パソコンのパスワードを忘れてログインできない場合でも、すぐに初期化したり、パスワード解除業者へ依頼したりする必要があるとは限りません。
Windowsでは、Microsoftアカウントのパスワード再設定、ローカルアカウントの秘密の質問、別の管理者アカウントなどを利用できる可能性があります。Macでも、ログイン画面に表示されるリセット機能やApple Account、FileVaultの復旧キーを使ってパスワードを再設定できる場合があります。
ただし、BitLockerやFileVaultでストレージが暗号化されている場合、必要な回復キーが見つからなければデータへアクセスできない可能性があります。また、業務用パソコン、故人のパソコン、内部不正や情報持ち出しが疑われるパソコンでは、初期化や解除ソフトの使用によって重要なデータや証拠が失われるおそれがあります。
本記事では、Windows・Macのパスワードを自力で再設定する正規の方法などを解説します。
デジタル遺品の整理方法や、おすすめの業者について詳しくはこちらで解説>
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パソコンのパスワード解除業者が対応する主なロック
パソコンのパスワード解除業者は、WindowsやMacのログインパスワード、BIOS・UEFIの起動パスワード、暗号化されたストレージなど、さまざまなロックに対応しています。
ただし、「ログインパスワードの再設定」と「暗号化されたデータの解析」は同じ作業ではありません。対応できる範囲やデータを残せる可能性は、パスワードの種類によって異なります。
| パスワード・ロックの種類 | 内容 |
|---|---|
| Microsoftアカウント | WindowsへのサインインやMicrosoftサービスに使用するアカウント |
| Windowsローカルアカウント | 特定のパソコン内だけで使用するユーザーアカウント |
| Windows Hello PIN | 特定の端末に設定されたサインイン用の暗証番号 |
| BitLocker回復キー | Windowsのストレージ暗号化を解除する48桁の回復キー |
| Macのログインパスワード | Macのユーザーアカウントへログインするためのパスワード |
| FileVault復旧キー | Macのストレージ暗号化を解除するための復旧キー |
| BIOS・UEFIパスワード | OSが起動する前の設定画面や起動処理を保護するパスワード |
MicrosoftアカウントやWindowsのローカルアカウント、Macのログインパスワードは、本人確認ができれば公式機能で再設定できる場合があります。
一方、BitLockerやFileVaultで暗号化されたストレージは、回復キーが見つからないとデータへアクセスできない可能性があります。Microsoftも、BitLocker回復キーが見つからない場合、端末のリセットが必要になり、その際はファイルが削除されると案内しています。
また、中古で購入したパソコンや譲り受けたパソコンについては、前所有者のデータへアクセスしようとせず、所有権を確認したうえで初期化や再設定を行ってください。
パスワード解除業者に依頼する際の注意点
パスワード解除の業者に依頼する際には、いくつかの注意が必要です。特に、業者の信頼性と、解除サービスに伴うリスクについて把握しておくことが重要です。
パソコンの所有権を確認する
多くの業者では、依頼者が正当な所有者である証明が求められます。これは不正利用を防ぐためです。家族や友人・恋人の端末の場合、本人の許可または委任状、捜査令状等が必要な場合があります。
闇雲に入力しない
パスワードを思い出せない場合は、候補を無制限に入力し続けないようにしましょう。パソコンの設定によっては、一定回数の入力失敗で一時的なアカウントロックが発生することがあります。
また、BitLockerの回復画面が表示されている場合は、通常のログインパスワードではなく48桁の回復キーが必要です。推測で入力を繰り返すのではなく、別の端末からMicrosoftアカウントや職場・学校のアカウントを確認してください。
Macの場合も、ログイン画面に表示されるパスワードヒントやリセットメッセージを確認し、公式の再設定手順へ進みます。
データや証拠が必要な場合は初期化しない
パソコンを初期化すると、ログインできる状態へ戻せる場合がありますが、端末内のファイル、アプリ、設定などが失われる可能性があります。
写真や業務データを残したい場合は、利用可能なバックアップがあるか確認してから判断してください。内部不正、情報持ち出し、不正アクセス、裁判などに関係するパソコンでは、初期化によって調査に必要な記録が消える可能性があります。
一方、必要なデータが残っておらず、公式のパスワード再設定方法も利用できない場合は、端末のリセットが選択肢になります。「絶対に初期化しない」のではなく、データ保全の必要性を確認して判断することが重要です。
市販のパスワード解除ソフトを使用しない
インターネット上や市販のパスワード解除ソフトも存在しますが、ソフトを使用することで、証拠となりうるデータが上書きされる可能性があります。
中にはマルウェアやスパイウェアが仕込まれた危険なツールも存在します。安易に利用すると個人情報の流出や端末の破損を招く恐れがあり、かえって状況を悪化させることがあります。まずMicrosoftやAppleが案内する正規の再設定方法を確認してください。正規の方法で解決できず、データを残す必要がある場合や証拠保全が必要な場合に、専門業者への相談を検討しましょう。
パソコンのパスワードを自力で解除する方法
こちらでは自力でパソコンを解除したい方に向けたパスワード解除方法について解説します。
パスワードは使用しているパソコンに応じて解除方法が異なります。以下に、代表的なパスワード解除の種類と目的を紹介します。
1. Microsoftアカウントのパスワードを忘れた場合(Windows 10/11)
WindowsPCのMicrosoftアカウントのパスワードを忘れた場合は以下の方法が有効です。
- ログイン画面で「パスワードを忘れた場合」をクリック
- Microsoftのアカウント復旧ページにアクセス
- 登録したメールアドレスや電話番号に送られるコードで本人確認する
- 新しいパスワードを設定し、ログインする
Microsoftアカウント以外のパスワードを忘れてしまうも、事前に「パスワードリセットディスク」を作成していた場合のみ、リセットディスクからパスワードを再設定できます。
- ログイン画面でパスワード入力欄下にある「パスワードのリセット」をクリック
事前に作成しておいたリセットディスクを挿入
- 画面の案内に従って新しいパスワードを設定
Apple IDを使ってパスワードをリセットする
MaCの場合、Apple IDとパソコンが連携済みであれば、Apple IDとパスワードで本人確認を実施して、成功すればログインすることができます。
- ログイン画面でパスワードを数回間違える
- 「Apple IDを使ってパスワードをリセット」を選択する
- Apple IDとパスワードで本人確認を行う
- 新しいMacのログインパスワードを設定する
リカバリーモードから解除する
リカバリーモードはApple IDの連携を行っていない場合に有効です。
- Macを再起動する
- 「Command+R」ボタンを押し、リカバリーモードで起動
- メニューから「ユーティリティ」>「ターミナル」を開く
- コマンド「resetpassword」を入力してエンターキーを押す
- パスワードリセットツールが開いたら、対象アカウントを選択し、新しいパスワードを設定する
情報持ち出しなどの社内不正や、サイバー攻撃によるハッキング、デジタル遺品のパスワード解除などすぐにパソコンのパスワードを解除しなければならない場合は、インシデント調査まで包括的に対応可能なパスワード解除業者に相談することをおすすめします。
専門家にパスワード解除を相談する
専門家によるパソコンのパスワード解除にはフォレンジックと呼ばれる技術が使用されることがあります。
パスワード解除が不正アクセスや内部不正に関係する可能性がある場合には、フォレンジック調査が有効です。フォレンジック調査を通じて、パソコンがハッキングされていないか、不正なデータアクセスが行われていないかを検証できます。
フォレンジック調査の概要
フォレンジック調査とは、パソコンや電子端末のデータ保全、収集、分析を通じて不正アクセスやデータ漏洩の証拠を収集するプロセスです。以下のようなケースでフォレンジック調査が有効です。
- ハッキングの疑いがある場合
- 内部不正や情報漏洩の可能性がある場合
- 法的な証拠を必要とする場合
フォレンジック調査は、専門的な技術とツールが必要であり、個人や一般的な業者では十分な証拠を収集できない可能性があります。パスワードが故意に変更された場合もパスワード解除と一緒に調査を実施してもらえることもあるため、専門の調査会社への相談を推奨します。
パソコンのパスワード解除はどこに依頼する?
パソコンのパスワード解除を依頼できる業者は、一般的なパソコン修理業者、デジタル遺品業者、フォレンジック調査会社に分けられます。
自分のパソコンのログインパスワードを忘れた場合
自分が使用しているWindowsやMacのログインパスワードを忘れ、公式の再設定方法でも解決できない場合は、パソコン修理・サポート業者へ相談します。
店舗への持ち込み、宅配、出張など、対応方法は業者によって異なります。データを残したまま対応できるか、作業前に確認してください。
故人のパソコンを確認したい場合
亡くなった家族のパソコンについては、デジタル遺品に対応した業者へ相談します。
通常のパソコン修理とは異なり、依頼者の本人確認書類に加えて、故人との関係を確認できる戸籍謄本などを求められる場合があります。パスワード解除だけでなく、写真や文書の取り出し、デジタル資産の確認などに対応しているか確認しましょう。
法人PCや内部不正の疑いがある場合
会社のパソコン、情報持ち出し、横領、退職者による不正、ハッキングなどが関係する場合は、一般的な修理業者ではなく、社内の情報システム部門やフォレンジック調査会社へ相談します。
このようなケースでは、単にログインできる状態へ戻すだけでなく、データやログを保全し、いつ、誰が、どの情報へアクセスしたのかを調べる必要があります。
自分で初期化、OS更新、解除ソフトの実行などを行うと、調査に必要な記録が変更される可能性があるため、操作を増やさず相談してください。
パソコンのパスワード解除にかかる料金の目安
パスワード解除の料金は、ログインパスワードの再設定、データの取り出し、暗号化された端末の解析など、作業内容によって異なります。
| 作業内容 | 料金の掲載例 |
|---|---|
| 一般的なパソコンのパスワード解除 | 16,500円~ |
| ログインできないパソコンからのデータ取り出し | 14,300~27,500円程度 |
| 故人のパソコンのパスワード解除 | 22,000円程度 |
| BitLocker・FileVault・BIOSなどの高度な解析 | 個別見積もり |
| 法人向けフォレンジック調査 | 個別見積もり |
料金表に記載された作業料金のほかに、基本料金、診断料金、出張料金、部品代、データ保存用メディア代などが加算される場合があります。
依頼前に、次の項目を確認してください。
- 診断だけで料金が発生するか
- 解除できなかった場合にも料金がかかるか
- 作業前に総額の見積もりが提示されるか
- データが消去される可能性があるか
- 持ち込み、宅配、出張で料金が変わるか
- キャンセル時に料金が発生するか
「完全見積もり制」だから危険とは限りません。高度な暗号化や端末故障を伴う場合は、診断しなければ作業内容を判断できないためです。料金表の有無だけでなく、作業前に費用とリスクの説明があるかを確認しましょう。
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パソコンのパスワード解除不能状態を予防する方法
パソコンのパスワードがわからなくなる場合に備える方法もあります。以下のような手段を事前に講じておくと、パスワード解除に困ったときに役立ちます。
1. パスワードリセットディスクの作成
Windowsでは、事前にパスワードリセットディスクを作成しておくことで、パスワードを忘れても自力でリセット可能です。
- 「コントロールパネル」を開き、「ユーザーアカウント」に移動します。
- 「パスワードリセットディスクの作成」を選択し、指示に従ってリセットディスクを作成します。
- USBメモリなどに保存し、安全な場所に保管します。
2 パスワードメモに記録しておく
古典的な方法ですが、「パスワードメモに記録しておく」方法は非常に有効です。特に、定期的に変更したり、複雑な文字列を使用している場合、人の記憶だけに頼るのはリスクが高くなります。
パスワードメモとは、パスワードを紙やノート、またはデジタルメモアプリなどに記録しておく方法です。ただし、のぞき見されると、第三者に不正アクセスされかねないため、セキュリティを意識しましょう。代わりに、暗号化アプリやパスワード管理ソフト(例:1PasswordやBitwarden)を使うと、より安全に管理できます。
特に業務用PCなど、解除できないと大きな支障が出るケースでは、記録の仕方に工夫を凝らすことが、リスク回避につながります。
パソコンのパスワードを初期化せずに解除する方法について(Windows/Mac)>
まとめ
パソコンのパスワード解除を行う場合、 闇雲に入力するのではなく、まずはパソコンのパスワードが書かれたメモなどがないか探しましょう。次にパスワードが解除できない場合、Apple IDなどを利用して解除します。
どうしても解除できない場合や、社内不正の証拠隠滅や不正アクセスなどが原因でパスワードを変更された疑いがある場合は、パソコンのパスワード解除業者に相談して解除してもらいましょう。このような業者の中には「フォレンジック調査」と呼ばれる電子端末内のデータの解析作業も一緒に行えるところもあります。
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