この記事の要点
- IT資産管理ツールは、端末の台帳管理だけでなく、更新の配布、スマートフォンの管理、遠隔サポートまで役割が広がっています。
- 製品ごとに強みが異なり、操作ログやUSB制御などの「内部統制」に強い製品と、更新の自動化や遠隔対応などの「運用の自動化」に強い製品があります。
- 選ぶ際は「何に困っているか」を先に決め、対応OS、パッチ配布の範囲(OSだけか、アプリまでか)、MDM、料金体系を比べるのが近道です。
- OSとアプリの更新の自動化、遠隔での監視・修復を重視するなら、NinjaOneのようなRMM型の製品が候補になります。
「IT資産管理ツールを入れたいが、製品が多すぎて違いが分からない」――中小企業のIT担当者からよく聞く悩みです。かつては「PCの台帳をつくるツール」だったIT資産管理ツールは、今では更新の配布、スマートフォンの管理、遠隔サポート、セキュリティ対策までを担うようになり、製品ごとの得意分野の違いが大きくなっています。
この記事では、国内で導入例の多い製品を含む5製品を、公式サイトに記載されている情報をもとに比較し、中小企業が自社に合うツールを選ぶためのポイントを、MSP(IT運用の代行・支援事業者)としてのサイバーセキュリティ総研(CSRI)の視点から解説します。
IT資産管理ツールで何ができるのか
- 資産の把握:PCやスマートフォンのハードウェア・ソフトウェア情報を自動で集め、台帳を最新に保つ。
- 操作ログ・デバイス制御:誰がいつ何をしたかを記録し、USBメモリなどの利用を制限する。
- ソフトウェア・更新の配布:アプリや更新プログラムを一括で配布する。
- MDM:スマートフォンやタブレットの設定、紛失時のロック・消去を行う。
- 遠隔サポート:離れた場所の端末を操作して、トラブルに対応する。
主要5製品の比較
| 製品 | 提供形態 | 対応OS(公式記載) | 強み・特徴 | 料金体系(公式記載) |
|---|---|---|---|---|
| LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版(エムオーテックス) | クラウド | Windows、macOS、iOS/iPadOS、Android | 操作ログの自動取得(標準2年保存、オプションで最大5年)、USBメモリなどの記録メディア制御、MDM。リモート操作は別製品 | 端末単位の年額。PC向け「ベーシック」は月額換算500円/台、モバイル向け「ライトA」は月額換算300円/台(税抜)。60日間の無料体験あり |
| SKYSEA Client View(Sky) | オンプレミス版・クラウド版 | Windows、macOS、Linux(RHEL、Ubuntuなど)、iOS、Android(MDM) | 資産管理、ログ管理、デバイス管理、SAM(ソフトウェア資産管理)など、内部統制向けの機能が幅広い。ブラウザの更新状況の可視化とJVNの脆弱性情報との紐付け | 公式サイトに金額の掲載なし(要問い合わせ) |
| ISM CloudOne(クオリティソフト) | クラウド | 公式の動作環境資料に記載(iOS・Androidは検証済み機種を公開) | 資産管理、操作ログ、ソフトウェア配布、Windows Update管理の支援、MDM、リモートコントロール、外部デバイス制御 | 公式サイトに金額の掲載なし(価格表は資料請求)。30日間の無料試用あり |
| Microsoft Intune(マイクロソフト) | クラウド | Windows、macOS、iOS/iPadOS、Android、Linux(一部ディストリビューション)、ChromeOS | Microsoft 365との連携。Windowsの品質更新・機能更新の管理。他社製アプリの更新は有償アドオン(Enterprise App Management、Windowsのみ)。遠隔支援も有償アドオン | ユーザー単位の月額(Plan 1は米国価格で月8ドル)。Microsoft 365の一部プランに含まれる |
| NinjaOne | クラウド | Windows、macOS、Linux、iOS/iPadOS、Android | RMM(監視・自動化・遠隔操作)、OSと多数のサードパーティ製アプリのパッチ自動化、MDM、バックアップ、IT資産管理を一つのプラットフォームで提供 | 端末単位の月額。50台以下で1台あたり月3.75ドル(米ドル、地域や購入製品で変動)。導入費・研修費なし。14日間の無料トライアル |
※各製品の機能・料金は、2026年10月26日時点で各社の公式サイトに記載されている内容をもとにしています。機能の詳細や最新の料金、エディションごとの違いは、各社の公式サイトや販売代理店にご確認ください。
タイプ別に見る選び方
1. 「誰が何をしたか」を記録したい:内部統制重視型
情報漏えい対策として、操作ログの長期保存や、USBメモリの利用制限を重視するなら、LANSCOPEやSKYSEA Client Viewのように操作ログやデバイス制御を得意とする製品が候補になります。監査対応や、社内規程の運用状況の証跡を残したい企業に向いています。
2. Microsoft 365を中心に使っている:Intune
Microsoft 365 Business Premiumなど、Intuneを含むライセンスをすでに契約している場合は、追加費用を抑えて始められます。一方で、他社製アプリの更新や遠隔支援は有償アドオンになる点、設定の自由度が高い分だけ設計に知識が必要な点は押さえておきましょう。
3. 更新の自動化と遠隔対応で手間を減らしたい:RMM型
「更新が当たっているか分からない」「トラブルのたびに現地へ行く」「IT担当者が一人しかいない」という課題が中心なら、監視・更新・遠隔操作・自動化を一体で備えたRMM型の製品が向いています。NinjaOneは、Windows・macOS・Linuxに加え、多数のサードパーティ製アプリのパッチ適用を自動化でき、スマートフォンのMDMやバックアップまで同じ画面で扱えます(関連記事:これからのIT資産管理はNinjaOneでパッチ適用を自動化)。
比較するときに確認したい5つのポイント
- パッチ配布の範囲:OSの更新だけか、ブラウザやPDF閲覧ソフトなどのアプリまで自動で更新できるか。攻撃の入口になりやすいのはアプリ側の更新漏れです。
- 対応OS:Mac、Linux、サーバー、スマートフォンが混在している場合、すべてを一つの製品で管理できるか。
- 社外の端末:テレワークや外出先のPCを、社内ネットワークにつながなくても管理できるか。
- 料金の単位:端末単位かユーザー単位か。1人が複数の端末を使う会社と、共用端末が多い会社では有利な方式が変わります。
- 運用の担い手:設定や日々の確認を誰が行うか。社内に担当者がいない場合は、運用まで支援してくれる販売店やMSPがいるかも重要です。
よくある質問
Q. IT資産管理ツールとRMMは何が違うのですか?
IT資産管理ツールは台帳管理や操作ログなど「把握と統制」から発展した製品が多く、RMMは監視や更新、遠隔操作など「運用の自動化」から発展した製品です。最近は両者の機能が重なりつつあるため、自社が解決したい課題に近いほうを軸に選ぶのがおすすめです。
Q. 複数の製品を組み合わせてもよいですか?
可能です。たとえば、操作ログは既存のIT資産管理ツールで取りつつ、更新の自動化と遠隔対応はRMMで行う、といった役割分担も考えられます。ただし、管理画面や費用が増えるため、重なる機能がないかは事前に整理しましょう。
Q. 無料で試せる製品はありますか?
公式サイトでは、LANSCOPE(60日間)、ISM CloudOne(30日間)、NinjaOne(14日間)が無料の試用を案内しています。試用期間中に何を確かめるかを先に決めておくと、比較がしやすくなります。
まとめ:製品名より先に「解決したい課題」を決める
IT資産管理ツールは、製品ごとに得意分野がはっきり分かれています。内部統制を強めたいのか、Microsoft 365と一体で管理したいのか、更新や遠隔対応の手間を減らしたいのか。まず自社の課題を一つに絞り、その課題に強い製品を候補にすることが、失敗しない選び方です。
あわせて読みたい:中小企業のIT運用・端末管理
IT資産管理・端末管理の見直しは、サイバーセキュリティ総研にご相談ください
サイバーセキュリティ総研は、中小企業のIT運用とセキュリティを支えるMSPとして、NinjaOneを活用したIT資産管理・パッチ管理の自動化を支援しています。既存ツールとの役割分担のご相談も承ります。
- 現在の端末・ソフトウェアの棚卸しと、管理上の課題の整理
- 既存ツールを含めた、自社に合う管理方法の比較・提案
- NinjaOneの導入と、監視・更新ルールの設計
- 日々の運用代行と、EDR「SentinelOne」と組み合わせたセキュリティ監視
参照:LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版/SKYSEA Client View/ISM CloudOne/Microsoft Intune の価格/NinjaOne 料金