警察庁、家庭用IoT機器悪用のレジデンシャルプロキシ経由で不正送金被害約29億円と公表

警察庁は、家庭用IoT機器を悪用した「レジデンシャルプロキシ」を経由するサイバー攻撃によりネットバンキングで不正送金が発生し、2024年に確認された被害額が約28.9億円(約29億円)に上ったと公表した。家庭内のスマートフォンやルーターなどの通信機器が犯罪の踏み台として利用される点が特徴として示された。

事案の詳細

警察庁は、家庭用IoT機器など家庭内のインターネット機器がサイバー攻撃に悪用され、ネットバンキングに係る不正送金につながった事案について、2024年の発生状況を公表した。2024年中に発生したインターネットバンキングの不正送金事犯のうち、少なくとも1,918件でレジデンシャルプロキシが利用されており、被害額は約28.9億円に達したとされている。

公表内容では、犯罪グループがスマートフォンやパソコン、家庭用ルーターなどのIoT機器を「踏み台」とし、発信元を一般家庭に偽装する形で不正送金を行っている点が焦点となっている。こうした踏み台となるIoT機器は「レジデンシャルプロキシ」と呼ばれ、利用者が気付かないうちに、自宅の機器やインターネット回線がサイバー攻撃に係る通信の中継に使われるケースが多いとされる。

2024年に起きたネットバンキングの不正送金被害全体のうち、レジデンシャルプロキシとして悪用された家庭用機器が関与したケースは件数ベースで約44%、被害額ベースで約33%を占めており、金銭的被害が大きい事案として位置付けられている。警察庁が事案を公表したことにより、家庭用IoT機器が攻撃に利用され得ること、そしてそれが実際にネットバンキングの不正送金という金銭被害に直結していることが、具体的な数値とともに示された形となる。

影響と背景

本件は、家庭内で使われるスマートフォン、ルーター、各種IoT機器などがサイバー攻撃に悪用され、不正送金の被害が発生しているという点で、影響が家庭の利用環境にも及ぶことを示している。利用者が通常のインターネット利用をしているつもりでも、機器の管理や設定が不十分な場合、知らないうちにサイバー攻撃や不正送金に係る通信の中継点として使われるおそれがある。

警察庁や総務省、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の分析によれば、国内にはレジデンシャルプロキシとして悪用される可能性がある家庭向け機器が少なくとも数万台以上存在し、2024年の不正送金被害のうち約28.9億円がこの手口によるものとされている。これにより、セキュリティ管理が不十分な家庭用インターネット機器が、サイバー空間における犯罪や攻撃の基盤となり得ることが浮き彫りとなった。

対策・今後の展望

警察庁が家庭用IoT機器の悪用を伴うレジデンシャルプロキシ経由のサイバー攻撃と、不正送金被害の具体的な件数・被害額を公表したことを踏まえ、家庭内の機器が攻撃に利用され得るという前提での注意が求められる。提供元が不明なソフトウェア・アプリ・無料VPNを安易に利用しないこと、通信帯域やデータ通信量を共有することで収益を得られるとうたうサービスを安易に利用しないこと、不審な動画ストリーミングデバイス等を購入・利用しないことなど、利用者側の基本的なセキュリティ対策が重要となる。

また、警察庁及び総務省はNICT等と連携し、レジデンシャルプロキシに係る不正なIoT機器のセキュリティ対策を推進するための検討を進め、「レジデンシャルプロキシ対策アライアンス」を設立して官民一体となった対策を進める方針を示している。公表された事実関係からは、被害がネットバンキングの不正送金として顕在化していること、被害額が約28.9億円(約29億円)に上ることが示されており、家庭用機器の利用環境と金銭被害が結び付くリスクが現実のものとして表れている。今後、官民連携による情報共有や技術的対策、利用者への注意喚起を通じて、こうしたサイバー攻撃の抑止と被害の軽減が図られる見通しである。

参照: 警察庁、家庭用IoT機器を悪用したサイバー攻撃 不正送金で29億円の被害

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