに外部の参加者は 15 分以上前に開始されたビデオ会議に参加できないといった制限が施されております。
これにより、外部からの不正アクセスや改ざん、IDのなりすましといった事態を未然に防ぐ効果が期待されます。
また、Google Meetはすべてブラウザ内で動作するため、バージョン確認やパッチ適用のための手間がかからない点も特徴です。(スマートフォンやタブレットは専用のアプリインストールが推奨されている)
リージョンによる利用地域の限定で遠方からの攻撃防止や、2段階認証の方法をユーザーが選択できるなど、セキュリティ面は幅広くサポートされております。

Zoho Meeting

画像: https://www.zoho.com/jp/meeting/features.html

・概要

Zoho Meetingは、ネットワークやサーバー監視、クラウドソフトウェアなどを手掛ける「ゾーホージャパン株式会社」が提供するグループウェアツール“Zoho Remotely”に含まれております。
Zoho Remotelyには、チャット、クラウドストレージ、文章作成、集計表などのそれぞれ機能を個別のアプリケーション群として使い分けることで、企業組織のオンライン環境における様々な状況に応じた業務サポートを可能としており、中でもZoho Meetingは、オンラインセミナーやビデオ会議に特化したソフトウェアとなります。

・特徴

Zoho Meetingは、オンラインセミナーやビデオ会議を実施する上で求められる機能を一通り備えており、音声録音や動画データの録画、画面共有の共有も可能となっております。
Webセミナーレポート機能により、セミナー実施時の参加者の状況や投票結果、Q&Aの分析と出力ができる機能が備わっております。
また、オンラインセミナーおよびビデオ会議への参加者をフィルタリングできるため、第三者からの妨害行為を防ぐことが期待できます。

・セキュリティ

昨今のセキュリティ基準仕様である“AES暗号化プロトコル”を採用、アメリカおよびEUのプライバシーシールドフレームワークにも準拠しているとして情報公開しており、オンライン機能を稼働中はリアルタイムでデータが暗号化されます。
また、既述しましたがオンライン会議への参加者管理も主催者側で制御可能なため、関係者以外の会議やセミナーへのアクセスおよび取り扱うデータへのアクセスはできない仕様となっております。

Webex Meetings

画像: https://www.webex.com/ja/video-conferencing.html

・概要

Webex Meetingsは、アメリカの「シスコシステムズ」が提供するビデオ会議サービスで、同社はネットワークからエンドポイントにかけて幅広くセキュリティ製品も取り扱っております。シスコシステムズのセキュリティ面でのノウハウや実績などからも、世界各国の企業組織で採用されており、ビデオ会議アプリケーションの選択肢としても有力候補の一つと言えます。

・特徴

ビデオ会議は、すべてオンライン上で稼働しており、参加者は特定のURLリンクにアクセスするだけで開始できるシンプルな仕組みとなっております。
PCをはじめスマートフォンやタブレット、WindowsでもMac、androidといったOSに左右されず使用でき、Officeソフト各種やGoogleアプリケーション(ドキュメントやスプレッドシート)、Salesforceなどとも互換性があるため幅広い用途に対応できます。
また、ファイル共有やチャット機能、会議内容の動画録画も可能で使用感もシンプルなつくりとなっていることから、あまりITまわりの扱いに慣れていないユーザーにも親しみやすい点もポイントは高いです。

・セキュリティ

Webex Meetingsにおいて保管されているユーザー情報は、すべてシスコシステムズの厳密な運用管理体制のもと管理されているとのことです。
また、ユーザー認証時のビデオ会議実施時に伝送されるすべてのデータが常に暗号化されてる仕様となっており、よりセキュリティ性を求める企業組織に応じた、暗号化オプションも用意されております。

SOBA mieruka

画像: http://mieruka.soba-project.com

・概要

SOBA mierukaは、少数人数で手軽にビデオ会議を実施できるツールです。
サービスの提供元は「株式会社SOBAプロジェクト」という、京都大学をはじめ東京大学、東京工業大学、早稲田大学、慶應義塾大学の各大学とオムロン株式会社とNTTコムウェア株式会社が連帯して発足した会社で、オンラインコミュニケーションツールの企画から運用保守を中心に手掛けております。

・特徴

SOBA mierukaは、会議の参加人数制限は5名までではあるものの、会議はすべてブラウザ上で行われるため、ソフトウェアのインストールやセキュリティパッチの定期的なチェックを必要としません。
“ホワイトボードエリア”という文章や画像ファイルの共有スペースや、議事録の自動生成、ライブ配信、デスクトップ画面の共有などの機能も備わっており、シンプルなレイアウトでの親しみやすさも特徴です。
なお、会議中のデータは随時保管されるわけではなく、必要なユーザーには別途バックアップサーバーによる対応サービスもオプションとして存在します。

・セキュリティ

SOBAプロジェクトは、SOBA mierukaのデータ伝送にP2P方式を採用しており、サーバーに負担をかけないかつ、リアルタイムでやり取りされるデータの情報セキュリティに注力しているとのことから、データ通信は、SSL通信の中でも最高の256ビットを施している点を強みとして公表しております。

TeleOffice

画像: https://www.ideep.com/about/detailfeatures/

・概要

TeleOfficeは、シャープ 株式会社の100%出資の連結子会社である「シャープマーケティングジャパン株式会社」が提供するサービスで、テレワークやビデオ会議において必要となるデータ共有機能をわかりやすく利用できる仕様となっております。

・特徴

TeleOfficeは、ビデオ会議機能も視覚的でわかりやすいですが、業務データの共有時により強みがあります。「発表者」「個人ノート」「コラボ」「独立」の4つのモード切替により、ドキュメント閲覧から同時編集、PCのデスクトップ画面の共有を可能として様々な業務場面において活躍するでしょう。
また、会議時に取り扱ったデータは、専用のクラウドサーバーに保管されるため、バックアップ面でも効果的です。

・セキュリティ

会議への参加者はすべて個々のIDが割り振られており、社外ユーザーが会議へ参加する際は主催者の承認がなければ不可能となっております。
伝送時のデータ内容は随時SSL/AES暗号化がなされており、加えてモバイル端末の紛失時の不正利用を防止する遠隔でのロック機能も備わっております。

fresh voice

画像: https://www.freshvoice.net

・概要

“fresh voice”は、エイネット株式会社が2003年からサービス開始したWeb会議システムで、日本国内において公共施設や自治体を含めた4,000社以上の法人への導入実績があることから、信頼面では業界随一と言えるかもしれません。

・特徴

fresh voiceは、パソコンはもちろんのこと、スマートフォンやタブレット各種にも対応しており、最大200拠点を同時接続が可能です。
また、クラウド型、サーバー型、レンタルとそれぞれタイプ別にサービス展開しており、企業組織の業務形態に柔軟に対応可能な点も特徴です。
機能として、web会議の録画録音をはじめ、ファイル共有と編集、デスクトップ画面共有も可能で、会議参加者のどこからアクセスしているかを把握できる地図機能も備わっております。

・セキュリティ

fresh voiceで使用された会議データはサーバー上での保管は一切されておりません。これは、サーバーに対して内外からの不正アクセスによる情報流出を防止することを目的にしております。
また、web会議実施の際、データ情報の常時暗号化はもちろん、参加者ごとにIPアドレスでのアクセス制御が可能で、会議ひとつひとつに開催されるたびに新たにIDが新規作成されるため、なりすましや不正に参加されるなどの被害を防止する効果が期待できます。

V-CUBE

画像: https://jp.vcube.com/service/meeting

・概要

“V-CUBE”は、株式会社ブイキューブが提供するオンラインコミュニケーションツールの総称で、同社はテレワークやオンライン環境でのコミュニケーション促進に注力している企業です。
V-CUBEのサービスには、主にクラウド型の“V-CUBE ミーティング”と、オンプレミス版の“V-CUBE Box”の2種が用意されております。

・特徴

まず、クラウド型の“V-CUBE ミーティング”は、最大50名まで同時にweb会議が実施可能で、会議自体はブラウザ上で稼働するため場所の制限がなく、別途アプリケーションのインストールやセキュリティパッチのチェックの手間が必要ありません。
一方のオンプレミス版の“V-CUBE Box”は、設置した場所で実施する必要があるため、主に拠点間での会議が主な用途となるでしょう。
機能面として、デスクトップ画面共有、他言語のリアルタイム翻訳機能、MicrosoftのOfficeアカウントとの連携が可能な点が特徴的です。

・セキュリティ

V-CUBE ミーティングでのweb会議では、参加者のIPアドレスによる指定が可能で、会議ごとにIDも割り振られるため、ブラウザ上でも必要なセキュリティ環境で実施できます。
V-CUBE Boxは、企業組織のVPNを利用して実施するため、セキュリティ面においてはV-CUBE ミーティングよりも安全です。

MORA Video Conference

画像: https://www.web-kaigi.com

・概要

“MORA Video Conference”は、ネットワークサービスの企画から開発、販売を手掛ける「株式会社テリロジーサービスウェア」が2005年から提供するビデオ会議アプリケーションで、伊藤忠ロジスティクスや三菱地所リテールマネジメント、東京海上日動ファシリティーズをはじめ、ユーザー数は5,000以上になるとのことです。

・特徴

MORA Video Conferenceは、機能面も多彩で最大180分までの会議内容の録画録音機能をはじめ、リアルタイムでのフリーハンドによる文字記述や図形作成機能、MicrosoftのOffice製品との互換性、会議への参加者や取り扱うファイルデータの送受信状況のモニタリングなどの機能が備わっております。

・セキュリティ

web会議使用時は、参加者ごとにログインとは別の会議ごとのパスワード設定や、入退室と通信内容のログが記録される基本的な機能が実装されております。
AES方式のセキュリティ標準規格による暗号化が成されたデータ通信と、使用されるサーバーにはSSL化が適用されているため、最低限度のセキュリティ環境は維持されていることになります。
また、企業組織において通信ポートがセキュリティで閉じられている場合が多い点を考慮し、別途VPNのような専用回線を使用したデータ伝送も可能です。

ビデオ会議サービス選びのポイントは

現在、ビデオ会議機能が備わったサービスは有料無料問わず、非常に多く出回っており、実際のところどのサービスがいいのか選ぶのが困難と言わざるを得ません。
これまでに紹介した10点のビデオ会議サービスは、どれも使用感とセキュリティをうまく共存したものではありますが、いかんせん使用用途によっては一長一短が出てきてしまいます。
やはりユーザーごとで何を重視してオンライン環境で業務進行やファイル共有をしたいかを明確にすることが必要です。
まずは、無料の使用期間などで実際に使用して、映像や音声の状況やファイル共有方法、自社の通信およびセキュリティ環境への弊害がないかなどをチェックしてみるのが確実と言えそうです。

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