フォレンジック調査を用いてHDDデータを復元する方法を解説

この記事では、フォレンジック調査の観点から、HDDに保存された削除データを安全かつ正確に復元する方法を詳しく解説します。司法・社内調査などで法的証拠として通用するために重要な対処法を、順を追って丁寧に説明していきます。

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フォレンジック調査を用いることで削除データが復元できる理由

一般的に「削除されたデータ」と聞くと、完全に消えたように思われがちですが、実際にはファイル管理情報のみが除去され、データ本体はHDD上に残っていることが多いのです。これは、OS上での「削除」操作が実際には物理的な消去ではなく、書き込み領域の“空きマーク”にすぎないためです。

フォレンジック調査ではこの原理を活かし、削除マークが付いたデータ領域を解析することで、元のファイルを復元することが可能です。特にファイルシステムの管理情報が残っている場合は、ファイル名や階層構造まで復元できる場合もあります。

一方で、このような復元には重大なリスクも伴います。たとえば、調査対象のHDDを通電・操作し続けることで上書きが発生すれば、削除データの痕跡が物理的に消去されてしまい、復元の成功率が著しく下がります。また、自力で復元ツールを試す行為も、証拠性を損ねる危険があります。復元したデータの真正性が問われる場面では、調査手順の不備がそのまま証拠能力の欠如につながります。

このため、削除データの復元を行う際は、最初の一手が極めて重要です。フォレンジック専門家による初期対応こそが、証拠としての価値を守る唯一の方法と言えるでしょう。

フォレンジック調査を用いた削除HDDデータの復元手順と対処法

以下に、削除されたHDDデータを復元するために必要な具体的な対処法を紹介します。

  1. 物理的・論理的保全を行う
  2. ファイルシステムを解析して削除ファイルを復元を行う
  3. データカービングで構造の失われたファイルを抽出を行う
  4. SSDや暗号化環境における特殊対応を行う
  5. 復元データの真正性を検証・記録する
  6. 復元の限界を理解する
  7. フォレンジック専門会社に相談する

①物理的・論理的保全を行う

削除されたデータを正確に復元するためには、まずHDDの証拠保全が最優先です。ネットワークから切り離し、書き込み防止措置を講じたうえで、イメージコピーを取得します。

物理的・論理的保全の手順

  1. 対象のHDDをパソコンから取り外す
  2. HDDを専用の書き込み防止装置に接続する
  3. フォレンジックツール(例:FTK Imager)でディスクの完全なイメージを取得
  4. 取得したイメージは別メディアに保存し、オリジナルHDDには一切手を加えない

②ファイルシステムを解析して削除ファイルを復元を行う

NTFSやHFSなどのファイルシステム情報を解析することで、削除されたファイルの情報を復元することが可能です。メタデータが残っていれば、フォルダ構造やファイル名も回収できます。

ファイルシステム解析による復元手順

  1. 取得したHDDイメージをフォレンジックツールに読み込む
  2. ファイルシステム解析モードを起動し、削除済みファイル一覧を取得
  3. 復元対象ファイルを選択して、安全な場所にエクスポート

③データカービングで構造の失われたファイルを抽出を行う

メタデータが消失している場合でも、ファイルの内容そのものが残っていれば、シグネチャを手がかりに復元できます。これは不正削除されたデータ回収に有効な方法です。

データカービングの手順

  1. 専用ツール(例:ScalpelやPhotoRec)を使用
  2. 検索対象にシグネチャを指定し、HDDイメージ全体をスキャン
  3. 検出されたファイルを確認し、別フォルダへ保存

④SSDや暗号化環境における特殊対応を行う

SSDではTRIM機能によりデータが物理的に消去される可能性があり、復元は極めて困難です。また、BitLockerなどの暗号化がかかっている場合、鍵がなければ復元は事実上不可能です。

SSD・暗号化対応のポイント

  1. SSDの場合、TRIMが有効かどうかを確認
  2. 暗号化の有無を確認し、可能であれば復号鍵を取得
  3. 復号後に従来のファイル解析・カービングを実施

⑤復元データの真正性を検証・記録する

復元したデータが証拠として通用するためには、その正当性を証明する必要があります。ハッシュ値による一致確認や、復元過程の記録は法的にも極めて重要です。

真正性検証の手順

  1. オリジナルイメージと復元ファイルに対してハッシュ値(例:SHA256)を計算
  2. 値が一致していることを確認し、整合性を証明
  3. 復元作業中の操作記録(ログ)や手順書を保存し、証拠能力を担保

⑥復元の限界を理解する

全てのデータが復元できるわけではありません。すでに上書きされたファイルや、安全消去された情報は復元が困難、あるいは不可能です。過度な期待は禁物です。

復元限界への対応

  1. 上書きリスクを避けるため、発覚直後に対象機器の使用を停止
  2. 論理削除と物理削除の違いを理解し、見込みを正確に把握
  3. 復元できない場合は、別の証拠取得手段(ログや通信履歴など)を検討

⑦フォレンジック調査専門会社に相談する

HDDの復元作業には専門知識と高度な技術が必要です。復元に失敗すれば、証拠を失う可能性もあります。少しでも不安がある場合は、専門のフォレンジック調査専門会社に相談するのが安全です。

専門会社への相談手順

  1. 無料相談窓口に状況を伝える(電話・メールなど)
  2. 初期診断を受け、調査方針や料金を確認
  3. 正式依頼後、調査・復旧結果の報告書を受領

フォレンジック調査の成功を左右するのは、正確な証拠保全と専門的な解析力です。不正や情報漏洩の兆候を早期に発見し、適切に対応することが、被害拡大と信用失墜のリスクを最小限に抑える鍵です。豊富な調査・相談実績を持っている専門会社へ相談することをおすすめします。

信頼できるフォレンジック調査会社を選ぶ重要ポイント4選

信頼できるフォレンジック調査会社を選ぶポイントは以下の4つです。

  • 調査実績が豊富
  • セキュリティ認証を取得している
  • 調査完了までのスピードが速い
  • 無料相談や見積りに対応している

これらの特徴を持つ調査会社に依頼することで、効果的な調査と適切な対策が期待できます。

調査実績が豊富

調査実績が豊富な調査会社は、さまざまな種類のサイバーやリーガルインシデントに対応した経験とノウハウを持っています。そのため、状況や問題に応じた適切な方法やツールを駆使し、被害の状況や原因をより正確に特定することで、適切な対策を講じることができます。

セキュリティ認証を取得している

セキュリティ認証を取得している企業は、情報セキュリティに対する取り組みが評価されており、信頼性が高いです。

具体例として、ISO/IEC 27001などの国際的な認証が挙げられます。これらの認証は、企業が情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を適切に運用し、機密情報の保護に努めていることを示します。

こうした認証を取得している企業は、データ漏えいリスクを最小限に抑えるための対策を講じており、顧客のデータを安全に扱うことができます。このため、セキュリティ認証を取得している企業を利用することがおすすめです。

調査完了までのスピードが速い

問題が発生した際、調査完了までのスピードが速いほど、被害を最小限に抑えることができます。調査スピードが速い理由としては、専門知識や経験を持ったスタッフが多数在籍していることや、最新の技術やシステムを導入して効率的な業務を行っていることが挙げられます。

無料相談や見積りに対応している

問題が発生した際、無料相談や見積りに対応している企業であれば、相談のうえ、見積りを取得することで、サービスの費用を事前に把握し、予算に合ったプランを選ぶことができます。

無料相談や見積りに対応している企業は、顧客ニーズに応じたサービスを提供できる体制が整えられており、信頼性が高いと言えます。ぜひ、お問い合わせや見積りの依頼を通じて、最適なサービスを見つけてください。

>>【2024.11最新】フォレンジック調査会社一覧|選び方・依頼の流れを解説

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フォレンジック調査会社を利用するときの注意点

フォレンジック調査会社を利用するときの注意点は次のとおりです。

  • 不用意に操作しない
  • 興信所や探偵は基本的に専門外
  • サポート詐欺に要注意
  • 市販の調査ソフトを使用しない

不用意に操作しない

サイバーやリーガルインシデント被害を受けた場合、不用意にシステムや機器を操作すると、証拠が消失したり、状況が悪化したりする可能性があります。そのため、フォレンジック調査会社に依頼する前に、不用意な操作は避けましょう。

興信所や探偵は基本的に専門外

フォレンジック調査は、専門的な知識や技術が必要となる調査です。そのため、主に浮気調査や家出人捜索などの調査を行っている興信所や探偵に依頼しても、十分な調査が期待できない可能性があります。

市販の調査ソフトを使用しない

市販のフォレンジック調査ソフトは多数存在しますが、そのどれもが万能なものではなく、フォレンジック調査サービスと比較して調査の正確性が劣ります。セキュリティ対策やログの監視ツールとして利用する分には問題ないですが、インシデント発生時の調査で利用する時は目的に合わせて利用すべきか判断が必要になります。

調査結果を報告資料の作成や裁判などでの証拠として活用したい場合は、フォレンジック調査ツールで抽出した結果を使用できないため、証拠保全が可能な調査会社に相談して調査するようにしましょう。

まとめ

HDDデータの削除は、単なるファイル喪失ではなく、内部不正や情報漏洩の兆候である可能性もあります。特に社内の不祥事や訴訟対応では、復元データが法的証拠となるため、手順の正確さと証拠保全の透明性が求められます。

本記事で紹介した手順に従い、物理保全からファイル解析、カービング、ハッシュ検証までを確実に実施することで、復元の成功率と証拠能力の双方を維持できます。

しかし、TRIM機能付きのSSDや暗号化ドライブなど、個人では対応が難しいケースも少なくありません。少しでも不安がある場合、または社内対応では限界を感じる場合は、迷わず専門業者へ相談することをおすすめします。

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