Akamai脅威レポート:金融サイバー攻撃の標的、アジア太平洋の金融機関が世界最大の標的に

Akamai(NASDAQ:AKAM)は、最新の脅威レポート「AIを活用したボットネットとAPI可視性のギャップ:金融サービス業界の攻撃トレンドに関するインターネットセキュリティの現状」を公開し、金融サービス業界を狙うサイバー攻撃の状況を整理した。その中で、アジア太平洋地域(APAC)の金融機関が、世界全体のアプリケーションレイヤー(レイヤー7)DDoS攻撃の最大の標的となっていることが示されている。

事案の詳細

本件は、Akamaiが公表した最新の脅威レポートに基づき、金融サービス業界に向けられるサイバー攻撃の標的や傾向をまとめたものだ。レポートでは、2025年に金融サービスに対する全世界のレイヤー7 DDoS攻撃のうち、アジア太平洋地域(APAC)が52%を占め、4年連続で最もアプリケーションレイヤー攻撃の標的となった地域であることが示されている。

発表は特定の単一インシデントを報告するものではなく、金融業界全体を取り巻く攻撃の状況を俯瞰することを目的とした「脅威レポート」として位置付けられている。焦点は、金融サービス業界に対するDDoS攻撃やWebアプリケーション/API攻撃の動向と、その標的の地域的な集中にある。

レポートによると、APAC地域ではデジタルバンキング、リアルタイム決済、およびAPI連携によるサービスが急増している一方、多くの組織でセキュリティ対策が十分に追いついておらず、アタックサーフェス(攻撃対象領域)の拡大を招いている。これにより、同地域に対する世界的なサイバー攻撃の割合が増加し、特にレイヤー7 DDoS攻撃の主要な標的となっているとされる。

さらに、APACの金融業界におけるレイヤー7 DDoS攻撃の標的分類として、銀行が44%、フィンテック企業が38%を占める一方、レイヤー3/4 DDoS攻撃では銀行が同地域の92%を占めるなど、銀行を中心とした金融機関が継続的かつ集中的に攻撃を受けている実態も明らかにされている。

影響と背景

銀行を含む金融機関は、決済・融資・資産運用など社会経済インフラを支える中核的な役割を担っており、サイバー攻撃の標的が特定地域や特定業種に集中しているという指摘は、当該地域の金融機関にとってリスク認識を高める重要な情報となる。APAC地域では、デジタルバンキングやリアルタイム決済基盤の急速な普及と、APIを活用した新サービスの拡大により利便性が高まる一方、適切なセキュリティガバナンスや監視体制の整備が追いつかず、攻撃者にとって魅力的なターゲットとなっている。

レポートで示されたように、2025年の金融サービス向けレイヤー7 DDoS攻撃のうち52%がAPACに集中し、4年連続で最大の標的地域となっている状況は、同地域の金融機関が世界的にも際立ったリスクにさらされていることを意味する。また、レイヤー3/4 DDoSにおいても銀行が圧倒的な比率を占めており、ネットワークレベルからアプリケーションレベルまで多層的な攻撃が継続していることがうかがえる。

この背景には、クラウドやモバイルアプリ、オープンAPIを通じた金融サービスの高度なデジタル化に加え、AIを活用したボットネットなど攻撃側の自動化・高度化が進んでいることがある。特に、ボットを用いた大規模なDDoS攻撃や、認証情報の不正利用、APIエンドポイントを狙った攻撃が組み合わされることで、サービス停止やパフォーマンス低下、顧客データの漏えいなどのリスクが高まっている。

対策・今後の展望

本発表は、金融サービス業界に対するサイバー攻撃の現状と傾向を定量的に示すことで、各金融機関が自組織のリスク評価や対策状況を見直すための材料を提供するものとなっている。特に、世界全体のレイヤー7 DDoS攻撃の過半数が集中しているとされるAPAC地域の金融機関にとっては、攻撃の多層化と継続性を前提にした対策が求められる。

具体的には、アプリケーションレイヤーを含むDDoS対策の強化、APIトラフィックの可視化と不審アクセスの検知・遮断、ボットトラフィックの識別・制御、ゼロトラストを意識したアクセス制御など、インフラからアプリケーションまで一貫したセキュリティアーキテクチャの整備が重要となる。また、リアルタイム決済やデジタルバンキング環境における監視体制の強化、脅威インテリジェンスの活用、攻撃発生時のインシデントレスポンス計画の整備・演習なども、レポートで示されたリスクに対応する上で有効な取り組みと考えられる。

金融機関にとっては、今回の脅威レポートで示されたデータとトレンドを踏まえ、自社サービスのデジタル化戦略とセキュリティ戦略を一体で検討し、継続的な監視や体制整備を進めていくことが、今後のレジリエンス向上に不可欠となる。特に、標的が集中しているとされるAPAC地域の銀行やフィンテック企業においては、自組織だけでなく、サプライチェーンやパートナーを含めたエコシステム全体での防御力強化が求められる。

参照: Akamai脅威レポート:金融サイバー攻撃の標的、アジア太平洋地域の銀行が世界最多に

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