2026年6月の開幕を目前に控えた「FIFAワールドカップ2026」に対し、セキュリティ企業のチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズをはじめとする複数の専門機関や政府が、個人ファンや関連企業に向けて注意喚起が出ている。
すでに確認されている過去の事実と現状
セキュリティ企業のチェックポイントやグループIBなどの報告によると、大会開幕前でありながら、すでに巨大な詐欺インフラが稼働している実態が明らかになっている。
2026年4月の1ヶ月間だけで、「FIFA」や「World Cup」の名称を含む新しいドメインが9,741件も登録されており、これは2022年のカタール大会のピーク時と比べて5倍を超える異常な規模となる。
さらに、2025年8月以降には4,300件以上の関連ドメインが同一のシステム基盤上で波状的に登録されており、悪意ある攻撃者たちが世界規模で準備を進めてきたことを意味している。
直近数週間に登録された関連ドメインのうち、実に41件に1件が不審または悪質と判定されており、そのうちの56%がホテルの宿泊や旅行サービスを標的にしていたとのことで、すでに交通機関やホスピタリティ業界を騙った偽サイトが機能しており、チケット購入や予約を試みたファンの個人情報や決済情報が盗まれる実害が出ている。
また、FIFAの公式パートナー企業の3分の1以上が、メールのなりすましを防ぐセキュリティ設定(DMARCの拒否ポリシー)を導入していない事実も判明しており、過去のカタール大会では公式ファンポータルで90件のアカウント侵害が確認されている。
前例を踏まえてアメリカ連邦捜査局(FBI)も2026年5月27日に緊急の警告を出しており、外務省の海外安全情報からも、開催地であるアメリカ、カナダ、メキシコでの置き引きといった物理的な防犯対策を含めた渡航者への注意喚起が公表されている。
今後予想される脅威と日本への具体的な影響
2026年6月11日から7月19日の大会本番に向けて、潜在的な被害額は数十億ドル規模に達すると予測されており、日本も無関係ではないとみられている。
今回の大会には日本代表が出場するため、日本人ファンを標的にした「日本版詐欺」が急増する見込みだという。
具体的には、日本代表の勝利や表彰を騙った偽の記念キャンペーン、試合のPK戦予想を餌にしたデマ情報の流布、そしてスマートフォンのSMSを悪用したフィッシング詐欺(スミッシング)が日本国内で大量に発生するとされている。
さらに影響は個人ファンに留まらず、日本国内のビジネスやインフラにも及ぶ可能性が指摘され、航空会社や空港システム、大手ホテルチェーンなどが身代金要求型ウイルス(ランサムウェア)の標的となり、業務停止に追い込まれるリスクも懸念されている。
また、日本からの渡航者を狙った偽の宿泊予約サイトや旅行詐欺が横行するほか、国内の放送局やニュースサイトといったメディア・エンタメ業界が、システムを麻痺させるDDoS攻撃や、AIを駆使した国家関連アクターによる偽情報工作の標的になるリスクも専門家から上がっている。
イベント時に約60倍へと急増する偽のスポーツ賭博アプリや、中国語を中心とした不審なベッティングサイトの乱立も、開催国以外の地域を含む世界的な脅威として拡大していく見通しだという。
被害を未然に防ぐための実践的な防衛策
こうした巧妙なサイバー犯罪の罠に落ちないためには、利用者一人ひとりの慎重な行動と徹底した自己防衛が不可欠となる。
まず、大会の観戦チケットは必ず公式URLである「fifa.com」のみから購入するようにし、「最大80%オフ」といった極端な割引を謳うキャンペーンはすべて詐欺だと警戒するといったこと。
インターネット検索の際も、アドレス内に不自然にキーワードが詰め込まれているドメインは偽サイトを疑い、「10ドル入金すれば毎日3ドルが手に入る」といった高配当を保証する予想ゲームやなども、実在しない詐欺の手口であることを認識しておくことが求められる。
また大会に限らず、見慣れないウェブサイトを閲覧している際、画面に「今すぐダウンロード」というポップアップが表示されても、ウイルス感染の危険があるため安易にクリックは避けるといった基本的な対策も重要。
自身が利用するネットアカウントには必ず多要素認証(MFA)を有効化し、他のサービスとは異なる固有の強力なパスワードを設定して乗っ取りを防ぐことになるため推奨されている。
身に覚えのないSMSに記載されたリンクは絶対に踏まないよう徹底し、空港やスタジアムの周辺では、主催者が認めた公式Wi-Fi以外の不審な無料Wi-Fiへの接続を避けることで、通信内容の盗聴リスクを抑えられる。
4年に一度の祭典を心から楽しみ、日本代表に熱い声援を送るためにも、まずは私たちが「見えない敵」に対する防衛線を張ることが大切となる。
巧妙なサイバー犯罪の手口に惑わされず、公式が発信する正しい情報と一人ひとりの冷静な心がけで、悪質な詐欺を退け、安全に大会を楽しむことにつながる。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000520.000021207.html
https://www.helpnetsecurity.com/2026/06/08/fifa-world-cup-cyber-threats/
https://www.proofpoint.com/us/newsroom/press-releases/fifa-world-cup-2026-more-one-third-official-partners-expose-public-risk