フォレンジック調査の費用相場とは?期間や調査会社の選び方を解説

企業は社内不正やデータ漏えいなど、いわゆるセキュリティ侵害に遭遇した場合、「フォレンジック」というデジタル端末向けの調査技術を行い、原因と被害の範囲を正確に把握してインシデントに対して正しく対処しなければなりません。

しかし、セキュリティの知識が少ない人からすれば、フォレンジック調査にはなじみがなく、費用や相場面でつまずく方も多いことでしょう。

そこでこの記事では、以下について詳しく解説します。

  • 「フォレンジック調査の相場」
  • 「フォレンジック調査会社に依頼するメリット」
  • 「おすすめのフォレンジック調査業者」

フォレンジック調査に依頼を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

フォレンジック調査とは?

フォレンジックとは、パソコンや携帯、サーバー等のログや変更履歴を解析することで、不正行為の証拠を収集する調査手法です。

フォレンジック調査サービスの詳細については下記の記事でも詳しく解説しています。

▶おすすめの調査会社はこちら▶【フォレンジック調査会社一覧|選び方・依頼の流れを解説】

フォレンジック調査対象となるインシデント

フォレンジック調査対象となるインシデント例には以下のものがあります。

  • ハッキング・不正アクセス
  • マルウェア(ウイルス)感染
  • ランサムウェア感染
  • ビジネスメール詐欺
  • Web改ざん
  • 社員や退職者による情報持ち出し
  • 横領
  • 労働問題(職務怠慢・ハラスメント等)

フォレンジック調査にかかる費用

ここではフォレンジック調査を専門の調査会社に依頼した場合にかかる費用面を中心に、おもに下記の内容を紹介します。

  • フォレンジック調査会社の料金体系
  • フォレンジック調査にかかる費用の内訳

フォレンジック調査会社の料金体系

フォレンジック調査会社の料金体系は依頼する調査会社によって異なり、主に以下の2種類があります。

  • 調査内容ごとに料金が変動する
  • 調査内容に関わらず一律料金

料金が変動する場合、調査内容や台数が多いほど料金は高額になっていきますが、発生したインシデントに対して最適なサービスと料金を提案してもらえます。

例えば基本的なフォレンジック調査のログの解析やデータの復元よりも、高度な技術が要求されるマルウェア解析や不正アクセス調査は、より高額な費用がかかる傾向にあります。

一方で一律料金の場合、調査内容や端末台数に関係なく料金が決まっているため、費用を安く抑えられることがあります。一方でマニュアル化された調査内容しか受けられないことがあり、攻撃の痕跡を残さないサイバー攻撃などに対し、適切な調査を行えず、脆弱性を見逃す可能性があります。

フォレンジック調査にかかる費用の内訳

フォレンジック調査にかかる費用の内訳は大まかに分けて下記のとおりです。

  • 保存費
  • 技術費
  • 調査費

保全費

フォレンジック調査では、証拠となるデータや情報を収集し、インシデントの原因や経緯を特定します。ただし、デジタルデータは変動しやすく、簡単に変更・削除される可能性があります。

そこでフォレンジック調査が実際に開始される前に、証拠となるデータやデバイスのコピーを取得する作業が行われます。これは「証拠保全」と呼ばれ、フォレンジック調査のかなめとなります。

技術

技術費は、フォレンジック調査の実施に先立つ作業にかかる費用を指します。ここでは調査に使用するツールやソフトウェアの準備、専門家のサポートにかかる費用が含まれます。

技術料には以下の要素が含まれます。

  • ツールとソフトウェアの準備:調査のために必要なフォレンジックツールやデータ解析ソフトウェアのライセンス料や購入費用。
  • 専門家のサポート:フォレンジック調査の専門家のサポートにかかる費用。

調査費

調査費は、データの解析や復元、証拠の収集などにかかる費用です。フォレンジック調査の中核となる作業がここに含まれます。

調査費には以下のものがあります

  • データ解析と復元:被害データの解析や復元作業に費用がかかります。マルウェアの解析やログの調査、データの復元などが含まれます。
  • 専門家の作業:フォレンジック専門家が実施する調査作業やデータ分析にかかる時間に応じた費用および人件費。
  • 報告書の作成:調査結果をまとめた報告書の作成にかかる費用。

これらの要因に基づいて、フォレンジック調査の費用は大まかに内訳されます。

ただし、依頼する業者よって価格帯が変動することがあります。

フォレンジック料金が高額になる理由

フォレンジック調査の料金が数十万円から数百万、またはそれ以上に高額になる理由は、フォレンジックツール(設備)のコストや調査にかかる人件費、インシデントに対して必要な調査内容の多さなどが挙げられます。

ランサムウェア感染や不正アクセスなど、被害が大規模かつ、手口が最新の攻撃に対して適切なフォレンジック調査を提供するには、最新の解析ツールの導入や、大規模なデータ解析のための設備を維持する必要があります。

またフォレンジック調査の技術は、一般的な社内SE以上にIT機器やサイバーセキュリティ関連の専門的かつ高度な知識、技術、経験が求められるため、人件費にも影響します。

一方で企業によっては調査依頼の前段階の相談の時点で料金が発生するところや、極めて低額な料金を先に提示し、不必要なオプション料金をつけるところもあるため、フォレンジック調査を行う際は相見積もりを取ることをおすすめします。

フォレンジック調査にかかる期間

フォレンジック調査にかかる期間は、発生したインシデントに対する調査の内容や複雑さ、データ量によって異なります。

例えば、調査端末が1台で、調査の内容が少なければ1週間未満で調査を完了できる場合もありますが、ランサムウェア感染など企業の数百台の端末に対してフォレンジック調査が必要な場合や、情報漏えい、感染経路、不正通信の調査など調査内容が複数に及ぶ場合は1ヶ月以上、あるいは調査に半年近くかかる場合もあります。

フォレンジック調査の流れ

フォレンジック調査の流れは以下の順に行われます。

証拠保全作業

フォレンジック調査における証拠保全作業では、調査や法的手続きに活用できる形でデータの保全作業を行います。これは端末内部の証拠が破壊、改ざん、消去されないようにするために必要です。

具体的な作業内容は、ディスクイメージの取得、ログファイルの収集、メモリダンプ、ネットワークトラフィックのキャプチャなどを行い、これらのデータを用いて攻撃の特定や経路の追跡、被害範囲の把握を行います。

しかし、データの証拠保全作業は専門知識と高度なスキルを必要とし、一般的なデータのコピーとは作業内容が異なります。

加えてデジタルデータは改ざんが容易にできるため、収集方法を誤るとデータが破損したり、証拠能力が失われる可能性があります。

例えば、直接システムを操作してログを確認した場合、その時点でタイムスタンプが更新され、証拠が改ざんされたとみなされるリスクがあります。また、メモリダンプやディスクイメージの作成には専用ツールやコマンドの使用が必要で、誤った操作をするとデータが消去されたり、重要な情報が失われる恐れがあります。

データ復旧・復元

データ復旧・復元作業では、削除や破損、暗号化されたデータを専門的な方法で復元します。この時、ディスク構造の解析やファイルシステムの再構築、暗号の解析も行うことがあり、失われたデータの回収だけでなく、データが消失した原因の特定も行います。

この作業では市販のデータ復旧ソフトを使用しません。市販のデータ復旧ソフトは復旧中にディスクに書き込みを行ったり、証拠となるタイムスタンプを変更する可能性があり、データの証拠能力を損なうリスクがあります。また、一般向けに設計された市販ソフトでは、特殊なケースや高度な技術を要する復旧には対応できない場合があります。

データ解析作業

例えば社内不正調査など、削除されたメールや文書データなどの内容の取得が必要であれば、データ復旧後、更に解析作業を行うことがあります。
データ解析作業を行う主なデータは以下の通りです。

・HDDやSSDのディスクデータ
・システムやアプリケーションのログデータ
・メールの送受信履歴や添付ファイルなどのデータ
・ネットワークの通信履歴
・ブラウザ履歴やキャッシュ、Cookieのデータ
・モバイルデータ

調査報告書の作成

一連の解析作業が完了したら、調査会社によっては調査報告書に調査結果をまとめてもらえる場合があります。場合によっては調査報告書を警察や裁判所などの公的機関や保険会社などにそのまま提出できることもあります。

フォレンジック調査会社の選び方とは?

フォレンジック調査会社を選ぶ際は4つの重要なポイントを重視しましょう。

  • 相談実績が豊富か(実績を数値で示していること)
  • フォレンジック調査の技術力(エンジニアの技術力、十分な設備を保有していること)
  • 調査開始までの早さ(夜間休日でも相談を受け付けていること、本調査までの期間が短いこと)
  • セキュリティレベルの高さ(ISOを取得、IPAに登録されていること)

フォレンジック調査会社に依頼する上、これら3つの要素は非常に重要な選択になります。費用面でのみ選ぶのではなく、上記のポイントをおさえた業者に依頼するようにしましょう。

相談実績が豊富か

フォレンジック調査会社に依頼する際には「相談実績が豊富かどうか」を確認するようにしましょう。

実績の豊富な企業であれば、ホームページなどに数値で実績が記載されていることが多い傾向にあります。

またフォレンジック調査には、サイバー攻撃不正アクセスハッキングなどの調査や職務怠慢、退職者の情報漏洩などの調査、パスワード調査など多様な種類があります。相談実績が多い場合、多様なインシデントについてノウハウが確立されており、適切な調査を提案してもらえる可能性があります。

フォレンジック調査の技術力

フォレンジック調査業者の技術力は、会社の持つ調査設備、技術ノウハウ、エンジニアの熟練度などによって大きく変わります。大手企業、警察や官公庁からのフォレンジック調査の依頼を受けていることも技術力を判断する一つの要因になります。

フォレンジック調査会社では、最新のウイルスに対応する必要があるため、コンピューターやネットワーク、セキュリティについての知識を持ってることはもちろんのこと、他にもデジタルデータを法的効力のある証拠にするために法的手続きにおける知識を持っています。

しかし、一般の人が技術力の有無を判断することは非常に困難です。初めてフォレンジック調査を検討している人は「復旧実績があるのかどうか」を確認し、選択しましょう。

おすすめとして、大手企業者や官公庁からの依頼を受けている場合は、安心して依頼できる技術力を保有していると言えるでしょう。

調査開始までの早さ

端末内の証拠の中には、電源を落とすことで消えてしまうものもあります。このような揮発性の高いデータを証拠として取得するためには、フォレンジック調査開始までの時間が早いほど多くのデータを証拠として取得し、感染経路や情報漏えいの有無など正確な情報を取得しやすくなります。

一方でフォレンジック調査会社の中には夜間・休日は相談を受け付けていないところや、相談に時間がかかり、本格的な調査に入るまでに時間がかかるところもあります。

調査会社を選ぶ際は、24時間相談のところや、本格調査までの日程が早いところを選び、すぐに調査を開始してもらいましょう。

セキュリティレベルの高さ

セキュリティの高いフォレンジック調査会社に依頼することは非常に重要です。

情報セキュリティサービス基準サービスリスト」などの、これは経済産業省が策定した「情報セキュリティサービス基準」をクリアしたサービスだけが記載されるリストに載っていたり、「Pマーク」や「ISO27001」を取得している企業であれば、情報管理を万全の態勢で行っている証になります。

編集部おすすめ調査会社:デジタルデータフォレンジック(おすすめ度)

おすすめのフォレンジック調査専門会社をご紹介します。

こちらの業者は、対応件数が39,000件を超え、官公庁や大手企業との取引実績も多く信頼できます。調査項目も豊富なので、幅広い調査に対応していておすすめです。

まずは無料で相談・見積りまで行ってくれるようなので、不安な方は一度相談してみるとよいでしょう。

デジタルデータフォレンジック

費用★見積り無料 まずはご相談ください
調査対象PC、スマートフォン、サーバ、外付けHDD、USBメモリ、SDカード、タブレット など
サービスハッキング・不正アクセス調査、マルウェア・ランサムウェア感染調査、サイバー攻撃被害調査、退職者調査、労働問題調査、社内不正調査、情報持出し調査、横領着服調査、パスワード解除、データ改ざん調査、データ復元、デジタル遺品、離婚問題・浮気調査 など
特長✓累積ご相談件数39,000件以上
✓国際基準をクリアした厳重なセキュリティ体制(ISO認証、プライバシーマーク取得済)
警視庁からの捜査協力依頼・感謝状受領の実績多数

デジタルデータフォレンジックは、国内トップクラスの調査力を有しております、およそ3万9千件以上の豊富な実績があります。

規模が大きな調査会社でありながら、Wi-Fiの乗っ取り・ハッキング調査などの実績もあるようですし、24時間365日の相談体制、ニーズに合わせたプランのカスタマイズなど、サービスの利用しやすさも嬉しいポイントです。

ハッキング調査以外にも幅広い調査に対応しており、ケースごとに専門チームが調査対応を行っていることで、高品質な調査が期待できます。など、信頼がおける専門業者です。

ご相談・見積りを無料」行っているので、まずは電話かメールで問い合わせをしてみることをおすすめします。

フォレンジック調査会社に依頼する上、これら3つの要素は非常に重要な選択になります。費用面でのみ選ぶのではなく、上記のポイントをおさえた業者に依頼するようにしましょう。

まとめ

この記事では、以下について詳しく解説しました。

  • 「フォレンジック調査の相場」
  • 「フォレンジック調査会社に依頼するメリット」
  • 「おすすめのフォレンジック調査業者」

フォレンジック調査は、一般的に馴染みがなく、費用や相場といった具体的な情報ともなると、参考になる情報が乏しいのが現状です。もしフォレンジック調査に依頼を検討している方は、ぜひこの記事を参考にしてください。中には無料相談・見積もりを受け付けている企業もあるため、要件を調べたうえでまずは業者に相談してみることをおすすめします。

フォレンジック調査にかかる費用・相場とメリットを解説
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