「社員による不正アクセス」「ランサムウェアによるデータ暗号化」「顧客情報の漏洩」——そんな重大なインシデントが発生したとき、真相解明と再発防止の鍵となるのがデジタルフォレンジックです。
デジタルフォレンジックは、パソコンやサーバ、スマートフォン、ネットワークといった電子デバイスから、法的証拠としても通用する形でログや操作履歴などを収集・解析する高度な調査技術です。
本記事では、デジタルフォレンジックのやり方から使用される主なツール、注意すべき法的ポイントまで、初心者にもわかりやすく丁寧に解説します。不正の証拠を残さず、迅速かつ正確に対応するための知識としてご活用ください。
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デジタルフォレンジックのやり方
ここでは、一般的なデジタルフォレンジックの基本的なやり方を、初心者にも分かるように段階的に解説します。
- ステップ①:初動対応(ヒアリング・証拠隠滅の防止)
- ステップ②:証拠保全(イメージ取得とハッシュ値)
- ステップ③:データ解析(ログ・ファイル・通信履歴)
- ステップ④:タイムライン分析と復元処理
- ステップ⑤:報告書作成と法的活用
- ステップ⑥:再発防止のための対策提案
ステップ①:初動対応(ヒアリング・証拠隠滅の防止)
最初に行うべきは、迅速な状況確認と機器の隔離です。被害が発覚した段階で、以下の対応を徹底しましょう。
- ネットワークから該当PCやサーバーを切断する
- 使用中の端末を電源オフにし、物理的に保管する
- 従業員や関係者へのヒアリングを実施し、関与の有無を把握する
この時点で不用意に操作を加えると、証拠が改ざんされたり、ログが消去されてしまう恐れがあります。状況が把握できない場合は、調査会社に即時相談することが重要です。
ステップ②:証拠保全(イメージ取得とハッシュ値)
次に、証拠となるデータの保全を行います。ここで重要なのが「イメージ取得」と「ハッシュ値」の取得です。
- 専用のフォレンジックツール(FTK Imagerなど)でHDD・SSDの完全コピーを作成
- MD5やSHA-256といったハッシュ値を生成して記録
- コピー後は元データに一切触れず、保管状態を維持
この作業によって、「調査対象のデータが改ざんされていない」ことを証明することができます。ハッシュ値は、いわばデジタルの“指紋”です。
ステップ③:データ解析(ログ・ファイル・通信履歴)
証拠保全が完了したら、コピーしたデータをもとに詳細な解析を行います。調査内容はインシデントの種類によって異なりますが、以下が代表例です。
- 操作ログの解析:アクセス履歴やファイル操作の記録
- メール・チャット履歴:送受信内容・送信先・添付ファイル
- ネットワーク通信:不審なIPとの通信、VPNの使用履歴
- 削除ファイルの復元:削除済みフォルダからのデータ抽出
この段階で、証拠となるデータが時系列でどのように推移したかを把握することが目的です。
ステップ④:タイムライン分析と復元処理
フォレンジック調査の中核を成すのが「タイムライン分析」です。これは、事件や不正行為が起きた時間軸に沿って、端末上のあらゆる操作履歴を再構成する手法です。
たとえば、以下のような手順で進めます。
- OSログやファイルメタ情報を抽出
- 「いつ、誰が、何の操作をしたか」を時間順に整理
- 破損・削除されたデータを復元して時系列に挿入
この結果、被疑者の行動や不審な挙動の流れが明確になり、調査対象の行動証明(アリバイ・関与)にも活用できます。
ステップ⑤:報告書作成と法的活用
分析結果をまとめ、関係者や弁護士、裁判所にも提出できるようにするには、法的要件を満たした報告書の作成が不可欠です。
報告書には以下の内容を含めます。
- 調査対象者の端末・アカウント・調査範囲
- 不正行為の時系列と具体的な証拠
- 調査の実施日時と使用ツール
- 証拠データのハッシュ値
- 被害範囲や外部流出の有無
特に重要なのは、「証拠が正当に取得され、改ざんされていない」という点です。この点を明示することで、裁判においても証拠能力が認められる可能性が高まります。
ステップ⑥:再発防止のための対策提案
調査は「事後処理」だけではありません。同様の事案が再発しないよう、技術的・組織的な改善提案もフォレンジック調査の一環です。
- セキュリティポリシーの見直し
- ログ保存期間の延長や監視体制の強化
- 外部記憶媒体やクラウドの利用制限
- 社内教育(情報リテラシー研修)の実施
フォレンジック報告書は、経営層や監査部門にとっても貴重な指針となり、セキュリティ体制全体の底上げに役立ちます。
代表的な調査技術と分野
フォレンジック調査には、対象機器や目的に応じてさまざまな技術が活用されています。
こちらでは代表的な調査分野と、そこで使用される主な技術、具体的な調査内容についてご紹介いたします。調査全体のイメージを把握する際の参考にしてください。
調査分野 | 主な技術 | 調査内容 |
---|---|---|
コンピューターフォレンジック | HDD/SSD解析、メモリ取得 | 不正アクセスや操作痕跡の発見 |
モバイルフォレンジック | スマホ抽出・通話/SMS/位置情報解析 | アプリ利用や行動履歴の調査 |
ネットワークフォレンジック | パケットキャプチャ、通信ログ解析 | 攻撃元の特定、データ流出の証明 |
メールフォレンジック | ヘッダー・添付調査、転送設定確認 | 不正送信・漏洩経路の分析 |
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主なフォレンジックツール
フォレンジック調査を行う際には、証拠の抽出や解析を行うための専用ツールが必要です。
ここでは、実務でよく使用されている代表的なツールを用途別にご紹介いたします。各ツールの特徴を知ることで、より適切な調査手法の選定が可能になります。
- FTK Imager/EnCase/Autopsy: イメージ取得・ファイル解析に使用
- Volatility: メモリ解析用ツール
- Wireshark/tcpdump: 通信解析に有用
- Aid4Mail/MailXaminer: メール調査に特化
- ELK Stack/Splunk: ログの大規模分析
- Cellebrite/Oxygen Forensics: モバイル証拠抽出に対応
注意点と法的留意事項
デジタルフォレンジックを行う際には、次の点に留意する必要があります。
- 証拠改変のリスク回避: 調査時の操作でデータが書き換わらぬよう、専用ツールと手順を厳守
- 法的手続きの遵守: 個人情報保護法などに抵触しないよう配慮。証拠能力の確保も重要
- 外部専門機関の活用: 深刻なインシデントや訴訟に発展しうるケースでは、実績ある業者への依頼が望ましい
しかし、社内や個人でのデジタルフォレンジックには限界があり専門会社へ相談することをおすすめします。
信頼できるフォレンジック調査会社を選ぶ重要ポイント4選
信頼できるフォレンジック調査会社を選ぶポイントは以下の4つです。
- 調査実績が豊富
- セキュリティ認証を取得している
- 調査完了までのスピードが速い
- 無料相談や見積りに対応している
これらの特徴を持つ調査会社に依頼することで、効果的な調査と適切な対策が期待できます。
調査実績が豊富
調査実績が豊富な調査会社は、さまざまな種類のサイバーやリーガルインシデントに対応した経験とノウハウを持っています。そのため、状況や問題に応じた適切な方法やツールを駆使し、被害の状況や原因をより正確に特定することで、適切な対策を講じることができます。
セキュリティ認証を取得している
セキュリティ認証を取得している企業は、情報セキュリティに対する取り組みが評価されており、信頼性が高いです。
具体例として、ISO/IEC 27001などの国際的な認証が挙げられます。これらの認証は、企業が情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を適切に運用し、機密情報の保護に努めていることを示します。
こうした認証を取得している企業は、データ漏えいリスクを最小限に抑えるための対策を講じており、顧客のデータを安全に扱うことができます。このため、セキュリティ認証を取得している企業を利用することがおすすめです。
調査完了までのスピードが速い
問題が発生した際、調査完了までのスピードが速いほど、被害を最小限に抑えることができます。調査スピードが速い理由としては、専門知識や経験を持ったスタッフが多数在籍していることや、最新の技術やシステムを導入して効率的な業務を行っていることが挙げられます。
無料相談や見積りに対応している
問題が発生した際、無料相談や見積りに対応している企業であれば、相談のうえ、見積りを取得することで、サービスの費用を事前に把握し、予算に合ったプランを選ぶことができます。
無料相談や見積りに対応している企業は、顧客ニーズに応じたサービスを提供できる体制が整えられており、信頼性が高いと言えます。ぜひ、お問い合わせや見積りの依頼を通じて、最適なサービスを見つけてください。
>>【2024.11最新】フォレンジック調査会社一覧|選び方・依頼の流れを解説
編集部おすすめ調査会社:デジタルデータフォレンジック(おすすめ度)
サイバー攻撃や社内不正といった、幅広いインシデントに対してフォレンジック調査を行っている専門会社をご紹介します。
こちらの業者は、相談件数が39,000件を超え、民間の調査会社でありながら官公庁や大手企業との取引実績も多く信頼できるため、幅広い調査に対応していておすすめです。もちろん法人だけでなく、個人のハッキングやサポート詐欺調査などの相談も受け付けています。
まずは無料で相談・見積りまで行ってくれるようなので、不安な方は一度相談してみるとよいでしょう。

費用 | ★見積り無料 まずはご相談ください |
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調査対象 | PC、スマートフォン、サーバ、外付けHDD、USBメモリ、SDカード、タブレット など |
サービス | ハッキング・不正アクセス調査、マルウェア・ランサムウェア感染調査、サイバー攻撃被害調査、退職者調査、労働問題調査、社内不正調査、情報持出し調査、横領着服調査、パスワード解除、データ改ざん調査、データ復元、デジタル遺品、離婚問題・浮気調査 など |
特長 | ✓累積ご相談件数39,451件以上 ✓国際基準をクリアした厳重なセキュリティ体制(ISO認証、プライバシーマーク取得済) ✓警視庁からの捜査協力依頼・感謝状受領の実績多数 |
デジタルデータフォレンジックは、国内トップクラスの調査力を有しており、累計3万9千件以上の豊富な実績があります。
規模が大きな調査会社でありながら、個人端末のハッキング調査、不正アクセス調査などの実績もあるようですし、24時間365日の相談体制、ニーズに合わせたプランのカスタマイズなど、サービスの利用しやすさも嬉しいポイントです。
ハッキング調査以外にも幅広い調査に対応しているだけでなく、ケースごとに専門チームが調査対応を行っているとのことで、高品質な調査が期待できます。さらに、警察への捜査協力も行っているなど、信頼がおける専門業者です
相談・見積りを“無料“で行っているので、まずは電話かメールで問合せをしてみることをおすすめします。
フォレンジック調査会社を利用するときの注意点
フォレンジック調査会社を利用するときの注意点は次のとおりです。
- 不用意に操作しない
- 興信所や探偵は基本的に専門外
- サポート詐欺に要注意
- 市販の調査ソフトを使用しない
不用意に操作しない
サイバーやリーガルインシデント被害を受けた場合、不用意にシステムや機器を操作すると、証拠が消失したり、状況が悪化したりする可能性があります。そのため、フォレンジック調査会社に依頼する前に、不用意な操作は避けましょう。
興信所や探偵は基本的に専門外
フォレンジック調査は、専門的な知識や技術が必要となる調査です。そのため、主に浮気調査や家出人捜索などの調査を行っている興信所や探偵に依頼しても、十分な調査が期待できない可能性があります。
市販の調査ソフトを使用しない
市販のフォレンジック調査ソフトは多数存在しますが、そのどれもが万能なものではなく、フォレンジック調査サービスと比較して調査の正確性が劣ります。セキュリティ対策やログの監視ツールとして利用する分には問題ないですが、インシデント発生時の調査で利用する時は目的に合わせて利用すべきか判断が必要になります。
調査結果を報告資料の作成や裁判などでの証拠として活用したい場合は、フォレンジック調査ツールで抽出した結果を使用できないため、証拠保全が可能な調査会社に相談して調査するようにしましょう。
まとめ:デジタルフォレンジックは信頼性ある調査の要
デジタルフォレンジックは、不正の痕跡を残さずに追跡し、証拠能力を保ったまま事実を明らかにするための高度な専門調査です。適切な機材と知識、法的配慮が求められるため、企業内だけで完結させようとせず、必要に応じてフォレンジック専門業者のサポートを得ることが、迅速かつ確実な解決への近道となります。
■警視庁からの捜査協力依頼実績が多数あり
■法人/個人問わず幅広く対応
■ 国際標準規格「ISO27001」取得
■ 14年連続国内売上No.1のデータ復旧サービス
- サービス
ハッキング不正アクセス調査、マルウェア・ランサムウェア感染調査、退職者調査、労働問題調査、社内不正調査、情報持出し調査、横領着服調査、データ改ざん調査など