メモリフォレンジックの目的と使い方をわかりやすく解説

「マルウェアの痕跡が見つからない」「不正アクセスの証拠が残っていない」「ログには何も出ていない」——そんなとき、最後の砦となるのがメモリフォレンジックです。

本記事では、メモリフォレンジックの基礎から具体的な調査手順、ツールの使い方、企業が対応すべき注意点までを網羅的に解説します。初心者にも分かるステップバイステップ形式で、インシデント発生時に“今何をすべきか”がすぐに理解できます。

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メモリフォレンジックとは何か?

メモリフォレンジックとは、コンピュータのRAM(揮発性メモリ)を取得・解析することで、不正アクセスやマルウェアの痕跡を可視化する調査手法です。

特に近年のマルウェアは、ディスクに痕跡を残さずにメモリ上だけで活動するケースが増加しており、HDDやログファイルからは検出できません。つまり、「メモリを見なければ見逃してしまう脅威」が確実に存在するのです。

メモリフォレンジックは、そうした“痕跡を残さない攻撃”の可視化と証拠保全に不可欠な技術として、セキュリティ対応の最前線で活用されています。

メモリフォレンジックで得られる情報

メモリ上には、次のような重要情報が記録されます。

  • 起動中のプロセスやサービスの一覧
  • ネットワーク通信の接続状況とIPアドレス
  • ログイン中のユーザー情報と資格情報
  • 開いているファイルや一時保存中の文書
  • 復号済みの暗号鍵・パスワード
  • 検出されにくいファイルレスマルウェアの実体

これらの情報はPCの電源を切った瞬間に失われるため、調査の初動対応として最優先で“メモリの取得”が必要です。

メモリフォレンジックが必要になる6つのケース

次のような状況では、ログ解析やディスク調査だけでは不十分です。メモリフォレンジックの実施を強く推奨します。

メモリフォレンジックの対処法と具体的手順

実際にメモリフォレンジックを行うには、適切なツールと手順が不可欠です。以下に、初心者でも取り組めるようステップバイステップで解説します。

FTK Imagerでメモリダンプを取得する

  1. 別のPCでFTK Imager LiteをUSBメモリにインストールしておきます。
  2. 対象のPCにUSBを挿し、FTK Imagerを起動します(インストール不要)。
  3. メニューから「File」→「Capture Memory」を選択し、保存先を外付けドライブに設定します。

取得データを安全に保全する

  1. ダンプファイルを読み取り専用ディスクにコピーします。
  2. ハッシュ値(MD5/SHA-256)を計算して記録します。
  3. 保管場所とタイムスタンプ、作業者情報を記録しておきます。

Volatilityでプロセス・通信履歴を解析する

  1. PythonがインストールされたPCにVolatilityを導入します。
  2. ターミナルで「volatility -f メモリイメージファイル –profile=OSプロファイル コマンド」を実行します。
  3. 例:「pslist」コマンドで実行中プロセス、「netscan」で通信履歴を表示できます。

不正なプロセス・マルウェアを特定する

  • 親プロセスが不自然(explorer.exeからcmd.exeなど)
  • 同名プロセスが複数存在している
  • 通信先が国外のIPアドレスで、知らないポートを使っている

証拠の抽出とレポート作成

  1. Volatilityで出力した情報をテキスト化します。
  2. 不正プロセス・ネットワーク履歴・ユーザーセッションなどを時系列でまとめます。
  3. 証拠画像(キャプチャ)やハッシュ値を添付して保存します。

専門会社への相談と対応依頼

ランサムウェア感染・ハッキング・横領・情報漏えいといった深刻なケースでは、必ず専門のフォレンジック調査会社に相談してください。

フォレンジックでよくある失敗と注意点

フォレンジックの調査は、一度でも手順を誤ると証拠として使えなくなったり、解析そのものが不可能になることもあります。実際によくある失敗例をもとに、注意点を整理しましょう。

失敗例と注意点は下記の通りです。

  • 電源を切ってしまいメモリが消失
     →メモリ上の情報は電源を切ると消えるため、通電状態のまま対応することが大切です。
  • 解析ツールの誤使用で証拠を破壊
     →不適切なツールの使用はログ改ざんの原因に。専門ツールと知識が必要です。
  • 取得したイメージの保全が不十分
     →証拠性を保つには、ハッシュ値の記録や改ざん防止の手順を徹底しましょう。

フォレンジック調査会社の選び方と法的効力

インシデント発生時には、信頼できる調査会社に依頼するのがベストです。ただし、どの会社に依頼するかによって、調査結果の信頼性や法的効力には大きな差が出てしまう恐れがあります。選定のポイントは下記になります。

  • 情報セキュリティ管理(ISMSなど)を取得している
  • 証拠保全・法的証拠化の実績がある
  • 書類提出(調査報告書・ログ出力)のサポートが充実している

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フォレンジック調査会社を利用するときの注意点

フォレンジック調査会社を利用するときの注意点は次のとおりです。

  • 不用意に操作しない
  • 興信所や探偵は基本的に専門外
  • サポート詐欺に要注意
  • 市販の調査ソフトを使用しない

不用意に操作しない

サイバーやリーガルインシデント被害を受けた場合、不用意にシステムや機器を操作すると、証拠が消失したり、状況が悪化したりする可能性があります。そのため、フォレンジック調査会社に依頼する前に、不用意な操作は避けましょう。

興信所や探偵は基本的に専門外

フォレンジック調査は、専門的な知識や技術が必要となる調査です。そのため、主に浮気調査や家出人捜索などの調査を行っている興信所や探偵に依頼しても、十分な調査が期待できない可能性があります。

市販の調査ソフトを使用しない

市販のフォレンジック調査ソフトは多数存在しますが、そのどれもが万能なものではなく、フォレンジック調査サービスと比較して調査の正確性が劣ります。セキュリティ対策やログの監視ツールとして利用する分には問題ないですが、インシデント発生時の調査で利用する時は目的に合わせて利用すべきか判断が必要になります。

調査結果を報告資料の作成や裁判などでの証拠として活用したい場合は、フォレンジック調査ツールで抽出した結果を使用できないため、証拠保全が可能な調査会社に相談して調査するようにしましょう。

まとめ

不正アクセスやマルウェアの痕跡が「何も残っていない」と感じられる場合でも、メモリフォレンジックによって重要な情報が発見できる可能性があります。
とくに近年は、ファイルに残らない“痕跡を残さない攻撃”が増えており、通常の調査では対応しきれないケースもあります。

こうした背景から、メモリフォレンジックはセキュリティ対応の重要な手段として注目されています。
初動でのメモリ取得や基本的な手順の把握はもちろん大切ですが、深刻な被害が疑われる場合は、専門会社への相談が確実です。

信頼できるパートナーと連携することで、証拠を守りながら、より適切な対策を講じることができます。

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