デジタルフォレンジックにおける証拠能力とは?裁判で有効な証拠と認められるための条件と実務対応

デジタルフォレンジックにおいて「証拠能力」とは、収集したデジタルデータ(メール、ログ、ファイル等)が裁判で法的に有効な証拠として認められる性質を指します。証拠として認められるには、適法に収集され、改ざんされておらず、訴訟の争点に関連し、かつ客観的に信頼できる状態で保全されている必要があります。

本記事では、証拠能力が問題となる主な原因や証拠能力を確保するための方法を解説します。

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デジタルフォレンジックによるデータの証拠能力が問題となる主な原因

ここでは、デジタルフォレンジックの調査結果によって導かれたデジタル証拠が裁判で認められない原因について代表的なパターンを紹介します。

  • 原因①:証拠が立証すべき事実と無関係
  • 原因②:データの改ざん・欠落の疑い
  • 原因③:違法な手続きで収集された証拠
  • 原因④:証拠保全や調査に客観性がない

原因①:証拠が立証すべき事実と無関係

証拠として提出したデジタルデータが、事件や訴訟と直接関連していない場合、証拠能力が否定される可能性があります。

原因②:データの改ざん・欠落の疑い

取得した証拠データに改ざんや削除の痕跡があると、信頼性が損なわれ証拠能力が認められません。

原因③:違法な手続きで収集された証拠

不正なアクセスや令状のない強制的な収集など、法的手続きを踏まない方法で得られた証拠は、法廷で排除される可能性があります。

原因④:証拠保全や調査に客観性がない

証拠収集や調査が特定の立場に偏っていたり、再現性がない場合は、第三者による検証が難しく証拠能力に疑問が生じます。

これらの問題を回避するには、第三者のデジタルフォレンジック専門会社に相談することをおすすめします。

デジタルフォレンジックによるデータで証拠能力を確保するための対処法

ここでは、証拠能力を確実に担保するために実務で取るべき具体的な手段を紹介します。

  • 専用ツールによる証拠保全(イメージ取得・ハッシュ値生成)で改ざん防止を行う
  • 調査ログや操作履歴を詳細に記録・保管して客観性を確保を行う
  • 第三者機関に中立的な調査と報告書作成を依頼する

専用ツールによる証拠保全(イメージ取得・ハッシュ値生成)で改ざん防止を行う

証拠の改ざんリスクを防ぐには、取得時点での完全なコピーと整合性の確保が必要です。

専用ツールによる証拠保全で改ざん防止を行う方法

  1. 証拠対象となる端末やストレージを物理的に隔離します。
  2. Write Blockerなどの専用機器を用いて、原本に変更を加えずにディスクイメージを取得します。
  3. 取得後、SHA-256などのハッシュ値を算出し、証拠保全ログとともに記録します。
  4. 保全データとログは、外部媒体に複製し、封印・保管します。

調査ログや操作履歴を詳細に記録・保管して客観性を確保を行う

調査時の作業内容やツールの使用状況を残すことで、調査の客観性・正当性を証明できます。

調査ログや操作履歴を詳細に記録・保管して客観性を確保する方法

  1. 調査を開始する前に、手順書や調査計画を作成します。
  2. 操作ログを取得可能なツール(例:FTK Imager、X-Waysなど)を使用し、全行程の操作履歴を自動記録します。
  3. 調査ごとに日時・担当者・目的などを記した作業記録を作成します。
  4. これらの記録を案件ごとに分けて保管し、第三者検証に備えます。

第三者機関に中立的な調査と報告書作成を依頼する

利害関係のない専門機関による調査報告書は、証拠の客観性と真正性を高めます。

第三者機関に中立的な調査と報告書作成を依頼する方法

  1. 調査対象や手法、目的などを第三者に開示し、立ち合いのもとで作業を実施します。
  2. 中立性を担保するため、法務部門や社外のフォレンジック専門会社へ依頼するのが望ましいです。
  3. 調査終了後は、調査経緯・使用ツール・結果の証拠資料などを網羅した報告書を作成します。
  4. 報告書は証拠と一緒に法廷提出可能な形式で保管します。

調査の中立性や証拠の真正性を確保するためには、まずデジタルフォレンジックを専門としている第三者機関へ相談することをおすすめします。

信頼できるフォレンジック調査会社を選ぶ重要ポイント4選

信頼できるフォレンジック調査会社を選ぶポイントは以下の4つです。

  • 調査実績が豊富
  • セキュリティ認証を取得している
  • 調査完了までのスピードが速い
  • 無料相談や見積りに対応している

これらの特徴を持つ調査会社に依頼することで、効果的な調査と適切な対策が期待できます。

調査実績が豊富

調査実績が豊富な調査会社は、さまざまな種類のサイバーやリーガルインシデントに対応した経験とノウハウを持っています。そのため、状況や問題に応じた適切な方法やツールを駆使し、被害の状況や原因をより正確に特定することで、適切な対策を講じることができます。

セキュリティ認証を取得している

セキュリティ認証を取得している企業は、情報セキュリティに対する取り組みが評価されており、信頼性が高いです。

具体例として、ISO/IEC 27001などの国際的な認証が挙げられます。これらの認証は、企業が情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を適切に運用し、機密情報の保護に努めていることを示します。

こうした認証を取得している企業は、データ漏えいリスクを最小限に抑えるための対策を講じており、顧客のデータを安全に扱うことができます。このため、セキュリティ認証を取得している企業を利用することがおすすめです。

調査完了までのスピードが速い

問題が発生した際、調査完了までのスピードが速いほど、被害を最小限に抑えることができます。調査スピードが速い理由としては、専門知識や経験を持ったスタッフが多数在籍していることや、最新の技術やシステムを導入して効率的な業務を行っていることが挙げられます。

無料相談や見積りに対応している

問題が発生した際、無料相談や見積りに対応している企業であれば、相談のうえ、見積りを取得することで、サービスの費用を事前に把握し、予算に合ったプランを選ぶことができます。

無料相談や見積りに対応している企業は、顧客ニーズに応じたサービスを提供できる体制が整えられており、信頼性が高いと言えます。ぜひ、お問い合わせや見積りの依頼を通じて、最適なサービスを見つけてください。

>>フォレンジック調査会社一覧|選び方・依頼の流れを解説

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フォレンジック調査会社を利用するときの注意点

フォレンジック調査会社を利用するときの注意点は次のとおりです。

  • 不用意に操作しない
  • 興信所や探偵は基本的に専門外
  • サポート詐欺に要注意
  • 市販の調査ソフトを使用しない

不用意に操作しない

サイバーやリーガルインシデント被害を受けた場合、不用意にシステムや機器を操作すると、証拠が消失したり、状況が悪化したりする可能性があります。そのため、フォレンジック調査会社に依頼する前に、不用意な操作は避けましょう。

興信所や探偵は基本的に専門外

フォレンジック調査は、専門的な知識や技術が必要となる調査です。そのため、主に浮気調査や家出人捜索などの調査を行っている興信所や探偵に依頼しても、十分な調査が期待できない可能性があります。

市販の調査ソフトを使用しない

市販のフォレンジック調査ソフトは多数存在しますが、そのどれもが万能なものではなく、フォレンジック調査サービスと比較して調査の正確性が劣ります。セキュリティ対策やログの監視ツールとして利用する分には問題ないですが、インシデント発生時の調査で利用する時は目的に合わせて利用すべきか判断が必要になります。

調査結果を報告資料の作成や裁判などでの証拠として活用したい場合は、フォレンジック調査ツールで抽出した結果を使用できないため、証拠保全が可能な調査会社に相談して調査するようにしましょう。

まとめ

デジタルフォレンジックにおける証拠能力とは、デジタル証拠が裁判で法的に有効な証拠と認められる性質を意味します。証拠能力を確保するためには、関連性・真正性・適法性・客観性といった基準を満たす必要があり、適切な手続きと記録が求められます。実務では、専用ツールでの保全、詳細な操作記録の作成、中立機関の介入と報告書作成などを通じて、確実な証拠管理を徹底しましょう。

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