企業や組織が保有する個人情報や機密データが、不正アクセスやマルウェア感染などにより漏洩・改ざん・破壊される「データ侵害」は、現代のサイバー脅威の中でも特に深刻な問題です。
最近ではランサムウェア攻撃や内部不正の増加により、被害が大規模化・複雑化し、事業停止や信頼失墜といった深刻な影響を及ぼすケースが相次いでいます。
本記事では、データ侵害に関する基本的な知識をはじめ、2025年に発生した最新の被害事例、万が一発生した場合の適切な対応方法、そして再発を防ぐためのセキュリティ対策までを分かりやすく解説します。
そして、データ侵害が発生した際に重要となるのが、原因や被害範囲を正確に把握するための「フォレンジック調査」です。攻撃の痕跡や漏洩の証拠は、時間が経つほど消されやすくなるため、早期対応が被害最小化の鍵を握ります。
本ページには広告が含まれています。本コンテンツ経由で商品・サービスの申込みがあった場合、企業から送客手数料を受け取ることがあります。 |
データ侵害とは?
データ侵害とは、企業や組織が保有する個人情報や機密情報が、外部または内部の要因によって不正にアクセスされたり、意図せず漏洩してしまうことを指します。具体的には、顧客の氏名・住所・クレジットカード情報・ログインIDやパスワード、さらには業務上の機密データが不正に流出する事態です。
データ侵害は、直接的な金銭的損失にとどまらず、社会的信用の失墜や法的責任、顧客離れといった深刻な二次被害を引き起こします。そのため、単なるセキュリティ事故ではなく、事業の存続に関わる重大なリスクといえます。
データ侵害の主な原因とパターン
データ侵害には典型的な原因がいくつかあり、侵害の背後にある「攻撃者の手口」や「ヒューマンエラー」の代表的なパターンを3つに分けて、以下のリストで紹介します。それぞれの原因を理解しておけば、日々のセキュリティ対策にどこを強化すべきかが見えてきます。
外部からの不正アクセス
データ侵害の中でも最も典型的なケースとして挙げられるのが、外部からの攻撃者による不正アクセスです。サイバー攻撃者は、脆弱なパスワード設定のログイン画面や、適切に更新されていないシステムの脆弱性などを狙い、組織内部への侵入を試みます。
その手口は、総当たり攻撃(ブルートフォース攻撃)やSQLインジェクションなどの古典的な技術から、VPN機器の不正利用、公開サーバーの乗っ取りといった高度な攻撃まで多岐にわたります。
一度侵入を許してしまうと、顧客データベースや業務システム内の機密情報が盗み出されたり、攻撃の痕跡が巧妙に消去され、長期間にわたって侵害に気づけないケースも少なくありません。
さらに近年では、侵入後に「バックドア(裏口)」を設置され、継続的にシステムが監視・操作されるといった深刻なリスクも高まっています。
>>ブルートフォースアタック(総当たり攻撃)とは?その仕組みと対策を徹底解説
内部要因(従業員のミス・不正)
データ侵害の原因として多く報告されているのは、社内関係者によるミスや不正行為です。たとえば、メールの誤送信やファイルの誤公開、USBメモリによるデータの不正持ち出しといったヒューマンエラーは、セキュリティ教育の不足や運用ルールの不徹底により、容易に発生してしまいます。
一方で、元従業員や不満を抱えた内部関係者による意図的な情報漏洩も深刻な脅威です。実際に、顧客データを外部に売却したり、競合他社に流出させるといった悪質な事例も現実に起きています。
このような内部要因によるデータ侵害は、技術的なセキュリティ対策だけでは完全に防ぐことが困難です。そのため、アクセス権限の厳格な管理、ログの常時監視、従業員同士の信頼関係や心理的安全性の確保など、組織的かつ多面的な対策が求められます。
マルウェア・ランサムウェアによる侵害
近年、特に深刻な脅威となっているのが、ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)によるデータ侵害です。感染経路は、メールの添付ファイルや偽のWebサイト、侵害された業務ツールなど多岐にわたり、不用意なクリックや操作によって端末が感染する恐れがあります。
感染すると、サーバーやPC内のファイルが暗号化され、復号のために仮想通貨による身代金が要求されます。さらに最近では、暗号化に加えてデータを盗み出し、「支払わなければ公開・販売する」と脅迫する二重脅迫(Double Extortion)が主流になっています。
企業、病院、自治体などが特に標的となりやすく、被害の規模も年々拡大しているのが実情です。
>>【脅威】パソコンがマルウェアに感染した場合の症状と対処法
>>ランサムウェアの感染経路とは? 最新の傾向と防止対策を解説
万が一感染の兆候や不審な挙動が見られた場合は、速やかにフォレンジック調査を実施し、被害状況や侵入経路を明らかにすることが重要です。
2025年のデータ侵害動向と最新事例
2025年に発生した重大なデータ侵害事件をもとに、「いま現場で何が起きているのか」を紹介します。情報漏洩の規模は年々拡大し、攻撃グループの手口もますます洗練されており、もはや中小企業であっても例外ではない時代に突入しています。
以下では、特に影響が大きかった3つの代表的な事例を取り上げます。
160億件超のパスワード流出事件
2025年6月20日、フォーブス ジャパンは、サイバーセキュリティ企業 Cybernews の調査により、160億件を超えるログイン情報が漏洩リストとしてまとめられたと伝えました。これは史上最大級の規模とされ、複数のインフォスティーラー(情報窃取型マルウェア)が関与した可能性が高いとされています。
漏洩情報には、Apple、Facebook、Google、GitHubなどの主要サービスの認証情報も含まれており、非常に深刻な状況です。
このような大規模な情報の蓄積は、サイバー犯罪者によるアカウント乗っ取り、不正アクセス、フィッシング攻撃などの悪用リスクを飛躍的に高める“設計図”のようなものと警鐘が鳴らされています。
出典:Forbes JAPAN
企業の顧客情報漏洩
2025年6月11日、ソフトバンク株式会社は、業務委託先である株式会社UFジャパンが外部からの不正アクセスを受け、顧客情報の一部が流出した可能性があると発表しました。対象となったのは法人顧客の情報で、氏名や会社名、連絡先などが含まれるとしています。
クレジットカード情報など決済関連のデータについては、流出の可能性はないと説明しています。ソフトバンクは、問題が判明後ただちに外部専門機関と連携して調査を開始し、影響範囲の特定や再発防止に取り組むとともに、顧客への個別連絡や謝罪を行っています。
今回の件を通じて、「大手企業であっても、委託先を通じて不正アクセスの脅威に直面する可能性がある」 ことが改めて浮き彫りになりました。
出典:株式会社UFジャパン
ランサムウェアと大規模サイバー攻撃
2025年も世界各地で、企業や政府機関を狙った大規模なサイバー攻撃が相次いでいます。ロイター通信の報道によれば、米国・英国・欧州の複数の企業や規制当局がサイバー攻撃を受け、業務が中断したり、システム障害に見舞われる事態が確認されました。
攻撃の一部にはランサムウェアを含むと見られており、業務妨害や情報窃取といった複合的な被害が報告されています。こうした動きは日本国内に直接波及していなくても、同様のリスクが迫っていることを示しており、「業種や規模を問わず標的になり得る」という前提での対策が求められています。
出典:Reuters
データ侵害が発生した際の対応
侵害が起きた瞬間に「何をすべきか」が分かってなければ、被害は拡大するばかりです。以下では、発生直後の初動対応から、外部機関との連携、影響調査、そして再発防止の一連の流れ紹介します。
速やかな原因調査と影響範囲の把握
データ侵害が発覚した際、最も重要なのは侵害経路の特定と被害範囲の把握です。どの端末・アカウント・システムが侵入され、どの情報が漏洩したのかを明らかにするには、ログ解析やフォレンジック調査が不可欠です。
初動対応が遅れると、攻撃が継続されたり被害が拡大する恐れがあり、顧客通知や報告も後手に回ってしまいます。特にランサムウェアやAPT攻撃では、表面上は落ち着いて見えても、裏で侵害が進行しているケースが多いため、迅速かつ的確な対応が求められます。
>>【解説】フォレンジック調査とは?調査の流れや専門会社を紹介
監督官庁・警察・顧客への報告義務
一定規模以上の個人情報が漏洩した場合、個人情報保護委員会への報告(個人情報保護法 第26条)が義務付けられています。また、悪質な侵害が疑われる場合には、警察やサイバー犯罪対策課との連携も必要となるケースがあります。
報告が遅れたり、事実の隠蔽が発覚した場合、企業は行政指導や刑事罰に加え、深刻な信用失墜を招くリスクがあります。さらに、被害を受けた顧客には速やかに通知を行い、パスワード変更やクレジットカードの停止手続きなど、具体的な対処方法の案内を行う責任があります。
近年では、こうした事案が集団訴訟に発展する例も増えており、誠実かつ迅速な対応こそが、企業の信頼を守るための最後の砦となっています。
>>サイバー警察への相談方法とは?サイバー犯罪に困っている方へ
パスワード変更やカード停止などの初動対応
漏洩が疑われるアカウント情報や決済情報がある場合、速やかにパスワードの変更やクレジットカードの利用停止処理を行うことが重要です。特に、同じパスワードを複数のサービスで使い回している場合は、パスワードリスト攻撃による連鎖的な被害が発生するリスクが高まります。
あわせて、利用者に対しては注意喚起と対応方法の周知を徹底し、メールやWebサイトなどで以下のような情報提供を行う必要があります。
- 不審なログイン履歴の確認方法
- 身に覚えのない請求がないかのチェック
- 安全なパスワードの設定や多要素認証の推奨
迅速な対応を怠ると、企業側に説明責任が問われるだけでなく、「知らなかった」では済まされない二次被害につながる可能性があります。そのため、初動の判断と対処の徹底が極めて重要です。
再発防止策とセキュリティ体制の強化
インシデント対応は、被害の封じ込めで終わるものではありません。同じ手口による再発を防ぐには、組織全体のセキュリティ体制を見直し、継続的な強化を行うことが不可欠です。まず、従業員へのセキュリティ教育を定期的に実施し、ヒューマンエラーの発生を最小限に抑えることが基本です。
あわせて、以下のような技術的対策の導入と運用が求められます。
- 多要素認証(MFA)の導入によるアクセス制御の強化
- 脆弱性診断とパッチ管理の自動化による迅速な対処
- SIEMやEDRによるログ監視とインシデント検知体制の構築
重要なのは、一時的な対策で満足せず、脅威の進化に応じてセキュリティ運用を継続的に見直す姿勢です。「もうやられない」ではなく、「やられてもすぐ対応できる体制」を整えることが、再発防止とリスク最小化の鍵となります。
>>脆弱性診断(セキュリティ診断)とは?実施すべき理由と診断サービスについて解説
すでに侵害の兆候がある場合や、不審な挙動が確認された場合には、専門的なフォレンジック調査によって、原因や影響範囲を明確にすることが重要です。
編集部おすすめ調査会社:デジタルデータフォレンジック(おすすめ度)
情報漏洩やサイバー攻撃といった、幅広いインシデントに対してフォレンジック調査を行っている専門会社をご紹介します。
こちらの業者は、相談件数が39,000件を超え、民間の調査会社でありながら官公庁や大手企業との取引実績も多く信頼できるため、幅広い調査に対応していておすすめです。もちろん法人だけでなく、個人のハッキングやサポート詐欺調査などの相談も受け付けています。
まずは無料で相談・見積りまで行ってくれるようなので、不安な方は一度相談してみるとよいでしょう。

費用 | ★見積り無料 まずはご相談ください |
---|---|
調査対象 | PC、スマートフォン、サーバ、外付けHDD、USBメモリ、SDカード、タブレット など |
サービス | 情報漏洩調査、ハッキング・不正アクセス調査、マルウェア・ランサムウェア感染調査、サイバー攻撃被害調査、退職者調査、労働問題調査、社内不正調査、情報持出し調査、横領着服調査、パスワード解除、データ改ざん調査、データ復元、デジタル遺品、離婚問題・浮気調査 など |
特長 | ✓累積ご相談件数39,451件以上 ✓国際基準をクリアした厳重なセキュリティ体制(ISO認証、プライバシーマーク取得済) ✓警視庁からの捜査協力依頼・感謝状受領の実績多数 |
デジタルデータフォレンジックは、国内トップクラスの調査力を有しており、累計3万9千件以上の豊富な実績があります。
規模が大きな調査会社でありながら、個人端末のハッキング調査、不正アクセス調査などの実績もあるようですし、24時間365日の相談体制、ニーズに合わせたプランのカスタマイズなど、サービスの利用しやすさも嬉しいポイントです。
ハッキング調査以外にも幅広い調査に対応しているだけでなく、ケースごとに専門チームが調査対応を行っているとのことで、高品質な調査が期待できます。さらに、警察への捜査協力も行っているなど、信頼がおける専門業者です
相談・見積りを“無料“で行っているので、まずは電話かメールで問合せをしてみることをおすすめします。
まとめ
データ侵害は、一度の発生でも企業に深刻な損害と信用の喪失をもたらす、極めて重大なリスクです。攻撃者の手口は年々巧妙かつ高度になり、マルウェア、内部不正、ゼロデイ攻撃など、いつ・どこから狙われてもおかしくない時代になりました。
「うちは大丈夫」と思っている組織ほど、防御が手薄になり、標的にされやすいのが現実です。そのため、平時からのセキュリティ対策と、侵害発生時の迅速かつ的確な対応、さらに再発を防ぐための継続的な体制強化が欠かせません。
特に、フォレンジック調査によって「何が起きたのか」を正確に把握することは、原因の特定と再発防止に繋がります。感覚や推測ではなく、証拠に基づいた対応こそが、組織を守る力となるのです。