テレワークのための助成金制度

急激に需要が高まるテレワーク導入に際し、すでに実施にかかる下地のできた企業組織ならまだしも、これから導入を行おうとする場合、様々な初期費用が発生してしまいます。
例えば、社員一人一人へパソコンの貸与にはじまり、社内での専用のセキュリティシステムの配備、個々での通信費、さらにはレンタルオフィスを検討するケースもあるでしょう。
こうした中、政府からテレワークを導入した中小企業や個人事業主を主な対象に、助成金による支援制度があることはあまり知られていないようです。
果たしてどのような助成金があり、条件があるのかといった概要部分を順次ご紹介していきます。
 

テレワークに関する助成金

テレワークに関する助成金制度には、都道府県で限定した制度が複数あります。
こちらでは、都道府県に限定した制度は省いて紹介しており、比較的対象となりやすいものを厳選してご紹介しております。
 

①働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)

“働き方改革推進支援助成金”は、厚生労働省から特定の条件に当てはまる事業主に対しテレワーク実施に伴う費用の一部を助成する制度です。
なお、2020年度の申請受付期間は、4月1日から12月1日となっており、政府側の予算状況によっては事前に打ち切られる場合もあるようです。

【 厚生労働省提示の事業者条件 】

業種資本または出資額常時雇用する労働者
小売業(飲食店含む)5,000万円以下50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業1億円以下 100人以下
その他業種3億円以下300人以下
働き方改革推進支援助成金の助成対象
・パソコンの購入費用(スマートフォンやタブレットは対象外)
・従業員(派遣先の自社所属の従業員も対象)への研修費用
・社会保険労務士などの外部専門家よるコンサルティング費用

助成金額は、主に『対象経費×補助率』という計算式に基づいて算出されます。

『対象経費』には、上記で紹介した助成対象にかかった旅費や借損料、会議費、雑役務費、印刷製本費、 備品費、設備設置費などの合計額となります。

『補助率』は、厚生省が定めている評価期間中のテレワーク実施状況の成果で判定されます。
助成制度交付日から計算して、1か月から最大6か月の間、週間平均1回以上の在宅もしくはサテライトオフィスでのテレワークを実施したかどうかが判定基準となり、その結果により1/2から最大で3/4までの補助率が決定されます。

なお、助成金額の上限があり、以下の表は厚生省がまとめている内訳となっておりますので参考にしていただければと思います。

成果目標の達成状況 達成未達成
補助率3/41/2
1人あたりの上限額40万20万
1企業当たりの上限額300万200万

②IT導入補助金

“IT導入補助金”の正式名は「サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金」で、独立行政法人中小企業基盤整備機構と経済産業省監督のもと「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」により業務運用されております。

主に中小企業と小規模事業者が対象とする制度で、飲食をはじめとする宿泊、卸小売、運送、医療関係、教育関係などの業種ごとで必要となるITソフトウェア導入経費の1/2が補助されるというものです。

なお、2020年度より、政府側で定められている条件の達成状態に応じて申請した事業者を「A類型」と「B類型」に区分する体制となっており、それぞれ補助金の上限と下限額が異なります。

A類型:30万から最大150万円まで支援
B類型:150万から450万円まで支援

例として、ソフトウェアの導入に800万円かかった場合、単純に1/2の400万が支給されるのではなく、A類型の場合は150万が支給され、B類型の場合は450万が支給される形となります。

補助金の支援対象は、企業が購入した“ソフトウェア”が対象となり、“ハードウェアは対象外”である点は注意が必要です。

公式HPの「IT導入補助金2020」によると、2020年度の登録申請は5月11日から8月中旬ごろ予定となっており、締め切り時期は変更される可能性もあるようです。

③少額減価償却資産の特例

“少額減価償却資産の特例”という、助成金という形式ではないですが、いわゆる節税対策としてテレワーク導入の際に適用できる制度があります。
これは、パソコンやソフトウェアの導入に発生した費用を「本来の減価償却期間に限らず即時全額損金として計上できる」ため、法人税を抑える効果があります。
さらに、購入する対象は新品でなく中古品でも可能です。

ただし少額減価償却資産の特例には以下の条件があるため、中小企業であればどこでも対象なるとは限りません。

・中小企業または個人事業主であること(資本金の額又は出資金の額が1億円以下で、従業員数が1,000人以下)
・年末調整は青色申告で行っていること
・一度のパソコンやソフトウェア導入費で30万円が上限額(最大300万まで)

④ふるさとテレワークと助成金

ふるさとテレワークは、都市部以外の地方においてコワーキングスペースやサテライトオフィスを利用した通常のテレワークよりも新しい働き方です。
郊外地方の労働環境と人材の確立、人の流入を目的としており、働き方改革の点からも政府は積極的に導入を推進しております。
地方でのテレワーク環境を整える際の導入コストは都市部で実施するよりも多いため(事務所やサテライトオフィス設立など)、総務省は導入企業組織に助成金による支援制度やセミナーなどを実施しております。
ただし、助成金支援を受ける際には、地方での継続的な業務や人材維持、明確な業務目的、IT環境の効率的な導入などさまざまな条件があり、また申請できる期間も比較的短い点に注意が必要です。(2020年度は4月16日~5月20日の期間)

・最大4,000万円まで
・支援対象(いずれもレンタルおよびリースも対象)
サテライトオフィス設立、パソコン、LAN配線、セキュリティソフトウェア、業務用ソフトウェア、オフィス什器

 

最後に

ITおよびネットワークの拡充により、今や場所の制限はなくどこでも仕事ができる環境が確立したことと、昨今の新型コロナウイルスによる外出自粛の影響で、各企業組織でテレワーク制度の導入が加速度的に増えてきております。
政府からのテレワーク推進により、助成金による支援体制の強化も進んでおり、より効率的かつ生産性の高い環境が整っていくことでしょう。
一方で、こうしたテレワークの拡大の動きに合わせて、オンライン会議ツールの採択問題や在宅ワーカーのデータ管理といった、個人レベルでのセキュリティ問題に、企業組織ごとにどう対処すべきかも、無視できない課題の一つと言えます。

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