不正アクセスや情報漏えい、社内不正などの調査において、最も重要な初動作業が「証拠保全」です。しかし、知識がないまま操作してしまうと、データの改ざんや証拠性の喪失といった致命的な問題を引き起こす可能性があります。本記事では、証拠保全の基本概念から手順、注意点、そして専門業者への依頼の必要性までを詳しく解説します。
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デジタルフォレンジックにおける証拠保全とは何か?
証拠保全とは、デジタルデータを「改ざんや損失のない状態」で取得・保存し、その証拠性(証拠能力)を担保するための手続きです。これにより、裁判や社内調査において有効な証拠として活用できます。
デジタルフォレンジックにおける証拠保全の正しい方法
以下に、デジタルフォレンジックにおける証拠保全を正しく行うための具体的な手順を紹介します。
- 書き込み防止装置(Write Blocker)を使用する
- ディスクの複製とイメージ取得を行う
- ハッシュ値の取得と照合を行う
- 取得手順とツール・環境の記録を行う
- チェーン・オブ・カストディの記録を行う
- デジタルフォレンジック専門会社に相談・依頼する
①書き込み防止装置(Write Blocker)を使用する
証拠取得時に最も重要なのが「取得対象への変更を加えない」ことです。Write Blockerを使用することで、HDDやSSDに誤って書き込んでしまうリスクを物理的に防止できます。
書き込み防止装置を使用する手順
- 電源を切った状態で対象機器を取り外す
- Write Blocker(物理装置)に接続
- 別PCに接続し、「読み取り専用」としてマウントを確認
- ツールでイメージ取得を開始
②ディスクの複製とイメージ取得を行う
証拠データはオリジナルに手を加えず、専用ツールで「セクタ単位」で完全複製する必要があります。代表的なツールとして「FTK Imager」や「dd」などが使用されます。
ディスクイメージを取得する手順
- 書き込み防止済み状態でディスクを接続
- FTK Imagerを起動し、対象ディスクを選択
- 「Create Disk Image」→「Physical Drive」を選択
- 保存先と形式(E01など)を指定して取得開始
- 完了後、ログとハッシュ値を保存
③ハッシュ値の取得と照合を行う
データの完全性を担保するため、取得前後のハッシュ値を記録し一致していることを証明します。これにより「改ざんされていない証拠」であると認定されやすくなります。
ハッシュ値の取得手順
- 取得したイメージファイルに対して「MD5」または「SHA-256」でハッシュを計算
- オリジナルのディスクと比較して一致を確認
- 照合結果を記録として保存(証拠書類化)
④取得手順とツール・環境の記録を行う
証拠保全の正当性を示すには、「どのような環境で、誰が、何を使って、どのように取得したか」の記録が必要です。これを怠ると法的な証拠性が失われます。
証拠取得の記録手順
- 作業開始前に「作業手順書」と「使用機材リスト」を作成
- 作業中のスクリーンショットやログを収集
- 日付、担当者、使用ツール、設定値などを記録
- 記録をPDF化し、証拠と一緒に保管
⑤チェーン・オブ・カストディの記録を行う
チェーン・オブ・カストディとは、デジタルフォレンジック分野で証拠となるデータや物品が「いつ、誰の手で、どこで、どのように収集・保管・移送されたか」を、詳細に記録し管理する一連の手続きや文書のことです。これにより証拠性が法的に担保されます。
チェーン・オブ・カストディの記録方法
- 証拠の受領・引渡し時に署名・日付入りの記録を作成
- 移動・保管時の担当者と時間を逐一記録
- アクセス権限やログも含めて管理する
⑥デジタルフォレンジック専門会社に相談・依頼する
証拠保全は極めて専門性の高い作業です。自力対応はリスクが大きく、特に法的な証拠とする場合は専門会社への依頼が最も確実です。
専門会社に依頼する流れ
- 不審な動作や情報流出が疑われた時点で早期に相談
- 無料診断やヒアリングを通じて対応範囲を明確化
- 調査の見積もり・証拠保全・報告書作成まで一括で依頼可能
- 公的機関・裁判にも提出できるレベルでの証拠性確保が可能
信頼できるフォレンジック調査会社を選ぶ重要ポイント4選
信頼できるフォレンジック調査会社を選ぶポイントは以下の4つです。
- 調査実績が豊富
- セキュリティ認証を取得している
- 調査完了までのスピードが速い
- 無料相談や見積りに対応している
これらの特徴を持つ調査会社に依頼することで、効果的な調査と適切な対策が期待できます。
調査実績が豊富
調査実績が豊富な調査会社は、さまざまな種類のサイバーやリーガルインシデントに対応した経験とノウハウを持っています。そのため、状況や問題に応じた適切な方法やツールを駆使し、被害の状況や原因をより正確に特定することで、適切な対策を講じることができます。
セキュリティ認証を取得している
セキュリティ認証を取得している企業は、情報セキュリティに対する取り組みが評価されており、信頼性が高いです。
具体例として、ISO/IEC 27001などの国際的な認証が挙げられます。これらの認証は、企業が情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を適切に運用し、機密情報の保護に努めていることを示します。
こうした認証を取得している企業は、データ漏えいリスクを最小限に抑えるための対策を講じており、顧客のデータを安全に扱うことができます。このため、セキュリティ認証を取得している企業を利用することがおすすめです。
調査完了までのスピードが速い
問題が発生した際、調査完了までのスピードが速いほど、被害を最小限に抑えることができます。調査スピードが速い理由としては、専門知識や経験を持ったスタッフが多数在籍していることや、最新の技術やシステムを導入して効率的な業務を行っていることが挙げられます。
無料相談や見積りに対応している
問題が発生した際、無料相談や見積りに対応している企業であれば、相談のうえ、見積りを取得することで、サービスの費用を事前に把握し、予算に合ったプランを選ぶことができます。
無料相談や見積りに対応している企業は、顧客ニーズに応じたサービスを提供できる体制が整えられており、信頼性が高いと言えます。ぜひ、お問い合わせや見積りの依頼を通じて、最適なサービスを見つけてください。
>>【2024.11最新】フォレンジック調査会社一覧|選び方・依頼の流れを解説
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フォレンジック調査会社を利用するときの注意点
フォレンジック調査会社を利用するときの注意点は次のとおりです。
- 不用意に操作しない
- 興信所や探偵は基本的に専門外
- サポート詐欺に要注意
- 市販の調査ソフトを使用しない
不用意に操作しない
サイバーやリーガルインシデント被害を受けた場合、不用意にシステムや機器を操作すると、証拠が消失したり、状況が悪化したりする可能性があります。そのため、フォレンジック調査会社に依頼する前に、不用意な操作は避けましょう。
興信所や探偵は基本的に専門外
フォレンジック調査は、専門的な知識や技術が必要となる調査です。そのため、主に浮気調査や家出人捜索などの調査を行っている興信所や探偵に依頼しても、十分な調査が期待できない可能性があります。
市販の調査ソフトを使用しない
市販のフォレンジック調査ソフトは多数存在しますが、そのどれもが万能なものではなく、フォレンジック調査サービスと比較して調査の正確性が劣ります。セキュリティ対策やログの監視ツールとして利用する分には問題ないですが、インシデント発生時の調査で利用する時は目的に合わせて利用すべきか判断が必要になります。
調査結果を報告資料の作成や裁判などでの証拠として活用したい場合は、フォレンジック調査ツールで抽出した結果を使用できないため、証拠保全が可能な調査会社に相談して調査するようにしましょう。
まとめ
デジタルフォレンジックにおける証拠保全は、不正アクセスや内部不正、情報漏洩といった重大インシデントへの対応において、最も重要な初期作業のひとつです。誤った方法で操作してしまうと、証拠そのものが失われ、調査の意味を失うだけでなく、企業としての信用や法的立場にも深刻な影響を及ぼしかねません。
専門的な知識と機材、正確な手順に基づいて証拠を保全することで、解析や調査の信頼性が高まり、裁判や社内調査でも有効な証拠として活用できます。わずかな初動ミスが致命的な結果を生まないよう、少しでも不安がある場合は早めに専門業者へ相談することを強くおすすめします。
今この瞬間から、「調査できる体制」を整えることが、あなたの組織と情報を守る最初の一歩です。
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