フォレンジック調査におけるメモリダンプの解析方法とは?原因と手順を解説

フォレンジック調査では、メモリダンプを用いて情報漏洩や不正アクセスなどのインシデントに対し、メモリ上の情報から証拠を発見するために、正確かつ証拠能力を担保した手順が求められます。

本記事では、専門ツールを使った解析方法や、マルウェア痕跡の検出、証拠の保全方法までを詳細に紹介します。

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フォレンジック調査でメモリダンプ解析が必要となる原因

デジタルフォレンジックの現場では、PCやサーバのメモリ内に残る情報が調査の決定打になることがあります。以下のような状況では、メモリダンプの取得と解析が必要不可欠です。

  • 原因①:外部からの不正アクセスが疑われる
  • 原因②:マルウェア感染による挙動の異常
  • 原因③:内部犯行による証拠隠滅

原因①:外部からの不正アクセスが疑われる

不明なIPアドレスからのログイン履歴や、管理者権限での不審な操作ログが検出された場合、メモリ上にその痕跡が残っている可能性があります。

原因②:マルウェア感染による挙動の異常

不審なプロセスの常駐や、OSに常駐するコードインジェクションの兆候がある場合、メモリダンプの解析により正体を突き止めることが可能です。

原因③:内部犯行による証拠隠滅

ログが消去されていたり、HDDに証拠が残っていない場合でも、メモリにキャッシュ情報が残っているケースがあります。

これらを放置すると、以下のような重大な影響が懸念されます。

  • 不正アクセスの再発や継続
  • 企業の機密情報の流出
  • 証拠能力の喪失による訴訟対応の困難化

フォレンジック調査におけるメモリダンプ解析の方法

下記では、フォレンジック調査におけるメモリダンプの取得からVolatility Frameworkを活用した調査手順、マルウェアの発見方法まで、すべての対処法を詳しく解説します。

  1. メモリダンプの取得と保全を行う
  2. Volatility Frameworkの導入と初期設定を行う
  3. プロファイルの特定と設定を行う
  4. 基本的なプロセス・ネットワーク・ファイルの解析を行う
  5. 不審なコードの検出とマルウェア解析を行う
  6. 証拠の抽出と報告書作成を行う
  7. 専門業者への相談と依頼する

メモリダンプの取得と保全を行う

まず、対象端末のメモリ全体を適切な手順で取得し、証拠性を担保する保存・管理が求められます。

メモリダンプ取得と保全の手順

  1. FTK ImagerやDumpItなどの取得ツールを用意します。
  2. 対象端末に接続し、「Capture Memory」などの機能でRAM全体を取得します。
  3. 外付けUSBなど、書き込み禁止メディアに保存します。
  4. 取得後はMD5またはSHA-256のハッシュ値を記録します。
  5. 取得日、担当者、使用ツール、取得手順を記録して保全報告書を作成します。

Volatility Frameworkの導入と初期設定を行う

Volatilityはメモリ解析に特化したオープンソースツールであり、幅広いOSに対応しています。

Volatilityの導入手順

  1. Python 2.7環境を構築し、Volatilityを公式リポジトリからダウンロードします。
  2. 依存ライブラリ(distorm3等)をインストールします。
  3. 動作確認後、コマンドプロンプトから実行できるよう設定します。

プロファイルの特定と設定を行う

Volatilityでは、正しいプロファイルを指定しないと解析できません。取得元のOSに適したプロファイルを確認しましょう。

プロファイル確認手順

  1. コマンドプロンプトで`volatility -f memory.dmp imageinfo`を実行します。
  2. 推奨される複数のプロファイルが表示されるため、OSに合わせたものを選定します(例:Win7SP1x64)。
  3. 以降のコマンドで「–profile=プロファイル名」を必ず指定します。

基本的なプロセス・ネットワーク・ファイルの解析を行う

Volatilityを用いて、プロセスの一覧、DLL、ネットワーク接続情報、ファイルオープン状態などを把握します。

基本解析コマンドの例

  1. `pslist`:実行中プロセスの一覧を表示
  2. `netscan`:通信中のIPとポート、状態を確認
  3. `dlllist`:各プロセスが使用中のDLL一覧
  4. `filescan`:メモリ上で検出されたファイル
  5. `cmdscan`:過去に入力されたコマンド履歴の確認

不審なコードの検出とマルウェア解析を行う

`malfind`コマンドやRedline、VadDumpなどを用いて、コードインジェクションや不審プロセスの検出を行います。

マルウェア検出の手順

  1. `malfind`を実行し、不審なプロセスにマルウェアが注入されていないか確認します。
  2. RedlineなどGUIツールでプロセスのヒューリスティック評価を行います。
  3. 疑わしいメモリ領域のダンプを取得し、外部スキャナやYARAで分析します。

証拠の抽出と報告書作成を行う

発見された通信ログ、不正プロセス、コマンド履歴などの証拠を保全し、客観的なレポートにまとめます。

報告書作成のポイント

  1. 発見された各種証拠の出力を保存(CSV、TXTなど)
  2. 調査手順・環境・解析ツールの設定・時刻などを明記
  3. 中立かつ事実ベースで経緯と結果を記述

フォレンジック調査専門会社への相談と依頼する

証拠性が問われる場合や、社内での調査に限界を感じた場合は、フォレンジック調査専門会社への相談が最善の選択肢です。

フォレンジック調査専門会社依頼時の準備手順

  1. 端末を電源オフにし、現状維持を徹底
  2. 取得済みメモリやログ情報、環境情報を整理
  3. 相談フォームや電話から、無料相談

信頼できるフォレンジック調査会社を選ぶ重要ポイント4選

信頼できるフォレンジック調査会社を選ぶポイントは以下の4つです。

  • 調査実績が豊富
  • セキュリティ認証を取得している
  • 調査完了までのスピードが速い
  • 無料相談や見積りに対応している

これらの特徴を持つ調査会社に依頼することで、効果的な調査と適切な対策が期待できます。

調査実績が豊富

調査実績が豊富な調査会社は、さまざまな種類のサイバーやリーガルインシデントに対応した経験とノウハウを持っています。そのため、状況や問題に応じた適切な方法やツールを駆使し、被害の状況や原因をより正確に特定することで、適切な対策を講じることができます。

セキュリティ認証を取得している

セキュリティ認証を取得している企業は、情報セキュリティに対する取り組みが評価されており、信頼性が高いです。

具体例として、ISO/IEC 27001などの国際的な認証が挙げられます。これらの認証は、企業が情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を適切に運用し、機密情報の保護に努めていることを示します。

こうした認証を取得している企業は、データ漏えいリスクを最小限に抑えるための対策を講じており、顧客のデータを安全に扱うことができます。このため、セキュリティ認証を取得している企業を利用することがおすすめです。

調査完了までのスピードが速い

問題が発生した際、調査完了までのスピードが速いほど、被害を最小限に抑えることができます。調査スピードが速い理由としては、専門知識や経験を持ったスタッフが多数在籍していることや、最新の技術やシステムを導入して効率的な業務を行っていることが挙げられます。

無料相談や見積りに対応している

問題が発生した際、無料相談や見積りに対応している企業であれば、相談のうえ、見積りを取得することで、サービスの費用を事前に把握し、予算に合ったプランを選ぶことができます。

無料相談や見積りに対応している企業は、顧客ニーズに応じたサービスを提供できる体制が整えられており、信頼性が高いと言えます。ぜひ、お問い合わせや見積りの依頼を通じて、最適なサービスを見つけてください。

>>【2024.11最新】フォレンジック調査会社一覧|選び方・依頼の流れを解説

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フォレンジック調査会社を利用するときの注意点

フォレンジック調査会社を利用するときの注意点は次のとおりです。

  • 不用意に操作しない
  • 興信所や探偵は基本的に専門外
  • サポート詐欺に要注意
  • 市販の調査ソフトを使用しない

不用意に操作しない

サイバーやリーガルインシデント被害を受けた場合、不用意にシステムや機器を操作すると、証拠が消失したり、状況が悪化したりする可能性があります。そのため、フォレンジック調査会社に依頼する前に、不用意な操作は避けましょう。

興信所や探偵は基本的に専門外

フォレンジック調査は、専門的な知識や技術が必要となる調査です。そのため、主に浮気調査や家出人捜索などの調査を行っている興信所や探偵に依頼しても、十分な調査が期待できない可能性があります。

市販の調査ソフトを使用しない

市販のフォレンジック調査ソフトは多数存在しますが、そのどれもが万能なものではなく、フォレンジック調査サービスと比較して調査の正確性が劣ります。セキュリティ対策やログの監視ツールとして利用する分には問題ないですが、インシデント発生時の調査で利用する時は目的に合わせて利用すべきか判断が必要になります。

調査結果を報告資料の作成や裁判などでの証拠として活用したい場合は、フォレンジック調査ツールで抽出した結果を使用できないため、証拠保全が可能な調査会社に相談して調査するようにしましょう

まとめ

フォレンジック調査におけるメモリダンプの解析は、不正アクセスや情報漏洩の痕跡を把握する上で極めて有効な手段です。しかし、適切な手順を踏まなければ、証拠としての価値を失ったり、解析結果が不完全となる危険性もあります。

特に、操作ミスや独自判断による証拠破壊は、調査の成功率を著しく下げる要因となります。そのため、フォレンジック調査専門会社へ相談することをおすすめします。

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