コンピュータフォレンジックとは、不正アクセスや情報漏えい、社内不正などのサイバー事件に対して、コンピュータ上の証拠を科学的に調査・分析する技術です。特に、企業内でのトラブルやサイバー攻撃の被害を受けた際、法的証拠として提出可能なデータを収集・解析できる点で重要な手法です。
この記事では、初心者にもわかりやすく「コンピュータフォレンジックの基礎知識」から「実際の調査手順」「よくある失敗」「調査会社の選び方」まで徹底解説します。
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コンピュータフォレンジックとは
ここでは、コンピュータフォレンジックの定義とその目的、活用される場面について具体的に解説します。
- コンピュータフォレンジックの定義と目的
- 調査対象となる機器やデータ
- フォレンジックの主な利用シーン
- 一般的な調査の流れ
- 注意点とリスク
- 社内での自己対応が危険な理由
コンピュータフォレンジックの定義と目的
コンピュータフォレンジック(Computer Forensics)とは、パソコンやサーバー、スマートフォン、USBメモリなどのデジタル機器から、法的証拠として利用できる形でデータを保全・解析する技術です。目的は以下の通りです。
- 削除されたデータの復元
- アクセス履歴や操作ログの解析
- マルウェア感染や外部侵入の証拠特定
- 裁判・警察捜査への証拠提出
調査対象となる機器やデータ
コンピュータフォレンジックでは、以下のような機器やデータが調査対象になります。
- パソコン(Windows/Mac)
- スマートフォン・タブレット
- USBメモリ、SDカード、外付けHDD
- クラウドストレージ(Google Drive、OneDriveなど)
- メールサーバーや社内ネットワーク機器
例えば、社員のパソコンに保存されていたExcelファイルの改ざん履歴や、削除された社内資料の復元、メールの送受信ログなどが調査対象になります。
フォレンジックの主な利用シーン
フォレンジックは、企業・個人を問わず、さまざまなトラブルの調査で活用されます。以下はよくある利用シーンです。
- 不正アクセスの証拠調査:社外からの不正侵入やウイルス感染の発見
- 内部不正の検出:従業員による情報漏えいや不正なデータ持ち出し
- データ消去の復元:証拠隠滅のために削除されたファイルの復旧
- 訴訟対応:裁判で提出するための証拠保全
一般的な調査の流れ
実際のフォレンジック調査は、以下のようなステップで行われます。
- 証拠保全:専用機器で対象端末のデータを改ざんせずにコピー(イメージ化)
- データ解析:削除ファイルの復元やログ解析、不審ファイルの検出
- 報告書作成:調査結果をレポートにまとめ、証拠として提出可能な形に整備
注意点とリスク
フォレンジック調査を行う上では、以下の注意点が重要です。
- 証拠性の維持:調査時に対象データを改ざんしてはいけない
- 適切な手順の順守:誤った操作で証拠能力が失われる可能性がある
- プライバシー・社内倫理への配慮:従業員の私的ファイルなどを調査する場合、適切な法的手続きを踏む必要がある
社内での自己対応が危険な理由
フォレンジック調査を社内で完結させることは、証拠性の観点から非常にリスクが高い行為です。例えば、操作ログを確認する際に誤ってアクセスすると、ログそのものが書き換えられてしまう可能性があります。
特に以下のようなケースでは、必ず外部のフォレンジック専門会社に相談すべきです。
- ランサムウェア感染
- 社内データの持ち出し疑惑
- 横領、内部不正
- 法的手続きや刑事告訴を検討している場合
証拠の信頼性と、訴訟リスクの最小化のために、専門家の関与が必須です。
コンピュータフォレンジックでの対処法と実行手順
不正アクセスや情報漏えい、マルウェア感染が疑われる状況では、早急な対応が求められます。以下では、実際に行うべき調査手順と、有効なツール・対処法について解説します。
- イベントログを確認して異常を特定する
- マルウェアの有無をスキャンして隔離
- 削除されたファイルを復元する
- USB・外部デバイスの接続履歴を調べる
- クラウド上の操作履歴を調査する
- フォレンジック専門会社に依頼する
イベントログを確認して異常を特定する
まず、パソコン上で不審な挙動があった日時や内容を特定するため、Windowsの「イベントビューアー」を使用してログを確認します。
- 「スタートメニュー」を開いて「イベントビューアー」と入力し、起動します。
- 左メニューから「Windowsログ」>「セキュリティ」または「システム」を選びます。
- ログ一覧から、以下のような不審なイベントを探します。
- 複数回のログイン失敗
- 深夜や休日のアクセス
- 新しいユーザーアカウントの作成
- 該当ログを右クリックして「イベントの詳細」を確認します。
不審な操作の痕跡がある場合、その日時とユーザーを記録しておきましょう。
マルウェアの有無をスキャンして隔離
外部からの侵入やスパイウェアの可能性がある場合、マルウェアスキャンを即時実行します。
- 「スタートメニュー」>「設定」>「プライバシーとセキュリティ」>「Windows セキュリティ」を開きます。
- 「ウイルスと脅威の防止」をクリックし、「クイックスキャン」を実行します。
- 異常が見つかった場合、「検疫」または「削除」を選択して対処します。
フルスキャンやカスタムスキャンも合わせて実施することで、隠れた脅威も検出可能です。
削除されたファイルを復元する
証拠隠滅のために削除された可能性のあるファイルは、専用ツールで復元可能です。
おすすめ:Recuva(無料)またはEaseUS Data Recovery Wizard(有料)
- 公式サイトから復元ツールをダウンロードし、別ドライブにインストールします。
- ツールを起動し、復元したいドライブを選択します。
- 「スキャン」をクリックし、表示された削除ファイル一覧から必要なデータを選び「復元」します。
復元先は、調査対象とは別の外付けドライブを推奨します。
USB・外部デバイスの接続履歴を調べる
USB経由での情報持ち出しを疑う場合、Windowsのレジストリやログから痕跡を調べられます。
- 「Windowsキー + R」を押し、「regedit」と入力してレジストリエディタを開きます。
- 以下のキーに移動: HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Enum\USBSTOR
- ここに表示された項目が、接続されたUSBデバイスの一覧です。最終接続日時はログから別途確認可能です。
また、「管理ツール」>「イベントビューアー」でも、USB接続のイベントが記録されていることがあります。
クラウド上の操作履歴を調査する
Google DriveやOneDrive、Dropboxなどを経由したファイル持ち出しや不正共有を確認するには、各サービスのアクティビティログをチェックします。
- Google Driveの場合、「drive.google.com」へアクセスし、右上の歯車アイコンから「アクティビティ」をクリック。
- 「詳細」タブでファイルごとの編集履歴、共有履歴を確認できます。
- OneDriveの場合、Microsoftアカウントで「onedrive.live.com」にログインし、「最近のアクティビティ」から確認します。
共有リンクの生成や外部共有が行われていた場合、即時停止・ログの保存を行いましょう。
フォレンジック専門会社に依頼する
自力での対応には限界があります。特に次のようなケースでは、必ずフォレンジック専門会社への相談を検討してください。
- 証拠性を保ったまま調査を進めたい場合
- 削除されたファイルの改ざんや隠蔽を追跡したい場合
- 社内不正、横領、訴訟対応が前提の調査
- 被害の影響範囲や手口の特定を正確に行いたい場合
コンピュータフォレンジック調査は、技術力だけでなく法的な対応力も重要です。
ランサムウェア、ハッキング、内部不正が疑われる場合は、社内対応だけで解決を図るのは非常にリスクが高く、専門家の支援を受けることが推奨されます。
コンピュータフォレンジックの活用ケース
企業や個人を取り巻くデジタルリスクは年々複雑化しています。そんななか、実際の事案で「コンピュータフォレンジック」がどのように役立ったのかを知ることで、その重要性や効果を具体的にイメージできるはずです。以下では、実際にコンピュータフォレンジックが活用できるケースをご紹介します。
活用ケース①
他人のPCがマルウェアに感染し、遠隔操作された結果、ネット掲示板などに犯行予告が書き込まれるといったケースが過去に発生している。こうした事例では、無関係な人物が誤って容疑をかけられることもある。
フォレンジック調査によって、操作ログや通信履歴から遠隔操作の痕跡を特定し、誤認を防いだり、真の加害者の特定に繋がったケースもある。
活用ケース②
退職直前の社員が営業データをUSBメモリにコピーされていたといったケースが過去に発生している。こうした事例では、通常のシステムログだけでは不十分なことが多く、後から事実を立証するのがむずかしい場合もある。
フォレンジック調査によって、USB接続ログ、コピーされたファイルの時刻、アクセス履歴が証拠として収集され、法廷でも有効な証拠として使用されたケースもある。
活用ケース③
中小企業がランサムウェア攻撃を受け、業務システムが一時停止するといったケースが過去に発生している。こうした事例では、原因や感染の広がりがわからず、初動対応が遅れて被害が拡大することもある。
フォレンジック調査によって、メールの添付ファイルが感染源であったことや、社内ネットワークを通じて複数の端末に二次感染していたことが明らかになり、どの端末がいつ感染したかを特定。これにより、社内ルールを見直して再発防止に活用されたケースもある。
コンピュータフォレンジックは、「何が起きたか」を明らかにするだけでなく、「もう繰り返さないための手立て」を見つけるプロセスでもあります。
不正や被害を未然に防ぐためにも、早めの相談が大きな一歩になります。
コンピュータフォレンジックの調査会社の選び方
ここでは、実際にコンピュータフォレンジックの調査を依頼する際の選び方や法的効力について解説します。
- フォレンジック調査会社の選び方
- 依頼時の注意点と準備事項
- 法的効力と訴訟対応での有用性
フォレンジック調査会社の選び方
調査を依頼する場合、以下のポイントを踏まえて会社を選定しましょう。
- 証拠保全の実績があるか:裁判・警察提出の経験が豊富な業者を選ぶ
- ISO/IEC 27001などの情報セキュリティ認証を取得しているか
- 初動対応が早く、全国対応できるか
- 専門レポートを提出してくれるか(調査報告書のフォーマットなど)
見積もりだけでなく、事前相談に応じてくれる会社が望ましいです。
依頼時の注意点と準備事項
依頼前には以下を準備しておくと、調査がスムーズに進みます。
- 調査対象の機器を電源オフにして保全(操作禁止)
- 可能であればログインパスワードなどを控えておく
- 被害の内容・発生日時・関係者を時系列で整理
- 社内の情報セキュリティ担当や法務と連携
誤って端末を操作したり、ファイルを開くと証拠が改ざんされる危険があります。
法的効力と訴訟対応での有用性
コンピュータフォレンジックで得られた証拠は、刑事事件・民事訴訟の証拠として高い効力を持ちます。
- 改ざん防止の保全措置(Write Blockerなどを用いたデータ取得)
- 第三者証明(調査会社の署名付き報告書)
- アクセスログ、ファイル操作記録などの正当性
法廷でも認められる調査を実施するためには、やはり専門家への依頼が不可欠です。
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調査対象 | PC、スマートフォン、サーバ、外付けHDD、USBメモリ、SDカード、タブレット など |
サービス | ハッキング・不正アクセス調査、マルウェア・ランサムウェア感染調査、サイバー攻撃被害調査、退職者調査、労働問題調査、社内不正調査、情報持出し調査、横領着服調査、パスワード解除、データ改ざん調査、データ復元、デジタル遺品、離婚問題・浮気調査 など |
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フォレンジック調査会社を利用するときの注意点
フォレンジック調査会社を利用するときの注意点は次のとおりです。
- 不用意に操作しない
- 興信所や探偵は基本的に専門外
- サポート詐欺に要注意
- 市販の調査ソフトを使用しない
不用意に操作しない
サイバーやリーガルインシデント被害を受けた場合、不用意にシステムや機器を操作すると、証拠が消失したり、状況が悪化したりする可能性があります。そのため、フォレンジック調査会社に依頼する前に、不用意な操作は避けましょう。
興信所や探偵は基本的に専門外
フォレンジック調査は、専門的な知識や技術が必要となる調査です。そのため、主に浮気調査や家出人捜索などの調査を行っている興信所や探偵に依頼しても、十分な調査が期待できない可能性があります。
市販の調査ソフトを使用しない
市販のフォレンジック調査ソフトは多数存在しますが、そのどれもが万能なものではなく、フォレンジック調査サービスと比較して調査の正確性が劣ります。セキュリティ対策やログの監視ツールとして利用する分には問題ないですが、インシデント発生時の調査で利用する時は目的に合わせて利用すべきか判断が必要になります。
調査結果を報告資料の作成や裁判などでの証拠として活用したい場合は、フォレンジック調査ツールで抽出した結果を使用できないため、証拠保全が可能な調査会社に相談して調査する
フォレンジックで得た教訓をセキュリティ対策に活かす方法
コンピュータフォレンジックで得た情報は、単なる問題解決だけでなく、将来のセキュリティ向上に繋がる重要な資源です。ここでは、社内ルールの整備や再発防止策、初動マニュアルの作成、FAQについて解説します。
- 社内セキュリティルールの見直し
- 初動対応フローの作成と共有
- ログ・証拠の保全体制の整備
- VPNの正しい導入と運用法
- フォレンジックに関するよくある質問
- この記事のまとめと今すぐ取るべき行動
社内セキュリティルールの見直し
フォレンジック調査の結果を踏まえ、次のような社内ルールの整備を行いましょう。
- USBメモリなどの外部メディア利用の制限
- 機密データの保存・共有ポリシーの策定
- クラウドサービス利用時のアクセス制御
- 定期的なセキュリティ教育と訓練
一度被害に遭ったからこそ得られた教訓を活かすことが、次の防御線になります。
初動対応フローの作成と共有
不正アクセスや情報漏えいが疑われる場合、誰が何をすべきかを即座に判断できるよう、「初動対応フロー」をマニュアル化しておくことが非常に重要です。
- 異常を検知した際の「社内通報ルート」を明記
- 初動として行うべき操作(例:機器の電源を切る)を定義
- 情報システム部門・管理者・法務との連携方法を記載
- 外部への報告(警察・調査会社)フローを作成
これらをポスター形式やイントラ内ページとして可視化し、社員に周知しましょう。
ログ・証拠の保全体制の整備
日常的に「証拠を残せる仕組み」を導入しておくと、いざというとき迅速な対応が可能になります。
- 操作ログの自動保存(SIEMなど)
- USBや外部アクセスの監視ソフト
- NASやサーバーのアクセス履歴記録
- 社内チャットやメールの監査ログ
監視体制の強化は、社員の抑止効果にもなり、内部不正の防止につながります。
VPNの正しい導入と運用法
テレワークや出張などで外部から社内ネットワークへアクセスする際には、VPN(仮想プライベートネットワーク)を導入することが必須です。
しかし、次の点に注意が必要です。
- 通信内容が暗号化されているか(SSL-VPN推奨)
- アクセスログが取得・保存されているか
- 定期的にVPNアカウントの棚卸しを行う
- 多要素認証(MFA)との併用
VPNの運用を誤ると逆に脆弱性にもなりかねないので注意が必要です。
フォレンジックに関するよくある質問
ここでは、読者の方々からよく寄せられる質問に回答します。
Q1. 削除されたファイルはすべて復元できるのですか?
A. 完全ではありません。削除後にデータが上書きされている場合、復元が困難になるケースもあります。早期対応が重要です。
Q2. 調査費用はどれくらいかかりますか?
A. 案件の規模によって異なりますが、数十万円〜数百万円が相場です。事前見積もりや無料相談を行っている会社もあります。
Q3. 調査結果は裁判でも使えますか?
A. はい。調査会社の正規レポートは、刑事・民事の法廷で証拠採用されることが多いです。
Q4. スマホの調査もできますか?
A. 可能です。iPhoneやAndroidでも、SMS履歴・通話記録・アプリ使用履歴の調査が可能です(※機種により制限あり)。
この記事のまとめと今すぐ取るべき行動
本記事では、コンピュータフォレンジックの基本から、実際の対処方法、調査会社の選び方、再発防止策まで解説しました。もし今、少しでも下記に心当たりがあるなら、ただちに調査・証拠保全を検討すべきタイミングです。
- 知らない時間帯に誰かが社内PCを使っていた
- ファイルの改ざん・削除が起きていた
- 社外への情報流出の疑いがある
- ウイルス感染が発覚した
上記に該当する場合は、内部で完結しようとせず、証拠性の維持を最優先に外部のフォレンジック専門会社にご相談ください。
被害を最小限に抑え、再発を防ぐ最善の行動が、ここから始まります。
■警視庁からの捜査協力依頼実績が多数あり
■法人/個人問わず幅広く対応
■ 国際標準規格「ISO27001」取得
■ 14年連続国内売上No.1のデータ復旧サービス
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ハッキング不正アクセス調査、マルウェア・ランサムウェア感染調査、退職者調査、労働問題調査、社内不正調査、情報持出し調査、横領着服調査、データ改ざん調査など