国税庁の電子申告システム「e-Tax」を装い、還付金の受け取り手続きを名目にアプリのダウンロードへ誘導する不審なメールが、2026年10月28日朝からSNSで話題になっている。国税庁はe-Taxの公式サイトで同様の手口を事例として掲載し、還付金の受け取りのためにアプリのダウンロードを求めることはないと注意を呼びかけている。
事案の詳細
報道によると、確認されたメールは「還付金の受取期限が迫っています」と赤字で強調し、期限を過ぎると還付金が国庫に返納されて受け取れなくなる、再請求には1〜2か月かかる、などと記載して早急な手続きを促す。本文には「Android版 e-Taxアプリをダウンロード」と書かれたボタンがあり、リンク先は国税庁とは無関係のドメインだった。「登録口座が解約されているため振込ができません」とする別パターンも確認されている。
e-Taxの公式サイトは「e-Taxを装った不審なメール等にご注意ください」のページを10月16日に更新し、件名「【 重 要 】 還付金の受取手続きのご案内」で還付金額を示してアプリのダウンロードを求める事例を掲載している。「アプリをインストール」を押すとフィッシングサイトに誘導され、個人情報をだまし取られるおそれがあるとしている。
同ページには、正規の件名「税務署からのお知らせ」をそのまま使い本文で偽の届出画面に誘導する事例や、「【重要】未納税金のお知らせ – e-Tax」の件名でe-Taxのキャラクターやロゴを表示する事例なども掲載されている。件名やロゴだけでは本物かどうかを見分けられない。
影響と背景
還付金は「受け取れる側」の期待を利用できるため、詐欺の口実に使われやすい。期限や「受け取れなくなる」という表現で焦らせ、確認する前に操作させるのが典型的な手口だ。アプリのインストールまで進むと、入力した個人情報や認証情報が盗まれるだけでなく、端末の操作や情報を不正に取得されるおそれもある。
国税庁によると、e-Taxからの正規のメールは送信元が「info@e-tax.nta.go.jp」で、メールアドレスを登録した利用者に限り「税務署からのお知らせ」などの件名で送られる。定型の文面で、原則として本文にURLは記載されない。国税庁はまた、SMSやLINEでURL付きの案内を送ることや、メールで税の納付を求めることはないとしている。
対策・今後の展望
- アプリはメールから入れない:還付金の受け取りのためにアプリのダウンロードを求めるメールは偽物と判断し、リンクやボタンを押さない。
- 送信元と本文のURLを確認する:正規のe-Taxメールの送信元は「info@e-tax.nta.go.jp」で、原則として本文にURLはない。ただし送信元の表示は偽装できるため、表示だけで信用しない。
- 公式の経路で確認する:還付の状況はブックマークした公式のe-Taxサイトにログインし、メッセージボックスで確認する。
- 入力・インストールしてしまった場合:e-Taxや金融機関のパスワードを変更し、インストールしたアプリを削除してセキュリティソフトで端末を検査する。口座情報やカード情報を入力した場合は金融機関に連絡し、最寄りの警察署や消費生活センター(188)に相談する。
CSRIからの現場アドバイス
【現場で何が起きているか】税務署や警察など公的機関を名乗る連絡は、受け取った人が「無視すると不利益があるかもしれない」と感じやすく、ふだんは慎重な人でも手続きを急いでしまいがちだ。今回のように個人の還付金を題材にしたメールが、業務用のメールアドレスに届くこともある。
【平易な解説】税務署の名前が入った封筒で「還付金を受け取るには、同封の鍵で金庫を開けてください」と届くようなものだ。本物の税務署は、還付金を受け取るためにアプリを入れさせることはない。
【中小企業が今週中にできること】経理・総務の担当者に、国税庁が公表している偽メールの事例と「アプリのダウンロードを求めることはない」という点を共有する。会社のスマートフォンでは、公式ストア以外からのアプリのインストールを禁止する設定になっているかを確認し、不審なメールを受け取ったときの報告先を全社員に案内する。